前提
2023年から現在にかけてのトレンドプロジェクトの一つとして「Solana」が挙げられます。
暗号資産(仮想通貨)マーケットが低迷する中、ソラナ(SOL)は順調な成長を見せてきました。その背景には、技術的な特性だけでなく、独自に形成された多様なエコシステムがあると考えられます。
そこで本レポートでは、Solana基本情報を網羅するだけでなく、
- 暗号資産ソラナ(SOL)が注目される理由
- 勢いに乗るSolanaエコシステムの現状
- 暗号資産ソラナ(SOL)の今後の展望・将来性
についてまとめます。
本コラムを読むことで、ソラナ(SOL)取引を検討する上での重要な現状理解を深めることができると思います。
2023年1月時点での現状については、以下のレポートに詳しくまとめています。今回の内容を理解する上で併せてお読みいただくことで、より理解を深めることができます。
関連レポート:FTX/Alamedaショックを受けたSolanaエコシステムの現状と今後の展望
1.暗号資産ソラナ(SOL)が注目される理由
● Solanaの基本概要と技術的な特徴
Solanaは、処理性能に最適化されているブロックチェーンです。
一般的なEthereum(イーサリアム)などのセキュリティを重視するブロックチェーンは、取引を決済処理するまでに時間がかかり、高速で大量の取引を処理するために設計されていません。
一方、Solanaは取引を高速・大量で処理することに特化しているため、世界中で既に利用されているアプリケーションと同じような操作感でネットワークを利用することできるのが技術的な特徴です。
● 多様なユースケース
近年では、決済大手Visaがステーブルコイン決済としてSolanaを採用し、ECサイトプラットフォームのShopifyではソラナ(SOL)決済を導入するなど、大手企業を中心にユースケースを拡大させています。Solanaの安定した決済パフォーマンスは、様々なビジネスシーンでの利用価値が注目されるようになっています。
2.勢いに乗るSolanaエコシステムの現状
● 拡大するSolanaエコシステムを定量的に見る
Solanaに預けられたトークン価値の合計(TVL: Total Value Locked)は、2022年をピークに2024年に回復基調を示しています。
(出典:https://defillama.com/chain/Solana)
以下の図は、暗号資産(仮想通貨)ソラナ(SOL)の価格、Solana上での取引量を示しています。
およそTVLと相関がありますが、2024年に入り取引量が急騰しています
(出典:https://defillama.com/chain/Solana)
特にソラナ価格は、2022年末のFTX崩壊前の水準を超え、大きな成長を見せていることは注目に値するでしょう。
● Solanaのアップグレードと開発コミュニティの持続的コミットメント
Solanaで導入される新たなアップグレードには、トークン・エクステンションが挙げられます。これは、Solanaでのトークン作成をより柔軟にする仕組みが導入される予定です。
また、Solanaをテーマにしたハッカソンでは、過去3年間で3,000を超えるプロジェクトが参加し6億ドルを超える賞金が集まりました。近年注目されているAI分野とブロックチェーンの組み合わせにも積極的です。
(出典:https://solana.com/news/2023-state-of-solana-developer-ecosystem)
3.暗号資産ソラナ(SOL)の今後の展望・将来性
● ソラナ(SOL)に対するポジティブな予測
米国大手資産管理会社VanEckによれば、2024年の予測として、暗号資産(仮想通貨)ソラナ(SOL)が時価総額、TVL、アクティブユーザー数の観点でイーサリアム(ETH)に次いで第3位となると主張しています。
なお、ビットコイン(BTC)で注目を集めた現物ETFについても、資産運用会社がソラナの申請を行う可能性があると予測しています。
さらに、アーク・インベストメント・マネジメントによる2024年の予想レポート「ビッグ・アイデア2024」では、Solanaにおけるブロックチェーンの仕組みや効率性、パフォーマンスを高く評価しており、暗号資産市場に大きな影響を与えると期待が寄せられています。
● ソラナ(SOL)の成長におけるリスク
ソラナ(SOL)におけるポジティブな検討材料はこのように多く存在します。一方で、
1. Ethereum(イーサリアム)などと比べ開発者やエコシステムの規模が小さいこと
2. ネットワークの一時的な停止
3. バリデーターのコストを持続的にカバーする方法
など、懸念材料は存在しています。
これらは、今後のネットワークの成長の課題と言えるでしょう。また、ブロックチェーンの処理性能の観点では、Ethereum(イーサリアム)のレイヤー2など多くの競合が生まれています。
しかし、そのような環境下でもSolanaは独自のエコシステムを形成している点は注目に値します。
4.総括
本レポートでは、暗号資産(仮想通貨)ソラナ(SOL)の現状と将来性ついて解説を行いました。
ビジネスシーンでの採用だけでなく、Solanaを採用する消費者向けのアプリケーションが普及するにつれて、その存在感をさらに強めていく可能性があると言えるでしょう。
参考文献
· What Solana Devs Can Look Forward to in 2024
· The 2023 State of the Solana Developer Ecosystem
· A deep dive on Solana, a high performance blockchain network
· VanEck’s Base, Bear, Bull Case: Solana Valuation by 2030
【ご注意事項】
本記事は執筆者の見解です。本記事の内容に関するお問い合わせは、株式会社HashHub(https://hashhub.tokyo/)までお願いいたします。また、HashHub Researchの各種レポート(https://hashhub-research.com/)もご参照ください。
提供:HashHub Research
執筆者:HashHub Research