2026/05/25
暗号資産週間レポート(2026.5.17~2026.5.23)
ARMA法修正に伴う失望売りと現物ETF流出――週末の米・イラン終戦合意報道による急反発
【5/17~5/23週のサマリー】
・金融庁、海外で発行されたステーブルコインの取り扱い基準に関する改正内閣府令等を公布
(6月1日施行・適用へ)
・NVIDIA 1Q決算で売上高は前年同期比85%増の816億ドル、純利益は583億ドルの過去最高益を記録、5~7月期の売上高見通しも95%増の910億ドルと市場予想を大幅に上回る
・米下院で新たなビットコイン戦略準備金法案「ARMA」が提出され、詳細が明らかに
・トランプ大統領、イラン和平交渉は「ほぼ完了」、間もなく発表予定と発言
【暗号資産市場概況】
5/17~5/23週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲1.68%の12,222,150円、ETH/JPYの週足終値は同▲2.83%の336,835円であった(※終値は5/23の当社現物EOD[5/24 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、先々週から続く「セル・ザ・ファクト(事実売り)」による売り圧力から下値を探る展開が続くも、週末にイラン情勢の進展から大きく価格を戻して着地した。
週初は、先々週末にクラリティ法案の上院銀行委員会が超党派採決で可決されたものの、上院本会議での見通しは不明瞭なことから「セル・ザ・ファクト(事実売り)」が台頭、上値の重い展開が続いた。
週明けのCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)オープン直後から市場はリスクオフムード、ビットコインは下落から始まり一時77,000ドルを割り込んだ。その後、「米国がイランに対し原油制裁の一時的な免除を提案」とイラン系メディアが報じると相場は反発。77,000ドル後半まで買い戻された。しかし、米株市場のオープン以降は再び売りが優勢、米株の下落に連れ安する形でビットコインも76,000ドル付近まで値を下げた。
週央は76,000ドルでは反発するものの、78,000ドルでは、同水準に控える厚い売り板(売りの壁)に跳ね返され失速。ロングポジションの強制清算を巻き込みながら下落し、再び77,000ドルを割り込むレンジの動きとなった。22日、パキスタン仲介のもとで米国・イラン間の最終草案が合意に達し発表間近であるとイランメディアが伝えると、一時78,000ドル付近まで急反発したものの、上値を追う勢いは続かず再度押し戻される展開となった。
22日夜間から23日朝方にかけては、77,500ドルから75,000ドル台前半へと急落。これは、米下院に提出されたビットコイン戦略準備金法案(ARMA法)の修正草案が要因とされている。新たな草案では、準備金として預託されたビットコインに「最低20年間の売却・処分禁止(ロックアップ条項)」が盛り込まれ、期間終了後は財務長官の勧告に基づき任意の2年間で最大10%まで売却可能とされた。一方で、当初の法案にあった「5年間で最大100万BTCを購入義務付ける条項」が削除されたため、市場参加者の期待感が後退し、投げ売りを誘発する形となった。
翌23日には一段と下値を試す展開となり、75,000ドルの節目を割り込むと清算を巻き込んで74,000ドル前半まで急落した。しかし夜間になり、米国とイランが終戦合意へ極めて近づいており、現在は一部条項の文言修正を行っている段階であると報じられると相場は急反発。下落前の水準である75,500ドル付近まで急速に値を戻した。さらに明け方には、トランプ大統領が「イランとの合意はほぼ完了した」と会見で発言したことにより相場は急騰、大台となる 77,000 ドルを再び突破した。
SoSoValueのデータによるビットコイン現物ETFの資金フローを見ると、先週は12億6,000万ドルの純流出を記録し、先々週に続いて資金が流出する形となった。先物の累積出来高デルタ(CVD)がプラスへと転じる局面でも、現物の累積出来高デルタ(CVD)はマイナス圏に沈んだままで推移するなど、先週は現物ETFをはじめとする現物主導の強い売り圧力が目立つ特徴的な一週間だった。
また、価格と出来高の両データから買われ過ぎ・売られ過ぎの状態を特定するマネーフロー指数(MFI)を日足で確認すると、20日には26.8%まで低下しており、これは2月下旬並みの水準に相当する。2月の局面ではここから反転して下値を固め、その後の上昇へと繋がったが、昨年11月の局面ではさらに下落が続いて売られ過ぎの目安となる20%以下まで沈み込んだ経緯があり、今回も反転の分岐点として注視されます。
今週はこの現物売り圧力が継続するかどうかが最大の注目点となるだろう。急落に伴うポジション調整が一巡したことで底固めを模索する展開が予想されるが、市場の板が薄い(流動性が低い)状態が続いているため、週末のマクロ経済指標の発表に向けてボラティリティ(価格変動)が高まりやすい神経質な一週間となることが見込まれる。
一方で、先週までの下落は材料出尽くし感によるところが大きかったものの、週末にかけてイラン情勢にポジティブな進展が見られたことで価格が急騰した。今後は残されたイランとの核合意の行方が焦点となり、これがまとまり正式に合意されれば、投資家心理の劇的な改善から下値をより強固に固めやすくなる可能性がある。そのため、今週も引き続きイラン情勢を巡る報道には注目しておいた方がいいだろう。
[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[米BTC現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、BTC価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がBTC価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[米ETH現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、ETH価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がETH価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[米XRP現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(日足)、XRP価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がXRP価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
【5/17~5/23週の主な出来事】

【5/24~5/30週の主な予定】

【今週のひとこと】今週の予測市場動向 ~拡大を巡る期待と課題~
今週は、予測市場を巡るヘッドラインが相次ぎました。まず、米国の予測市場プラットフォーム最大手であるPolymarketが、2030年までの日本市場参入を見据え、認可取得に向けたロビー活動の準備を進めていると報じられました。日本では賭博規制により依然として参入ハードルは高く、足元では取引機能が制限されています。Polymarketのような予測市場が規制上慎重に見られやすいのは、選挙や経済指標、スポーツなど現実の出来事の結果に対して資金を投じる仕組みが、賭博規制との関係で問題となりやすいためです。また、結果に影響し得る立場の人物や非公開情報を持つ者による取引、すなわちインサイダー取引の懸念と隣り合わせであることも挙げられます。そのような中でも、同社は日本支社における担当者を任命するなどアクションを起こしており、未開拓の市場を拡大する姿勢が伺えます。
また、成長期待と同時に、予測市場が抱える課題も浮き彫りとなりました。Polymarket関連では、Polygon上のトークンである「UMA」の関連アダプタを巡り、約52万ドル規模の不正流出が報じられました。運営側はユーザー資産や市場の解決プロセスへの影響はないと説明していますが、周辺インフラを含めたセキュリティ管理の重要性を改めて痛感させる出来事となりました。
規制面では、米下院監視委員会がPolymarketと予測市場プラットフォームKalshiに対し、インサイダー取引の疑いに関する調査を開始しました。焦点となっているのは、本人確認(KYC)や地域制限の運用、不審な取引の検知体制が実効性を伴っているかという点であり、予測市場の成長に伴い「市場の健全性」が一層厳しく問われ始めています。
今週の一連のニュースにより、予測市場は拡大局面に入る一方で、拡大に伴うリスク・課題解決のフェーズに差しかかっていることが示唆されました。予測市場は、将来事象に対する参加者の予想を価格として可視化できる点に大きな特徴があります。しかし、その社会的意義が認められていくためには、制度面・情報管理面・技術面の各課題を一つずつ乗り越えていく必要があります。
(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
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