Market Report

マーケット情報・チャート

2022/09/13

リスクイベントを控えたポジション調整により、BTCは下落基調が一段落

先週のハイライト
  • BTCは19,500ドルを一時的に下抜けしたが、その後22,350ドル台まで反発
  • ETHBTCはETHのアンダーパフォームを受けて0.085から0.080へ下落
  • ETH先物の対ドルベーシスは、大型アップデート後に発生するETH PoWの価格下落を受けて縮小傾向に
  • BTCのボラティリティ・カーブはスポットショートスクイーズを受けて短期物が上昇しフラットな形状に

  • 先週の動き
    暗号資産スポット市場は値荒な展開となり、BTCが上昇する一方で、ETHはアンダーパフォームするなど、興味深い1週間となった。これまでのレンジの下限である19,500ドルを一旦下抜けたBTCは、わずか3日後に急反発したが、一部の顧客による1,000BTCの1週間物のオプション取引があったことを受け、ボラティリティはわずか30分で65%から75%に上昇し、スポットもそれに連れて上昇することとなった。BTCは金曜日に2,000ドル上昇し、市場ではその理由探しが行われたが、週末にかけてマイクロストラテジー社がSECに提出した報告書の中に、BTCの更なる買い増しの為に、5億ドルの自社株の売却を検討していたことが記されており、それを受けて、週明けのアジア時間には更に22,350ドルまで上昇した。

    その間、ETHは15日に実行される見通しとなっている大型アップデート・マージを控えていることから1,800ドル近辺の上値抵抗線を抜けきれない動きとなっており、ETHBTCは0.085の高値から0.080近辺まで下落することとなった。他方、SOL、EOS、LINK、XLM、BCHといった他のコインは10%近く上昇している。

    フローデータによると、BTCが数週間ぶりに買い基調が強いことを受けて出来高で首位に返り咲いた。BTCを含むETH、SOL、ADAの出来高上位4コインはすべて買い越しとなっている。他のコインではEOS、MATIC、XLMなども買い越しであった一方、XRP、LINK、COMP、XTZは売り越しとなっていた。顧客別にみると、OTC業者が売り手となっており、ファンド系や銀行系は買い手となっている。

    暗号資産先物市場ではBTCの対ドルベーシスは1ヶ月物、3ヶ月物共にフラットから1%程度まで上昇し、スポットの上昇を反映した格好となった。一方、ETHの対ドルベーシスは大型アップデート・マージ後に発生するETH PoWの価格の期待値が低下していることを織り込む形で、23ドルのディスカウントから13ドルのディスカウントに縮小している。

    暗号資産オプション市場では上述のように上昇局面で、ある顧客が1,000BTCのオプションを購入したことで、1週間物のボラティリティは65%から75%まで大幅に上昇している。スポットがここから上昇するごとにストップの買いがでることが見込まれるため、ショートデートのオプションの需要は非常に高まっている。一方で、それらのストップの動きは短期的なものに留まることが予想されるため、長期物のオプションは相対的にやや注目度が下がっている。一方、ETHボラティリティカーブは大型アップデート・マージの影響を色濃く受けており、マージの前のタームは80%程度のボラティリティであるのに対し、マージ直後のボラティリティは115%となっており、マージのイベントに対して25%分のプレミアムが乗っていることが伺える。リスクリバーサルは10月物で9%のプット高となっているが、上ストライクのオプションはそれだけ安く購入できることから、ETHに強気の見方があるのであれば魅力的なプライシングのように見える。

    今後の展望
    来週のFOMCを控え、米CPIに注目が集まっている。仮に弱い数字であった場合、BTCは上昇基調が強まる可能性がある。一方で米CPIとFOMCの間にETHのマージ・アップデートを控えており、イベント的に複雑な状態となっていることから、BTC売り・ETH買いのポジションを取っている投資家にとっては管理が難しい状況となっている。一部には、今後の経済指標の悪い結果を見越し、BTCの売り継続や押し目買いの準備をしている投資家もみられる。ETHはアップデート後上昇するとみる向きが多いが、短期的なボラティリティの上昇を考慮すると、ポジションのサイズはそれほど大きくはできないだろう。








    (提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。)
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