2022/05/24
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先週のハイライト先週の動き
先週は暗号資産市場にとって、リスクの再評価とポジション不均衡を調整する週となった。ビットコインのスポット価格は、メジャーコインの流動性が戻ってきたため、レンジで推移。しかし、他のコインの流動性は依然として回復しておらず、これは市場参加者が減少していることを示唆している。週初は、スポット価格の下落に反応しボラティリティは急騰したが、スポット価格が下げ止まると、ボラティリティも落ち着きを見せ始めた。
売買動向を見ると、ビットコインとイーサリアムは、53.1%と52.6%と共に買いが優勢であり、また、ADA(カルダノ)、LINK(チェーンリンク)、DOT(ポルカドット)、XLM(ステラルーメン)においても55%以上の買いが見られた。一方、AVX(アバランチ)、BNB(バイナンスコイン)、UNI(ユニスワップ)においては、売りが優勢であった。 顧客カテゴリー別では、ファンドや銀行から強い買いが見られた。 地域別に見ると、アジア圏と欧州・中東圏が買い越し、米国圏においては売りが優勢であった。
OTCレンディング市場での貸し借りは依然として低調に推移しているが、流動性の回復が見られ始めてきている。LUNA(ルナ・テラ)の大暴落後、空売りのための暗号資産借り入れにより金利が上昇したが、その高金利が呼び水となり資金を呼び込んだせいか、今週は金利がゆっくりと低下してきている。先週末までは、アルトコインの借り入れ需要が強かったが、無期限契約取引でのショートポジションに対する維持手数料の支払い(ネガティブベーシス)が緩和されてきていることもあり、OTCレンディング市場での借り入れ需要も軟化しつつある。 ビットコインとイーサリアムの先物の米ドルのベーシスは、主要取引所で1ヶ月物が1~3%、3ヶ月物が3~4%と、今週は動意が見られていない。
オプション市場では、全体的にボラティリティに低下傾向が見られる。期近物ではヒストリカル・ボラティリティ(日中の価格変動実績から算出するボラティリティ)が低下していることが、インプライド・ボラティリティに低下圧力をかけている。一方、期先物ではDefi市場からのオプション売りフロー減少のため、ボラティリティの下落幅は限定的となっているが、期先物は昨今のLUNAの大暴落を受けてかなり高いリスクプレミアムを織り込んでいるため、これらが剥落すれば更なる下落につながる可能性がある。ビットコインのATMボラティリティは期近物で68%(先週比-13%)、期先物は71%(先週比-3%)と期間に対して非常にフラットとなっている。イーサリアムでは、大型アップグレードの「The Merge(統合)」を見込んだ、期先物のコールスプレッド(コールの買い+更にその上の権利行使価格のコールを売る組み合わせ、一定の値まで上昇を見込んだオプション戦略)の取引が活発化しており、The Mergeが暗号資産市場の次の大きなテーマとなる可能性を示唆している。
今後の展望
今週の注目経済指標は、5/24(火)に発表される欧州各国と米国のPMIと、FRB(連邦準備理事会)がインフレ指標として重要視するPCEコアデフレーター(5/27(金)発表)であろう。また、5/24(火)にはパウエル議長の発言予定、5/26(木)の朝3時にはFOMC議事要旨が公表される。リスクアセット全体の下落のスピードが落ち始めており、市場はリリーフ・ラリー(下落していた相場が、悪材料の軽減によって反騰する現象)を警戒している面も見られ始めている。 暗号資産が重く推移する一方で、為替市場においてもドルの調整が見られ始めている。次回以降のFOMCでの50bpの利上げは、足元で6月、7月両月ではほぼ織り込み、9月では50%程度である。議事要旨の公開を受けて、特にこの9月以降の織り込みがどう変化するかがリスクアセットやドルに影響を与えそうだ。
(提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。)
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