2022/07/26
上昇トレンド入り?または一時的な上昇か?
先週のハイライト先週の動き
暗号資産スポット市場ではETH開発者のTim Beiko氏が9月のThe Mergeアップデートが実施可能な見通しを示したことから、ETHに注目が集まり、他の暗号資産価格の上昇をけん引している。その間、ETH/BTCクロスは0.055から0.070まで約25%上昇。BTCは先週火曜日に23,000ドルの上値抵抗線を超えたものの、そのレベルでは売りが強い状況となっており、一時24,200ドルの高値を付けた後は上値の重い推移となった。今週に入ってからBTCはアジア市場での下落の動きが顕著になっており、ETHが1,500ドル近辺にとどまっているなか、BTCはサポートレベルの21,000ドル近辺まで下落している。
フローデータによると、プライスアクションにかかわらずBTCでETHを上回る買いがみられた。ETH/BTCクロスで大きな売買がみられたことを踏まえると、短期トレーダーによる短期的な動きを狙った買いであると見受けられる。他のコインではDOGEとXRPで売りが見られ、BCH、ADA、UNI、BNB、XTZなどでは強い買いが見られた。地域別でみると欧州・中東圏の顧客が買いの中心となっており、顧客種別でみた場合、銀行系が強い買い手となっていた。
暗号資産先物市場では材料に乏しい展開が続いており、主要取引所ではBTCの1カ月物ベーシスが1%前後、3カ月物ベーシスが2.5%前後で推移している。暗号資産OTCレンディング市場は引き続き取引は低調なままだが、ETHのThe Margeアップデートに向けて、ETHの調達をするのがかなり難しくなっていることは注目に値する。
暗号資産オプション市場ではETHオプションの取引が非常に目立った。ETHのボラティリティはBTCに比べて、20%~25%高の大幅なプレミアムで取引されている。更にThe Margeアップデートに向けて上ストライクのオプションの需要が強く、リスクリバーサル(下ストライクのオプションと上ストライクのオプションのボラティリティの差)はプラスとなった。これは、ETHの上のオプションの需要が高いことを示しており、大手暗号資産投資家の信用リスクからスポットが下落基調となって以降、久しぶりに上方向への期待感が高まっている。その中でも活発に取引されているのは、ETHの2,500ドル近辺のストライクのオプションを買い、3,000ドル程度のストライクのオプションを売る取引で、買いと売りを組み合わせることで、プレミアムの支払いを少なくすると共に、2,500ドルから3,000ドルの間の上昇を取れるポジションとなっている。
今後の展望
マクロ投資家は今週の米FOMCに最も注目しており、それに加えて今週予定されているGAFAM企業の決算報告も注視している。最近のUSD高基調が米企業の決算にどのような悪影響を与えているかを見極めたいようだ。 2週間前の米CPIは予想を上回る上昇となり、7月FOMCで1.0%の利上げの可能性も、最近は落ち着いたものの一時活発に議論されていた。仮に現在の市場予想通り0.75%の利上げであったとしても、パウエル議長の発言から9月のFOMCのヒントを探ろうとするだろう。 暗号資産市場の見通しは不透明であるが、米CPIの結果を受けても下値は限定的となっており、BTCは20,000ドル近辺で売りが一巡したと見受けられる。マーケットでは先週の高値を更新し、30,000ドルに接近できるか期待されているが、直近はBTCが21,400ドル割れとなり、ETHが1,475ドルを下回った動きとなっていることから、先週までの上昇が本格的なものか一時的なものかを慎重に見極める必要がある。
(提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。)
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