Market Report

マーケット情報

2026/01/26

暗号資産週間レポート(2026.1.18~2026.1.24)
地政学リスクとETF流出が重石、トランプ政権の優先順位変化で暗号資産は調整局面へ

【1/18~1/24週のサマリー】
・米最高裁判所、トランプ大統領の関税に対する合憲性判断を示さず
・トランプ大統領、グリーンランドへの軍事行動を否定
・日本円がレートチェック観測で急騰
・BTCとETHが両方とも週次で純流出

【暗号資産市場概況】
 1/18~1/24週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲7.69%の13,930,950円、ETH/JPYの週足終値は同▲11.99%の460,970円であった(※終値は1/24の当社現物EOD[1/25 6:59:59]レートMid値)。
 先週の暗号資産市場は、トランプ大統領がグリーンランドの領有権を巡り、非協力的な欧州諸国に対して追加関税を示唆するなど、マクロ経済環境の緊張高まりを背景に売りが優勢となった。
 週初は、週末にかけてのトランプ大統領による関税警告を受け、株式先物市場が寄り付きから大幅下落。これに連動する形で暗号資産市場もリスクオフの売りが先行した。週半ばにグリーンランドへの軍事行動は否定されたものの、直近のベネズエラ・マドゥロ前大統領の拘束および同国の運営宣言など、安全保障に対して強硬姿勢を強める米国の動きが地政学リスクとして意識された。結果として、暗号資産および株式市場の上値は重い展開となった。対照的に、伝統的な安全資産である金(ゴールド)は、前述の地政学リスクに加え、FRBパウエル議長に対する法的措置や欧州同盟国への追加関税示唆を背景に、史上最高値を更新する上昇を見せた。
 需給面では、米国市場に上場する暗号資産現物ETFにおいて、週間の純流出額がビットコインで約13億ドル、イーサリアムで約6億ドルに達し、全営業日で純流出を記録した。株式市場のラリーが足踏み状態となる中、相対的に買い材料に乏しい現物ETFから売りが広がったものと考えられる。また、主要な暗号資産取引所における無期限先物の未決済建玉(OI)は減少し、資金調達率(ファンディングレート)も低水準で推移していることから、市場参加者の先高観は後退している。それに加え、今週金曜日には日本円が急騰したことで、円建てビットコイン価格はドル建てに比して軟調に推移し、下押し圧力となった(下段のチャートを参照されたい)。
 昨年の価格上昇の背景にはトランプ政権による全方位的な暗号資産支援への期待があった。しかし、現政権下におけるICE(米移民・関税執行局)への反発や高止まりする物価が支持率の重石となっており、優先政策順位において暗号資産が後回しにされている現状が逆風となっている。したがって、今後の米国中間選挙の展望、暗号資産関連法案の進展、および政権支持率の動向が、短長期的な価格形成に大きな影響を与えるものと推察される。
 来週は1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)による政策金利発表が予定されている。市場は据え置きを確実視しているが、パウエル議長が発表した対トランプ政権声明に関する質疑応答に注目が集まるだろう。また、米上院農業委員会において暗号資産構造法案に関する公聴会が開催される予定であり、引き続きニュースのアップデートを注視したい。




[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



[ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がビットコイン価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)


[イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がイーサリアム価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)



[1/18~1/24週のビットコイン価格推移]

(緑線がBTCUSD / 白線がBTCJPY)
(TradingView提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)



【1/18~1/24週の主な出来事】


【1/25~1/31週の主な予定】


【今週のひとこと】AXSの急騰

 AXS(アクシーインフィニティ)は、直近1か月で176%上昇しました。AXSは1月16日時点で約1.06ドルでしたが、1月23日には2.94ドルまで急騰し、2倍以上の値上がりを記録しました。今回の上昇は新しいトークン「bAXS」の導入や報酬制度の見直しといった運営側の取り組みが投資家心理の改善につながっているものと考えられます。
 AXS(アクシーインフィニティ)は、ベトナムのゲーム開発会社Sky Mavisが2018年に開発したブロックチェーンゲーム「アクシーインフィニティ(Axie Infinity)」内で使用される暗号資産です。ゲーム内では、AXSに加えてSLP(Smooth Love Potion)というトークンも流通しています。アクシーインフィニティはAxie(アクシー)と呼ばれるモンスターをNFTとして収集して戦わせる対戦ゲームで、NFTを活用したゲームであり、プレイすることで暗号資産を獲得できる「Play-to-Earn(P2E)」という仕組みを確立したことで注目を集めました。リリース後は、継続的な改良を重ね、ユーザー体験の向上に努めていることが評価され、ブロックチェーンゲームの中でも特に活発なユーザー数が多く、NFTマーケットプレイスでの取引量が多いタイトルの一つです。
 新たな報酬トークンである「bAXS」はAXSと1対1で裏打ちされており、譲渡や外部での売買はできない設計となっています。これは報酬を即座に市場で換金するボットの行動を抑える役割を果たしています。将来的にbAXSの売却が可能となった際には、トレジャリーに支払う可変手数料が発生し、Axieスコアが高いユーザーほど手数料が低くなる仕組みが採用されると発表されています。bAXSの導入により、AXS報酬は即時に現金化できる労働報酬から、長期的な参加や貢献を前提としたインセンティブへと性格を変えました。これにより、ボットなど短期的な収益を目的とした参加者は採算が合わなくなり、AXSの価値希薄化や売却による下落圧力の抑制につながる点が市場に評価されています。
 また、報酬(SLP)を前提に設計された旧来型のP2Eモード(Classicモード)はそのままに、純粋なゲーム体験に重点を置いたOriginsモードではSLPの発行を停止したことも市場から好感されています。作業ゲーム状態のClassicモードだけではユーザーの離脱を防げなかったものの、ゲーム性の高いOriginsモードのリリース後の人気はユーザーの増加からボットの増加へ、ひいてはSLPのインフレへと、課題に直面させました。そこで今回の改善に至るわけなのですが、失敗→修正→再設計をここまで愚直に実行したプロジェクトは大変珍しいものです。2つの暗号資産がそれぞれに別の意義ある役割を果たしている設計も秀逸と言えるでしょう。AXSとSLPは役割を明確に分離して設計されており、前者がプロトコル運営および長期的価値の担い手である一方、後者はゲーム内消費を通じてP2Eシステムを成立させる補助的トークンとして機能しています。
 ゲームは近年、競技化および観戦化を通じてエンターテインメント産業の一角を占めるまでに成長しており、年齢や身体的制約に左右されにくい活動として社会的意義も拡大しています。こうした環境下において、ゲームと暗号資産を結びつけたGameFiは単なる投機対象ではなく持続的な参加インセンティブと経済圏をいかに設計できるかが問われていると言えます。AXSは報酬設計やインフレ抑制策を通じてこの課題に正面から取り組んでおり、ゲームと暗号資産の将来性に一石を投じる存在となり得るか、その動向が注目されます。





(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)

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