2022/08/02
FOMCを受けて買い戻し基調継続
先週のハイライト先週の動き
先週の暗号資産スポット市場は、FOMCでの利上げを前にしてリスクアセットへの売り圧力が強まるとの観測から下落したものの、その後のFOMCでのパウエルFRB議長による今後の利上げはデータ次第というコメントを受け、安心感が広がるなか買戻される動きとなり、ETHは木曜日に1,792ドル近辺まで上昇、BTCは土曜日に24,666ドル近辺まで上昇となった。
フローデータによると、BTCとETHの買い選好が強い。他のコインではXRPの売りが再び強まり、一方でDOT、AVX、EOSで強い買いが見られた。地域別にみると、アジア地域が買い手となっており、欧州・中東が売り手となっていた。顧客別にみると、ファンドや銀行系が買い手となり、取引所が売り手となっていた。
暗号資産先物市場の対ドルベーシスは長い間横ばいで推移してきたが、先週に入りようやく動き出した。BTC先物の買い需要がBTCの対ドルベーシスを押し上げ、1カ月物が1.25%から2.25%へ、3カ月物が1.75%から2.75%に上昇している。OTCレンディング市場でも、アルトコインの貸出需要が増加すると共に、ステーブルコインの借入需要が高まってきている。
暗号資産オプション市場では、FOMCにかけて、BTCのボラティリティが75%程度から一旦上昇したものの、8月物25,000ドルストライクの売り手が、ボラティリティを68%まで押し下げた。しかし、金曜日になるとFOMC後のスポットの上昇を受け、今度は更なるスポット上昇を見込んだ25,000ドルストライクの買い手が現れ、ボラティリティを73%程度まで戻す動きとなった。この上サイドストライクの買いフローを受け、リスクリバーサル(下ストライクのオプションと上ストライクのオプションのボラティリティの差)は7%の下高から、5%の下高まで調整されている。ETHのボラティリティは、BTCに対して約25%高いボラティリティで取引されているが、今週はBTCと比べると相対的に取引は少なかった。
今後の展望
市場参加者は最近の景況感関連指標の下振れを受けて、インフレ関連以外の経済指標にも注目するようになっており、米PMIや米雇用統計の動向に注目している。
FOMCでのパウエルFRB議長の会見以降、暗号資産スポットの買い基調は継続しており、BTCは25,000ドル、ETHが1,800ドルを超えるかが注目されている。もしその水準を上抜けた場合、BTCは28,000ドル、ETHは2,300ドルが次のターゲットとなるとみられる。一方で、弱気派は直近の上昇は一時的なものと捉えており、いずれは6月中旬から続いているレンジに戻るのではないかと考えている模様。
いずれにしても取引参加者の多くは慎重になっており、マクロ的な見通しが読みづらいことから、中長期的なポジションの構築は手控えているように見える。
(提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。)
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