2023/03/28
デリバティブ市場は強気基調を示唆
先週のハイライト先週の動き
暗号資産市場全般的に、新規材料に乏しく、週の大半は直近の高値圏で推移することとなった。FOMCで0.25%の利上げが発表された直後は一時的に下落したものの、すぐに直前の水準まで戻された。週末にかけて、欧州の大手銀行の破綻という新たな銀行関連の懸念が広がったものの、暗号資産市場では特に反応はみられなかった。そんな中、XRPは力強い動きとなっており、SECとの訴訟に関する楽観的な見方を受けて20%近く上昇した。
フローデータを見ると、前週に続いてBTCはETHと比べて買い選好となっており、他のコインではLINK、XML、AAVEなどが買い越し、LTC、AVAX、XTZが売り越しとなり、XRPも上昇を受けて売り越しとなっている。地域別では欧州・中東地域が売り手、北米地域とアジア・オセアニア地域が買い手となっていた。投資家別でみると、個人投資家、HFT・マーケットメイカーや海外取引所が買い手、ファンド系や銀行系が売り手となっている。
暗号資産先物市場の対ドルベーシスはBinanceでのBTCとETHの6月限月は年率4.0%程度のプレミアムで取引されており、先週の2.5%~3.0%の水準から上昇している。一方で、伝統的な金融機関やファンドなどのフローが集まりやすいCMEのBTC先物は3月限月が18%~20%のプレミアム、4月限月は10%~12%のプレミアムで取引されており、そのような参加者はロングを選好していることが伺える。また、暗号資産業界での米ドルの決済機能が低下しているため、これらの対ドルベーシスはスポットにつれてより動きやすくなっていることが予想される。
暗号資産オプション市場ではスポットがレンジ推移を続けているものの、活発な取引が見られている。市場参加者の見方が分かれており、短期的に達成感が出ると見ている参加者と、2023年を通したブル相場を見る参加者がそれぞれの取引を行うことで、期近物はボラティリティが下落し、長期物は底堅く推移した。4月限月のATMボラティリティは70%から60%に下落、リスクリバーサルは6%程度の上高だったものが2%程度の上高となっている。一方、12月限月は62.5%程度から61.25%程度まで下落。リスクリバーサルは4.5%程度の上高だったものが4.0%程度の上高となっており、長期物の方が底堅く推移していることが分かる。
今週の展望
今週は、金曜日に欧州の消費者物価指数や中国PMI、米PCEデフレーターの発表までは材料が乏しい状態となっている。米国の指標は遅行指数のため特に材料視されないものの、一方で欧州の消費者物価指数は予想を上回るインフレを示す可能性があることから注目が高くなっている。それまでの間は、銀行株やその他の金融システムへの懸念を示すものが出てこないか注視している。暗号資産市場では、中長期筋は買い、短期筋は売りの動きとなっていることから、一時的な下落の動きには注意しなければならず、下値の目安は25,200-26,000ドルとなっている。一方、28,500-29,000ドル近辺に上値抵抗線があり、そこを超えると大量のストップロスにより動きが速くなることが想定される。
(提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。)
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