2026/05/14

暗号資産週間レポート(2026.5.3~2026.5.9)
中東和平枠組みへの合意期待とBTC一時8.2万ドル到達―地政学リスクの再燃を挟むも心理的節目8万ドル台を維持


【5/3~5/9週のサマリー】

・米・イラン和平枠組みへの期待からビットコインは一時82,000ドル台後半まで上昇
・先々週末の米上院のステーブルコイン規制の妥協案合意を受け、CLARITY法案進展への期待が相場を下支え
・トランプ大統領の強硬姿勢や中東情勢の緊迫化による調整局面を挟みつつも、ビットコインは80,000ドル台を維持
・Strategy社、Coinbase社が第1四半期決算を発表


【暗号資産市場概況】

5/3~5/9週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+2.29%の12,654,500円、ETH/JPYの週足終値は同▲0.07%の365,195円であった(※終値は5/9の当社現物EOD[5/10 6:59:59]レートMid値)。

先週の暗号資産市場は、中東情勢の緩和期待や規制進展観測、デリバティブ市場におけるショートカバーを背景に上昇基調が強まった一方、地政学リスクの再燃により上値の重さも意識され、ビットコインは一時的な調整を挟みつつも80,000ドル台を回復し、その後も同水準を維持して週を終えた。

週初、トランプ大統領によるホルムズ海峡の船舶誘導計画(通称「プロジェクト・フリーダム」)の開始を受け、中東情勢の緩和期待が高まり、リスクオンの流れが優勢となった(同プロジェクトは6日に一時停止)。
これを背景に、ビットコインはロングポジションの流入も伴い、心理的節目である80,000ドルを回復した。

その後、イランの警告を無視してホルムズ海峡を通過しようとした米軍艦にミサイルが命中したとの報道を受け、地政学的緊張が再燃。一時は78,000ドル台まで下落したものの、売りは限定的にとどまり、再び80,000ドル台を回復した。
週央には、米国がイランに提示した覚書を巡り、両国が基本合意に近づいているとの報道が伝わり、停戦期待が再び高まった。覚書には、ホルムズ海峡の段階的再開、暫定停戦および協議枠組み、核開発停止などを含む複数項目が盛り込まれており、市場では限定的ながらも合意成立への期待が意識された。
この流れを受け、ビットコインは1月31日以来となる82,000ドル台後半まで上昇した。

さらに、規制面における進展期待も相場の下支え要因として機能したとみられる。
特に、先々週末にCLARITY法案(暗号資産市場構造法案)と並行して審議が進むステーブルコイン規制を巡る議論において妥協案が形成されたことは、議会審議の前進を示す重要な動きとして意識された。

加えて、この上昇局面ではデリバティブ市場の動向も価格上昇を後押ししたとみられる。未決済建玉(OI)は増加基調を維持する一方、ファンディングレートはマイナス圏で推移しており、市場参加者のポジションがショートに偏っていた可能性が示唆される。
このため、価格上昇に伴いショートカバーが断続的に発生し、上昇圧力を増幅させたと考えられる。また、累積出来高デルタ(CVD)もプラス圏へ転換しており、マーケット注文ベースでの買い優勢が確認された点も特徴的である。

一方で、トランプ大統領がイランとの合意について「時期尚早」と発言したほか、「合意しなければより激しい攻撃を行う」と警告するなど強硬な姿勢を示したことや、イラン側が回答を引き延ばす姿勢を見せたことを受け、終結期待は後退。加えて、ペルシャ湾周辺での爆発報道なども重なり、地政学リスクが再び意識される展開となった。これにより、ビットコインは79,000ドル台まで軟化した。

マクロ面では、8日に発表された米雇用統計が市場予想を上回る結果となり、労働市場の底堅さが示された。発表直後にはビットコインが上方向に反応し、一時的に上髭を形成したものの、その後は反落し、方向感に欠ける展開となった。ドル主導の短期的な値動きにとどまり、トレンドを形成するには至らなかった。最終的にビットコインは80,000ドル近辺での推移に回帰し、週末にかけては81,000ドル台まで強含み、心理的節目を維持して週を終えた。

今週は、米上院銀行委員会によるマークアップ(審議・修正・採決)が14日に予定されており、規制整備の進展が注目される。仮に法案が前進すれば、規制の明確化を通じて機関投資家の参入を促し、中長期的な資金流入の契機となる可能性がある。一方で、消費者保護や倫理規定を巡る政治的対立は依然として残っており、最終的な成立までには複数のハードルが存在する点には留意が必要である。なお、予想市場プラットフォームである Polymarket においては、本稿執筆時点で年内可決確率が70%超まで上昇しており、先月の40%台から大きく改善している点も注目される。



[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)


[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)


[米BTC現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、BTC価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がBTC価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)


[米ETH現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、ETH価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がETH価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)


[米XRP現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(日足)、XRP価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がXRP価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)



【5/3~5/9週の主な出来事】


【5/10~5/16週の主な予定】



【今週のひとこと】テレグラムによる主導体制への復帰と、TONコイン急騰の背景分析

暗号資産市場において、TON(The Open Network)が驚異的なパフォーマンスを見せています。5月3日時点で約210円であった価格は、短期間で100%を超える上昇を記録。この急騰の背景には、テレグラム(Telegram)の創設者が「テレグラム自らがTONブロックチェーン最大のバリデータになった」と発表したことが大きく影響しています。

今回の発表は、実に6年ぶりにテレグラムがTONのガバナンスを直接主導する体制に戻ったことを意味します。
この体制変更に伴い、TONの取引手数料は従来の6分の1(実質ゼロに近い水準)まで引き下げられ、懸念されていた少額決済のコスト問題が解消されました。これにより、10億人を超えるテレグラム・ユーザーが直接Web3エコシステムへ流入する道筋が整い、技術の普及が加速するとの期待が高まっています。

現在、同社は「Make TON Great Again(MTONGA)」という野心的な計画を推進しています。これは、テレグラムを単なるチャットアプリではなく、あらゆるサービスを集約した「スーパーアプリ」へと進化させるものです。具体的には、インストール不要のミニアプリを通じてゲームや通販サイトを統合し、広告収入の50%をTONで運営者に還元する仕組みを導入。ユーザーが利用すればするほど、エコシステム内でTONが循環する強固な経済圏の構築を目指しています。

市場の反応は極めて敏感です。TON上の主要DEX(分散型取引所)である「STON.fi」では、1日のスワップ取引量が150万ドルから4,000万ドル超へと約26倍へ急増しました。デリバティブ市場も過熱しており、一部の大口投資家が約539万ドル相当(197万TON)の3倍ロングポジションを構築するなど、投機筋からも強い関心を集めています。

国内においては、SBI VCトレードがTONの現物取引に対応しており、日本の投資家にとってもこの急速な市場の変化にアクセスしやすい環境が整っています。




(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



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