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　ブラジルのＡＮＰＤ（国立データ保護機関）が、ワールドコインの生体認証データ収集の背後にいる企業であるＴＦＨ（ツールズ・フォー・ヒューマニティ）に対し、生体認証データの対価として暗号資産（仮想通貨）や金銭的インセンティブを提供することをやめるよう命じた。

　２５日に発効したこの命令は、ワールドコインのワールドＩＤプロジェクトがブラジルで活動を開始した後の２４年１１月に開始した調査を受けたものだ。

　１９年にオープンＡＩのサム・アルトマンＣＥＯ（最高経営責任者）が共同設立したワールドコインは、虹彩スキャン技術を使って世界的なデジタルＩＤと金融ネットワークを構築している。

●ワールドコイン、生体認証データと引換えに金銭的報酬を提供

　このプロジェクトは、「オーブ」と呼ばれる機器を通じた生体認証データの収集に参加したユーザーに対し、暗号資産を含む金銭的報酬を提供している。

　ＡＮＰＤは、暗号資産でユーザーに報酬を支払うことで、合意の有効性が損なわれる可能性があると判断した。

　ブラジルの法律では、機密データの処理に関する合意は、無償で、十分な情報に基づき、明確でなければならない。

　ＡＮＰＤは、無防備な状況にある個人への金銭的インセンティブの影響や生体認証データ収集の不可逆性を特に懸念しており、そうしたデータは一度収集されれば削除できないと指摘した。

　ブラジルのこの動きは、ドイツでの同様の懸念に同調するものだ。

　ドイツのデータ保護当局は２４年１２月、ワールドコインに是正措置を命じ、生体認証データの取扱いを理由にＥＵ（欧州連合）の一般データ保護規則を遵守するよう要求した。

　この論争は、ワールドコインのネイティブトークンであるワールドコイン（ＷＬＤ）にも影響を与えている。

　ＷＬＤは過去２４時間で８％超下落し、１ＷＬＤ＝２ドルを下回った。

　コインゲッコーによると、同ネットワークを支援するために２３年７月に導入されたＷＬＤは、２４年３月に記録した史上最高値の１１．７４ドルから８３％急落している。

●ワールドコイン、プライバシーへの懸念に対処するための措置講じる

　ワールドコインは、データ・プライバシーの懸念への対処に積極的に動いている。

　同プロジェクトは、「パーソナル・カストディ」などの取り組みを通じて、ユーザーの生体認証データの保護を強化しており、機密情報の保管と削除に対する個人の管理権を拡大している。

　今後については、ワールドコインのレイヤー２ネットワークであるワールド・チェーンが、同プロジェクトのスケーラビリティと効率性の新時代を導くための準備を整えている。

　ワールド・チェーンは開発者プレビューを既に公開しており、２５年夏のメインネット立ち上げ前に開発者らが試験を行い同ネットワークにフィードバックを提供できるようにしている。

　スーパーチェーン・フレームワーク内でイーサリアム（ＥＴＨ）を基盤としている同ネットワークのアーキテクチャは、パーミッションレスで、オープンソースで、コミュニティ管理型の設計がなされている。

　ワールドコインは２４年、ウェブ３インフラ・プラットフォームのアルケミーと提携し、新たなブロックチェーンであるワールド・チェーンを構築するためのアルケミーのツール群とインフラを開発者らにもたらした。

　ワールドコインは２４年９月、ワールドＩＤの識別プロトコル用のセキュリティ対策であるフェイス・オースも公開した。

　同チームは当時、ワールド・アプリのユーザーにさらなる水準のセキュリティと詐欺防止をもたらすためにこの対策を設計したと語っていた。ワールド・アプリは、世界中の１５００万名近くが利用しているデジタル・ウォレットだ。

（イメージ写真提供：１２３ＲＦ）

https://cryptonews.com/news/brazil-halts-worldcoin-from-offering-crypto-or-financial-compensation-for-biometric-data-collection/

This story originally appeared on cryptonews.com.