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「暗号資産のWeb3活用」シリーズでは、SBI VCトレードをご利用の皆さまや、暗号資産(仮想通貨)の活用に関心のある皆さまに向けて、暗号資産を「保有」するだけでなく、積極的に「活用」するための視点をご紹介しています。
暗号資産に興味を持ったり、取引を始めたりする際、多くの人がまず暗号資産取引所(※1)の口座の開設をし、必要に応じてウォレットを作成するのではないでしょうか。
この「口座」と「ウォレット」はどちらも暗号資産の管理手段でありながら、目的や管理方法には明確な違いがあります。
本記事では、暗号資産の活用に欠かせない暗号資産取引所の「口座」と「ウォレット」について、ブロックチェーンの基本的な仕組みにも触れながら、それぞれの特徴や使い分けのポイントを丁寧に解説します。
1. 暗号資産取引所の「口座」とは?管理の仕組み
暗号資産取引所の「口座」とは、利用者の暗号資産を動かす「秘密鍵」を、暗号資産交換業者(※2)が預かり、管理するオンラインサービスです。この形式では、利用者は自身で秘密鍵を管理することなく、暗号資産の保有・売買・運用を行うことができます。
また、暗号資産取引所は、日本円などの法定通貨から暗号資産を取得するための主要な手段のひとつであり、初めて暗号資産に触れる方も多く利用しています。
2. 「ウォレット」とは?ブロックチェーンと「鍵」の役割
「ウォレット」とは、ブロックチェーン上に記録された暗号資産を利用者自身で管理・操作するためのツールです。これは、利用者が秘密鍵を管理する「ノンカストディアル(自己管理型)」の形式です(※3)。
ブロックチェーンは「分散型台帳」とも呼ばれ、暗号資産の保有や取引履歴がネットワーク全体に分散して記録されています(※4)。ウォレットは、その記録にアクセスし、暗号資産の送受信などを行うための「鍵」を管理しています。
・秘密鍵:暗号資産へのアクセス権を持ち、送金などの操作を承認するための文字列です。
・公開鍵:秘密鍵から導出される、取引の検証などで使用する文字列です。
・アドレス:公開鍵から導出される、暗号資産の送受信で使用する文字列です。ウォレットアドレスともいわれます。
3. 取引所口座とウォレットの違いと補完関係
暗号資産取引所の口座とウォレットには、以下の違いがあります。
このように、両者には明確な違いがある一方で、それぞれの機能は互いに補完し合う関係にあります。
暗号資産取引所の口座は、暗号資産の取得や取引に適しており、ウォレットは取得した暗号資産を自分自身で管理し、Web3サービスで活用するための手段として利用されます。
たとえば、SBI VCトレードで暗号資産を購入し、それをウォレットに出庫してWeb3サービスを利用するという流れが、暗号資産の活用方法の一例です。
4. 暗号資産をウォレットに出庫する際に気をつけたいこと
ウォレットは暗号資産をWeb3サービスで活用する際に必須のツールですが、暗号資産取引所の口座からウォレットへ暗号資産を出庫する際には、慎重な操作が求められます。
最も重要なのは、送金先アドレスの正確な確認です。誤ったアドレスを指定して出庫した場合、その暗号資産は失われる可能性があります。金額が大きい出庫を行う際は、あらかじめ少額のテスト送金を行い、出庫が正常に行えるかを確認することを推奨します。
参考:【SBI VCトレード完全ガイド】第8回 暗号資産の入出庫
5. まとめ
暗号資産取引所の「口座」と「ウォレット」は、一見似ているようでいて、その目的や管理方法に明確な違いがあります。
「口座」は暗号資産の保有・取引・運用に適した仕組みであり、「ウォレット」は取得した暗号資産を自ら管理し、活用するためのツールです。
それぞれの特性を正しく理解し、目的に応じて使い分けながら、ご自身のスタイルに合った形で暗号資産を活かしていきましょう。
(※1)正式には「暗号資産交換業者が提供する販売所・取引所及び各種サービス」ですが、文中では一般的な理解のしやすさを優先し、「暗号資産取引所」と記載しています。
(※2)日本の居住者を相手に、株取引やFX取引、暗号資産取引などの金融商品取引業・暗号資産交換業を行う者は、日本の法令に基づき、登録を受ける必要があります。
(※3)本シリーズでは、「ユーザーを中心とした各要素の関係図」を元に「ノンカストディアルウォレット」について解説していますが、ウォレットの種類によっては中央管理者が「鍵」を管理する「カストディアルウォレット(管理委託型)」もあります。
(※4)本シリーズでは、中央集権的な管理者が存在しない「パブリック型」のブロックチェーンを中心に解説しています。
参考
・金融庁「無登録業者との取引は要注意!!〜無登録業者との取引は高リスク〜」
・経済産業省「Web3.0事業環境整備の考え方」