2025/11/17
暗号資産週間レポート(2025.11.9~2025.11.15)
BTC・ETHともに下落基調へ:政府閉鎖終了とXRP現物ETF上場が市場に与えた影響
【11/9~11/15週のサマリー】
・ブロック社のスクエア、400万店舗でビットコイン決済開始
・KDDI、Pontaポイントをステーブルコインに
・Visa、米国でステーブルコイン送金の実証実験を開始
・史上最長43日間の米国政府閉鎖が終了
・JPモルガン、法人顧客向けに預金トークン「JPMコイン」の提供を開始
・米国初XRP現物ETFがNASDAQに上場
・ハーバード大学基金内で最大の保有銘柄がビットコイン現物ETFであると判明
【暗号資産市場概況】
11/9~11/15週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲6.04%の14,732,050円、ETH/JPYの週足終値は同▲6.49%の488,295円であった(※終値は11/15の当社現物EOD[11/16 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、週初から週末にかけて軟調な推移となり、金曜にはビットコインが9万4,590ドルの6カ月ぶり安値に達した。オンチェーン分析プラットフォームのSoSoValueのデータによると、11月13日(米国時間)、ビットコイン現物ETFは合計約8億7,000ドル(約1,340億円)の純流出を記録し、過去2番目の規模となった。主要テック株の多くが同様の下落を見せるなか、ビットコインのデリバティブ指標も弱さを示している。市場参加者の関心は底打ちのタイミングや価格回復のために何が必要なのかといった事項に向かっている。
11月13日(日本時間)米国のトランプ大統領は下院で可決された予算法案に署名、史上最長となった43日間の政府閉鎖に終止符を打ったことは市場にとって一時的な好材料となった。米国時間11月13日には米国初となるXRPの現物ETFがNASDAQに上場、ブルームバーグのシニアETFアナリスト、エリック・バルチュナス氏によれば、これは今年ローンチされた約900のETFの中で最大の初日取引高となるとのことで華々しいデビューを飾った。一方でリスクオンムードは長く続かなかった。米政府機関は再開したが経済データは依然として揃わず、連邦準備制度理事会(FRB)当局者の発言に注目が集まる中で利下げに対する慎重な発言が散見されたことで投資家の利下げ期待は後退している。本年の投票権を有するコリンズ米ボストン連銀総裁は政策金利を当面据え置く必要があると言及。また、労働市場の減速に言及し利下げの必要性を主張していた米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁も12月連邦公開市場委員会(FOMC)での政策を巡る判断はまだ保留とした。このことを受けて市場では12月利下げの確率が1カ月前の95%から49%まで低下した。さらにトランプ米大統領が食料価格高騰を抑制するため関税引き下げの意向を示したことは、「関税は物価上昇(インフレ)を招かない」と主張してきたトランプ政権にとって、事実上の方針転換とも捉えられ、関税の引き上げに伴うインフレ高止まり懸念が改めて意識されることとなった。こうした一連の発言が市場の不透明感を高め、リスク資産からの資金流出を加速させている。
デリバティブ市場の洞察からも投資家の慎重な姿勢が示唆される。Glassnodeによれば10月のレバレッジフラッシュ以来、ビットコイン無期限先物の資金調達金利と建玉の両方が低下しており、デリバティブ市場における投機意欲の弱さを浮き彫りにしている。しかしこれは再び大きなボラティリティが生じる前によく見られるプロセスの一つである。また、オプション価格から導き出される将来のボラティリティに対する市場の期待を測定するビットコインのインプライド・ボラティリティ指数であるDVOLは、10月10日の清算イベント以来、40から50の間で変動し、高いレンジで推移しているが、この範囲での動きは、市場がパニック状態に入ることなく、高い不確実性の中でのベースラインに適応したことを示唆している。DVOLのさらなる拡大は見られていないことは行き詰まり感のある市場センチメントの中でもよく持ちこたえている状態と評価できるのではないか。
市場ではビットコイン10万ドルという心理的な防衛線を抱え、底値をつけるタイミングをうかがいながらも明確なマクロシグナルを待望している。ビットコインは2020年以降、機関投資家の参入が進むにつれて株と同様の「リスク資産」としての性格を強め、NASDAQ指数との相関係数は0.6〜0.8の高水準で推移することが多くなった。仮想通貨マーケットメーカー大手Wintermuteが公表したビットコインとNASDAQ100指数との相関性に関する最新分析レポートによれば両者の相関係数は依然として0.8と高水準を維持しているものの、ビットコインは株式市場の上昇局面では反応が鈍い一方、下落時には増幅して連動する「非対称性」を示していると指摘している。また、同レポートによるとビットコインのパフォーマンス・スキュー(株式市場の上昇日と下落日におけるビットコインの反応差)は365日ベースで2022年の弱気相場以来最も高い水準に達した。そしてこのような非対称性や極端な負のスキューは、市場の天井ではなく底値圏で観測されやすいパターンだという。暗号資産市場の成熟はビットコインと金、株の関係性を変え続けており、機関投資家の参入を促し、ビットコインはマクロ経済の影響を受けやすい資産となっている。
今週は米労働統計局(BLS)から9月の雇用統計が11月20日(日本時間)に発表される予定だが、政府報道官は10月の雇用統計や消費者物価指数(CPI)の発表はできない可能性があると明らかにした。先週、市場はADP週次データに敏感に反応したが普段はこのデータに市場が反応した例はほとんどない。市場がいかにデータに飢えているかがうかがえる。したがって、今週も引き続き民間のデータ発表にも余念のない確認をされたい。
[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がビットコイン価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がイーサリアム価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
【11/9~11/15週の主な出来事】

【11/16~11/22週の主な予定】

【今週のひとこと】XRPの現物ETFがNASDAQに上場
米国時間13日、米国初となるXRPの現物ETFがNASDAQに上場しました。今回上場したのは、Canary Capital社が提供するXRPの現物ETF(ティッカーシンボル:XRPC)であり、上場初日に約5,800万ドルもの出来高を記録しました。この数字は、今年新たに立ち上げられた約900本のETFの中で最も大きな出来高であり、投資家の暗号資産市場への関心の高さを示しています。
また、暗号資産関連のETFとしては、先月Bitwise社がローンチしたSOLの現物ETF(ティッカーシンボル:BSOL)も上場初日に約5,700万ドルの出来高を記録しました。 注目すべき点として、XRPCは上場初日こそ純流入が確認されなかったものの、翌14日には約2億5,000万ドルという大規模な純流入を記録し、市場関係者の注目を集めました。暗号資産市場全体の下落に伴い、BTCやETHの現物ETFからは大規模な資金流出が続いている一方で、最近ローンチされたSOLの現物ETFには少額ながら継続的な純流入が見られたことから、投資家がXRPとSOLの新規上場ETFに一定の期待を抱いていることがうかがえます。こうした状況から、XRPCの上場やSOLの現物ETFへの資金流入は、アルトコインのETF市場に新たな動きをもたらす可能性があり、今後これらのETFがアルトコイン市場全体の資金フローや投資家心理にどのような影響を与えるかに注目が集まります。
(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
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