Market Report

マーケット情報・チャート

2024/05/01

暗号資産週間レポート(2024.4.21- 2024.4.27)
GrayscaleとBlackRockのETF戦略がもたらすインパクトとは!?

【4/21~4/27週のサマリー】
・Grayscale、GBTCのスピンオフETF「Bitcoin Mini Trust」の予定手数料率を発表
・BlackRockのビットコイン現物ETFが開始以来初の資金流入ゼロに
・Consensys(メタマスク開発企業)、SECと同委員会の5人のコミッショナーを提訴
・フランクリン・テンプルトンのイーサリアム現物ETF「EZET」がDTCCのサイトに掲載


【暗号資産市場概況】
4/21~4/27週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比-0.06%の10,013,000円、ETH/JPYの週足終値は同+5.14%の513,030円であった。(※終値は4/27の当社現物EOD[4/28 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、BlackRockのビットコイン現物ETFが開始以来初の資金流入ゼロを記録し、ビットコイン価格は軟調。イーサリアム現物ETF承認が意識され、イーサリアム価格がビットコイン価格をアウトパフォームする週となった。
週初はGrayscaleが現在運営しているビットコイン現物ETF「GBTC」のスピンオフ「Bitcoin Mini Trust(ティッカー:BTC)」の予定手数料率を発表。米国での現物ETF取引開始以降、GBTCからは大規模な資金流出が続いており、現物ETF中で最も低い手数料率(GBTCの1/10である0.15%)の商品を新設することで、これを軽減する狙いがあると考えられる。新ETFはGBTC保有者に自動的に分配され、その後発行と償還が可能になる見込みだ。新ETFの公開により同社現物ETFからの退出行動に歯止めがかかるとすれば、ETF相場環境が一変する可能性があり、引き続き経過を追いたい内容である。
週央には豪CPI上振れを起点に豪利下げ予測が後退。米耐久財受注の発表から次週発表予定のISM製造業景況指数の強さが連想され、米金利高・米株安のリスクオフ局面が形成される中、BlackRockのビットコイン現物ETF「IBIT」が開始以来初の資金流入ゼロを記録し、ビットコイン価格は高値から5%以上調整。営業日ベースでのIBITへの連続資金流入記録は72日間で幕を閉じた。また、暗号資産ウォレット「メタマスク」の開発企業として知られるConsensysがSECならびにSEC委員5名を提訴
https://storage.courtlistener.com/recap/gov.uscourts.txnd.389154/gov.uscourts.txnd.389154.1.0.pdf)。提訴理由としてSECから4月10日に「ウェルズ通知(最下部「今週のひとこと」で補足)」を受け取っていたことが明らかになり、市場への悪材料となった。
SECはConsensysがメタマスクで提供しているスワップ(トークン交換)機能ならびにステーキング機能について、未登録の証券ブローカーにあたるのではないかとして調査を進めているが、3月27日にはSECとCoinbaseとの訴訟においてCoinbaseウォレットのスワップ機能はブローカーとは認められないとの判断が下されており、実質的な争点はステーキング機能の提供部分となることが想定される。
週末にはDTCC(米国証券保管振替機関)のサイトにフランクリン・テンプルトンのイーサリアム現物ETF「EZET」が掲載されたことで、イーサリアム現物ETF承認への思惑が働き、イーサリアム価格がビットコイン価格をアウトパフォームする結果となった。DTCCは「新ETF発売準備の標準的な手続きであり、承認プロセスの結果を表しているわけではない」と強調しているほか、BloombergのETFアナリストを始めとする専門家は、イーサリアム現物ETFについて5月の承認は見込み薄としているため、イーサリアム現物ETFの承認が棄却された場合、今回構築されたポジションは咎められるかもしれない。
次週以降の展望として、4月30日に香港証券取引所でビットコインならびにイーサリアムの現物ETFが取引開始となる見込みであり注目したい。イーサリアムについては米国の現物ETF承認可否判断に先駆けての解禁であり、米SECの判断材料の一つとなることが考えられる。また、5月1日のISM製造業景況指数は先週のリスクオフ相場に対し現在地点を示すデータとなり得る。翌日の米政策金利発表やパウエルFRB議長発言・アップルの決算等と併せ、発表を見据えた運用を心掛けたい。



[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



[ETH/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



[ビットコイン現物 ETF のネットフローと運用資産残高合計]

(緑・赤のバーがネットフロー / 白線が運用資産残高合計)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)



【4/21~4/27週の主な出来事】



【4/28~5/4週の主な予定】


【今週のひとこと】ウェルズ通知
今週、ConsensysがSEC(米国証券取引委員会)とSEC委員5名を提訴するというニュースがありました。これは、Consensysが4月10日にSECから受け取ったウェルズ通知に対し、先手を打って行った訴訟であると解釈できます。

ウェルズ通知とは、1972年に当プロセスを提案したSECのウェルズ委員会が由来となっており、SECが個人や企業に対し法的措置を講じる予定であることを正式に伝える公文書のことです。SECはこの通知で、民事訴訟を提起する可能性あることを示すとともに、30日以内に提訴すべきではない理由について情報提供を行う機会を与えます。

過去には、2023年3月にCoinbaseがSECからウェルズ通知を受け取っています。SECは同年6月にCoinbaseを提訴し、CoinbaseはSECの訴訟を棄却するよう申し立てを行っていました。2024年3月には、SECの訴えが一部却下されたものの、その他の内容については裁判を続行する判断が下されました。

このように、ウェルズ通知を経て訴訟に発展すると長い期間の係争が続くことが予想されます。本件の訴訟結果は、Consensysのみならず、多くの暗号資産ソフトウェアプロバイダーに対し重大な影響を及ぼすため、今後の行方にも注目が必要です。


(SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)


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