2025/12/17
下落トレンド再開か?イベント尽くしも戻りは限定的か
今週の金融市場は、主要経済指標が立て続けに発表される「イベント尽くし」の週となっています。16日(火)には米国の雇用統計が発表され、失業率は市場予想を上回る 4.6%となりました。この水準は約4年以上ぶりであり、米国の雇用情勢に徐々に陰りが見え始めていることを示しています。
雇用環境の悪化は、FRBにとって利下げを正当化する材料となりますが、一方で「景気減速の兆候」としてマーケットがネガティブに受け止める側面もあります。足元の相場は、利下げ期待と景気後退懸念がせめぎ合う、非常に判断の難しい局面に入っていると言えるでしょう。
参考:
https://jp.reuters.com/markets/japan/L3AOZ2YMYZLF3PKVWO4WLBMI5M-2025-12-16/
18日(木)には米CPI(消費者物価指数)の発表を控えています。政府機関閉鎖の影響もあり市場予想は明確に出ていませんが、前回同様 3.0%前後 に落ち着く可能性が高いと見ています。
仮に 3.1%以上 となった場合、インフレ再加速が意識され、利下げ期待にブレーキがかかる可能性があります。その場合、ドル買いで反応し、リスク資産には逆風となるでしょう。引き続き、難しい相場環境が続くと考えています。
■ 下降トレンドラインに沿って戻り売り継続
【採用テクニカル】
• 移動平均線(SMA):30(赤)、90(青)、200(橙)
• MACD:12,26,9

出所:SBIVCトレード(PCブラウザ・トレーダーモード)
BTC/JPYの日足チャートを見ると、下降トレンドラインに沿った下落基調が継続しており、このリズムは依然として崩れていません。11月21日に一度安値を付けたものの、その後もボトム圏での推移が続いています。
間もなく1カ月近いレンジ相場となりますが、大きな反発を見せることができなかった点は重要です。レンジ下限からの反発力が弱い場合、再び下落トレンドが再開するケースが多く、今回もその可能性が高いと考えています。
来週にかけては 1300万円方向 を意識しながら、戻った局面では丁寧に戻り売りを繰り返す戦略を想定しています。
MACDも一定の戻りを経た後にデッドクロスを形成しました。下落トレンド中のデッドクロスは、トレンドをさらに伸ばす傾向があり、下値警戒感は一段と強めておく必要があるでしょう。
■1365万円のレジスタンスは明確な売り場

出所:SBIVCトレード(PCブラウザ・トレーダーモード)
BTC/JPYの4時間足チャートでは、現在 1365万円 のレジスタンスラインで上値を抑えられています。この水準を明確に上抜けるのは難しいと考えており、週後半にかけてはSMA30(赤)も下落してくるため、テクニカル的な売り条件がさらに揃ってきます。
明日以降、この1365万円水準に再び到達する可能性はありますが、上値は重くなりやすいでしょう。
CPIが市場予想を上回る結果となれば、反落しやすい局面と見ています。
なお、クリーブランド連銀が公表しているインフレ・ナウキャストでは 2.99%前後 が示唆されており、CPIの結果は楽観視できない状況です。
参考:
https://www.clevelandfed.org/indicators-and-data/inflation-nowcasting
総合的に見るとダウンサイドリスクの方が高く、戻ったところが売り場になると考え、繰り返しの売りトレードを想定しています。
■ETHはボトム圏で横ばいも、反発力に乏しい

出所:SBIVCトレード(PCブラウザ・トレーダーモード)
ETH/JPYの4時間足チャートでは、45万円前後をバックに底固めのような動きが続いています。下髭を何度も出している点からも、この水準には一定の買い支えがあると見られます。
しかし反発は極めて限定的で、現物の買いが積極的に入っている印象はありません。デリバティブポジションの買い戻しによって、かろうじて下値を維持しているような値動きに見えます。
24時間以上にわたり同様の形状が続いており、反発に時間がかかりすぎている点はネガティブです。
このまま横ばいが続く場合、戻りの上値はかなり限定的になるでしょう。
44万円付近には明確とは言えないものの、サポートラインが引けます。この水準で下げ止まるか、それとも一段安を試すかが注目点です。
戻り売りの目安は 47万円前後 が限度と考えています。
■ アルトコイン下落の典型例

出所:SBIVCトレード(PCブラウザ・トレーダーモード)
SOL/JPYの4時間足を見ると、直近1カ月は 19,000〜23,000円 のレンジで推移していますが、BTCやETH以上に弱い値動きが目立ちます。
19,000円を明確に割り込むと、大幅下落につながりやすい形状です。
BTCが安値更新を回避しても、SOLが先に安値を更新してしまう――これはアルトコイン下落局面でよく見られる典型的なパターンです。
そのため、現状では買いトレードは控え、SMA30(赤)を背にした戻り売りを意識したいところです。
値動きが非常に速い通貨ペアであるため、レバレッジは低めに抑え、ボラティリティ管理を徹底したい局面です。
■総括:戻り売り姿勢を崩さずイベント週を乗り切る
繰り返しになりますが、18日(木)は米CPIの発表です。
インフレ率が 3.1%以上 となれば、リスクオフで反応しやすいでしょう。一方、2.9%未満 であれば短期的な買い戻しは期待できますが、その上昇幅は 1〜3%程度 にとどまると見ています。
19日(金)は日銀金融政策決定会合です。25bpの利上げは既定路線ですが、中立金利の下限が 1.0%→1.5%以上 に引き上げられた場合、サプライズ色が強く、円高・株安で反応しやすいでしょう。暗号資産も連続安となる可能性があり、この点には特に注意が必要です。
総合的に見て、今週後半も 戻り売りトレードを基本戦略 とし、慎重に相場と向き合っていきたいと考えています。
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