Market Report

マーケット情報・チャート

2022/06/28

メジャー暗号資産はレンジ推移、アルトコインはアウトパフォーム

先週のハイライト
  • ビットコインなどのメジャー暗号資産は、取引高が少ないなか、潜在的な買いにより支えられレンジ内での推移
  • 個人投資家のロング構築の再開により、アルトコインがアウトパフォーム
  • OTCレンディング市場は、依然として低調に推移、ベーシスは僅かに上昇
  • ボラティリティは低下、ビットコインの期近物のリスクリバーサルの傾きが大幅に解消
  • 信用不安はもとより、木曜発表のPCEデフレーターに注目

  • 先週の動き
    暗号資産市場は、相場下落によるダメージとここ最近起こっているローンの清算・救済や破産などによる評価損の算定のためか、全体的に静かに推移。ビットコインは、暗号資産エコシステム内において、質への逃避のため上昇すると見られていたが、先週のレポートに記載したようにローンの担保とされていたビットコインの売りが起こり、実際には上値重く推移した。市場はローンの清算によるビットコインの売りに神経質になっているが、そのリスクはアルトコインには見られていない。その結果、メジャー暗号資産は取引高が少ないなか、ローンの清算による売り圧力と、アルトコインの上昇がバランスしたことでレンジ内での動きに収まっている。ビットコインは、19,750ドル~21,750ドルのレンジで取引され(レジスタンスは22,750ドル)、イーサリアムは6/19(日)の高値である1,280ドル付近まで上昇(レジスタンスは1,300ドル)。また、一部のアルトコインの回復は著しく、SOL(ソラナ) +20%, MATIC(ポリゴン)+30%, SHIB(シバ) +35%, DOGE(ドージコイン)+25%, UNI(ユニスワップ) +35% などが、アウトパフォームしている。

    売買動向を見ると、メジャー暗号資産においては、ビットコインの買い(52.6%)とイーサリアムの売り(52.7%)にある程度の偏りが見られた。アルトコインにおいては、SOL(ソラナ)、LINK(チェーンリンク)、UNI(ユニスワップ)、AVX(アバランチ)、XLM(ステラルーメン)に強い買いが見られた一方、XRP(エックスアールピー)、LTC(ライトコイン)、ADA(カルダノ)、DOT(ポルカドット)に強い売りが見られた。地域別に見ると、アジア圏と欧州・中東圏が買い越し、米国圏においては売りが優勢であった。顧客カテゴリー別では、銀行系とファンドから強い買いが見られた一方、その他のカテゴリーでは偏りが見られていない。

    OTCレンディング市場は、依然として低調に推移しているが、ビットコイン先物ベーシスは、ほとんどの取引所において、-1%~+1%に回復してきている。オプション市場では、ボラティリティは過去一週間で大きく低下。ビットコイン1ヶ月物ATMボラティリティは、10%低下し80%へ、同様にイーサリアム1ヶ月物は、15%低下し95%で推移している。リスクリバーサルは興味深い動きとなっており、中期物の中心値は12%のプットサイドオーバー(下ストライクのオプションが上ストライクのオプションよりも割高)となっているが、7月1日物リスクリバーサルは、プットサイド5%、7月15日物は10%となってきている。これは市場参加者がビットコインがレジスタンスを上抜けする動きに対してリスクヘッジを急いでいることを意味している。

    今後の展望
    今週は、四半期末の週であり、経済動向はもとより、実需のフローにも左右されるだろう。暗号資産市場では、市場参加者は、引き続き信用リスクとスポット価格の下落に伴うローン清算の増加に焦点を当てることになりそうだ。

    今週発表される米国の重要経済指標は、6/30(木)に発表される5月コアPCEデフレーターと7/1(金)発表のISM製造業景況指数にも注目だろう。前者は、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として重視しており、6/10のCPI(消費者物価指数)に対する市場の反応から判断すると、コアインフレがすでにピークに達しているという兆候が見られれば、金融引き締め警戒感が後退し、リスク資産が上昇することが予想される。後者においては、景気先行指数であるため、リセッション懸念が台頭する中、好不況の分かれ目である50に近づくかが注目だろう。

    また、世界の市場参加者は、ポルトガルのシントラで今週開かれるECBの年次政策フォーラムに注目している。 このフォーラムには、パウエルFRB議長、ECBのラガルド総裁、イングランド銀行(BoE)のベイリー総裁、国際決済銀行(BIS)のカルステンス総支配人が参加し、パウエル議長らは6/29(水)に「急速に変化する世界における金融政策の課題(Challenges for monetary policy in a rapidly changing world)」と題したパネルディスカッションに参加する。 パウエルFRB議長が、景気後退を回避しながら数十年ぶりの高水準にあるインフレを落ち着かせることができるかの発言をする機会となるか注目が集まっている。








    (提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。)
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