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「暗号資産のWeb3活用」シリーズでは、SBI VCトレードをご利用の皆さまや、暗号資産(仮想通貨)の活用に関心のある皆さまに向けて、暗号資産を「保有」するだけでなく、積極的に「活用」するための視点をご紹介しています。
今回取り上げるのは「ブロックチェーンゲーム(Blockchain Game/BCG)」です。従来のゲームと異なり、暗号資産やNFTを活用できる点が特徴で、楽しみながら経済活動にも参加できるとして世界的に注目を集めています。
本記事では、従来のゲームとの違いや、代表的なビジネスモデル、ブロックチェーンゲーム事例やSBI VCトレードが取り扱う関連銘柄について解説します。
※本記事は、一般的な情報提供を目的としたものであり、いかなる投資アドバイスでもありません。本記事の内容に準拠して投資判断を下すことはお控えいただき、投資に関する判断はご自身の判断で行なってください。

1. ブロックチェーンゲーム市場
ブロックチェーンゲーム(以下、「BCG」)は、Web3サービスの中でも特に成長が予測される分野です。調査会社によって数字は異なるものの、いずれも「今後数年で急成長が予測される市場」である点で一致しています。
調査会社Fortune Business Insightsによれば、2022年の市場規模は1,286億ドル、2023年には1,544億ドルと推定されています。年平均成長率(CAGR)は21.8%で成長し、2030年には6,149億ドルに到達すると予測されています。
調査会社Grand View Researchによれば、2024年の市場規模は130億ドルと推定されています。年平均成長率(CAGR)69.4%で成長し、2030年には3,015億ドルに到達すると予測されています。
調査会社Global Informationによれば、2024年の市場規模は122億ドルと推定されています。年平均成長率(GACR)は44.17%で成長し、2025年には175億ドル、2030年には1,096億ドルに到達すると予測されています。
2. 従来のゲームとBCGの違い
BCGの新規性を理解するには、従来のオンラインゲームと比較するのがわかりやすいでしょう。この項目では、アイテムやキャラクターの自己管理、公正な取引環境、ゲームの透明性という3つの観点から、両者の違いを説明します。
アイテムやキャラクターの自己管理
従来のゲームでは、アイテムやキャラクターは全て運営会社のサーバーに保存されており、サービス終了とともに消えてしまいます。
BCGではアイテムやキャラクターをNFT化し、運営会社のサーバーではなく、プレイヤー自身の「ウォレット」で管理します。これにより、サービスが終了してもNFTは残り続けます。
公正な取引環境
オンラインゲーム内で取得したアイテムやキャラクターを現実のお金で取引することをリアルマネートレード(RMT)といいます。
従来のゲームでは、詐欺や不正アクセス、ユーザー間のトラブルなどのプレイ環境を阻害する行為を防止し、健全なプレイ環境を提供するため、多くの場合はRMTが利用規約で禁止されてきました。
実際に、国内の大手フリーマーケットサービスのメルカリでは、「ゲームアカウントやゲーム内の通貨、アイテムなどの電子データ」の出品を禁止しています。
しかし、ChillStackの調査によれば、パブリッシャーが関与しない非公式な場で行われるRMTの規模は、2019年時点で約2,600億円と推定されており、社会的な問題となっています。

BCGでは、NFTマーケットプレイスを通じて、NFT化されたゲームアイテムやキャラクターを公式に売買できるように設計されています。つまり、非公式なRMTを排除し、公正な取引環境が整っています。

ゲームの透明性
BCGでは予めゲームアイテムやキャラクター、ゲーム内通貨などの流通量が決められており、スマートコントラクトを用いてルールを公開しています。そして、一度ブロックチェーンにデプロイ(配置)されたスマートコントラクトは、基本的にそのコード自体を書き換えることはできません。
また、NFTの取引履歴もブロックチェーン上で公開されています。NFTが誰のウォレットから誰のウォレットに移動したかという記録が誰でも確認できるため、取引の透明性が担保されます。
3. 「稼ぐ」モデル? X to Earnとは
BCGの大きな特徴は、収益モデルの変化です。従来は「課金して遊ぶ(Pay to Play)」や「課金して有利に進める(Pay to Win)」が中心でしたが、BCGでは「X to Earn(◯◯して稼ぐ)」というモデルが主流です。
ゲームをプレイすることで暗号資産やNFTなどのトークンを獲得でき、暗号資産取引所やNFTマーケットプレイスで取引可能にすることで、「稼ぐ」という体験が可能になりました。
Play to Earn(P2E)
ゲームで遊ぶことでトークンを獲得できる仕組み。代表例は「Axie Infinity」です。
Move to Earn(M2E)
歩いたり走ったりといった現実の行動をゲームに取り込み、トークンを獲得できる仕組み。代表例は「STEPN」です。
Snap to Earn(S2E)
スマホで写真を撮ることでトークンを獲得できる仕組み。代表例は「SNPIT」です。
4. ブロックチェーンゲームのリスク
X to Earnの仕組みは単なるゲームの枠を超え、日常生活そのものを収益化する新しい可能性を示す一方で、リスクについても理解しておくことが必要です。
 
BCGをプレイするためには最初に暗号資産やNFTを購入するための初期投資が必要な点や、獲得した暗号資産やNFTの価値が大きく変動する価格変動リスクが伴います。
また、従来のゲームに慣れ親しんだユーザーにとって、ウォレットの作成や秘密鍵の管理、暗号資産の購入といった一連のプロセスは煩雑であり、新規プレイヤーの参入を妨げる要因となっています。そして、秘密鍵を紛失すると、ウォレット内の全資産にアクセスできなくなるリスクも伴います。
 
BCGは「稼ぐ」という点に注目が集まりやすいですが、これらのリスクを正しく理解し、各コミュニティで積極的に情報を集めながら慎重に判断することが大切です。
5. 有名なブロックチェーンゲームの事例
このセクションでは、BCGの歴史を象徴する代表的な事例を、時系列で5つ紹介します。
CryptoKitties(2017, Dapper Labs, Ethereum)

(画像出典:CryptoKittiesプレス)
猫を育成・繁殖させるNFTゲーム。2017年のリリース当時、取引量の増加によりイーサリアムのネットワークが混雑するほどの話題を呼び、NFTブームの火付け役となりました。
イーサリアム(ETH)はSBI VCトレードで取り扱いがあります。
Axie Infinity(2018, Sky Mavis, Ronin Network)

(画像出典:Axie Infinity: Atia’s Legacy Media Kit)
NFTキャラクター「アクシー(Axie)」を育成・繁殖・対戦させるP2Eの代表作。DappRadarのデータによれば、2021年には累計取引額が11.7億ドルを突破し、月間のプレイヤー数は約280万人に達しました。これは、コロナ禍により失業率が増加し、特にフィリピンなどの一部地域で生活費を稼ぐ手段として利用された背景もあります。
アクシーインフィニティ(AXS)はSBI VCトレードで取り扱いがあります。
STEPN(2021, Find Satoshi Lab, Solana/BNB/Polygon)

(画像出典:STEPN MEDIA KIT)
「歩いて稼ぐ」Move to Earnを世界的に広めたアプリ。NFTスニーカーを購入し、移動距離に応じてトークンを獲得できます。リリース直後から世界的な人気を集め、健康と経済活動を結びつけた新しいライフスタイルを提示しました。ゲーム内のユーティリティトークン「GST(Green Satoshi Token)」やガバナンストークン「GMT(Green Metaverse Token)」はソラナ(SOL)と交換ができます。
ソラナ(SOL)はSBI VCトレードで取り扱いがあります。
SNPIT(2023, GALLUSYS, Polygon)

(画像出典:SNPIT design-resource)
日本発のSnap to Earn。カメラNFTを使用して写真を撮り、撮った写真でバトルに参加したり、投票したりしてポイントを獲得できます。カメラNFTはポリゴン(MATIC)で購入し、獲得したポイントはビットコイン(BIT)と交換することも可能です。SNPITは、秋元康氏が戦略顧問として関与したことでも注目を集めました。
ポリゴン(MATIC)とビットコイン(BTC)はSBI VCトレードで取り扱いがあります。
魁 三国志大戦 -Battle of Three Kingdoms-(2025, double jump.tokyo, Oasys)

(画像提供:double jump.tokyo)
セガの人気IP「三国志大戦」のブロックチェーンゲーム。ゲーム特化型のブロックチェーンであるOasysを採用しています。大手ゲームIPの参入は、ブロックチェーンゲーム市場の拡大と一般層への普及に大きな役割を果たすと考えられます。
オアシス(OAS)はSBI VCトレードで取り扱いがあります。
6. まとめ
ブロックチェーンゲーム(Blockchain Game/BCG)は、従来ゲームが抱えていた「資産が残らない」「取引が制限される」「内部が不透明」といった課題を解決し、プレイヤーがデジタル資産を所有するという新体験を提示しました。各調査会社によれば、BCG市場は今後の成長が予測されています。
その一方で、ブロックチェーンゲームには初期投資やトークン価格の変動リスク、ウォレットの自己管理が必要になるといった従来にはなかった注意点も存在します。これらのポイントを理解した上で、ご自身の投資方針に合わせて暗号資産の活用を検討されることが大切です。
SBI VCトレードでも、イーサリアム(ETH)、アクシーインフィニティ(AXS)、ソラナ(SOL)、ポリゴン(MATIC)、ビットコイン(BTC)、オアシス(OAS)など、ブロックチェーンゲームと関連する暗号資産を取り扱っています。
本記事が、暗号資産をWeb3サービスで活用する際の参考になれば幸いです。
参考
・CryptoKitties公式サイト
・Axie Infinity公式サイト
・STEPN公式サイト
・SNPIT公式サイト
・魁 三国志大戦公式サイト
・SBI VCトレード「新作ブロックチェーンゲーム『魁 三国志大戦』|注目される理由・魅力を解説」