2026/03/30
暗号資産週間レポート(2026.3.22~2026.3.28)
マクロ要因が支配する価格形成と地政学リスクの継続――外交進展への不信感が招くETF純流出の加速
【3/22~3/28週のサマリー】
・トランプ大統領、イランと生産的な協議がありインフラ施設に対する攻撃「5日間停止」を指示
・米国による協議進展の示唆に対し、イラン側は直接交渉を否定
・Clarity法案にて「放置残高のステーブルコインに利回り付与を禁止」の文言が追加
・トランプ大統領、イランへの攻撃停止を4/6まで延長
・米国上場の現物暗号資産ETFでビットコインとイーサリアムが純流出
【暗号資産市場概況】
3/22~3/28週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲4.57%の10,691,799円、ETH/JPYの週足終値は同▲6.05%の322,239円であった(※終値は3/28の当社現物EOD[3/29 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、週初にかけて中東情勢の緩和期待を背景に反発したものの、その後は外交進展への懐疑、インフレ懸念の再燃を受けて上値の重い展開となった。トランプ大統領がイランのエネルギー関連施設への攻撃を5日間停止すると発表したことで、原油価格は急落し、ビットコインを含むリスク資産は一時持ち直した。しかしながら、米国側が協議進展を示唆する一方で、イランは交渉の事実を否定し、週半ば以降は緊張緩和期待の後退とともにリスク選好も剥落した。
現物の需給面では、米国市場に上場する現物暗号資産ETFがともに週間で純流出となった。週間純流出額は現物ビットコインETFが約2.96億ドル、現物イーサリアムETFが約2.06億ドルであった。特に現物イーサリアムETFは3月18日以降、3月27日まで8営業日連続の純流出となっており、少なくともETF経由の資金フローでは、イーサリアムに対する投資家需要の弱さが相対的に意識されたとみられる。加えて、米国のCLARITY法案を巡る報道もイーサリアム価格の重石となった。最新の修正案では、ステーブルコイン残高に対して受動的にリワードを付与する仕組みを制限する方向が示されている。
デリバティブ市場においても、金曜日の月末オプション満期に向けたポジション調整や、ファンディングレートの低い水準の維持、新たなロングポジションの大きな増加は観測されないなど市場全体としてリスク回避の姿勢が鮮明となった。
来週は米国3月雇用統計が注目経済指標となる。市場予想では非農業部門雇用者数が5.5万人~5.6万人程度の増加、失業率は4.4%と見込まれている。足元では中東情勢に伴う原油高がインフレ再燃懸念を高めており、雇用統計が予想を上回れば金利高・ドル高圧力が改めて意識されやすい。一方、停戦協議に進展が見られる場合には、直近のリスクオフの巻き戻し余地も残る。したがって、来週も暗号資産市場は固有材料よりも、中東情勢、原油価格、雇用統計、米長期金利といったマクロ要因に敏感な展開が続くものと考えられ、引き続き関連ヘッドラインのアップデートを注視したい。
[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がビットコイン価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がイーサリアム価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
【3/22~3/28週の主な出来事】

【3/29~4/4週の主な予定】

【今週のひとこと】モルガン・スタンレーのビットコインETFが上場間近か
米金融大手モルガン・スタンレーが、ビットコイン現物ETFのS-1申請書(登録届出書)の修正版を、米SEC(証券取引委員会)へ3月17日付で提出しました。
同社は今年1月6日、米大手銀行では初となるビットコイン、イーサリアム、ソラナの現物ETFのS-1申請書をSECへ提出し、今回の修正版では、ティッカーシンボル「MSBT」が新たに記載されました。
モルガン・スタンレー・ビットコイン・トラスト(MSBT)の手数料はわずか0.14%であり、これはグレースケール(Grayscale)の「ビットコイン・ミニ・トラストETF」が掲げる0.15%を下回り、資産規模最大の現物ビットコインETFであるブラックロック(BlackRock)の「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)」の0.25%よりも低い手数料になり、米国で最も手数料の安いビットコイン現物ETFになります。
一般的にビットコインETFは原資産であるビットコインを直接保有し運用するため、他社と比較した際にパフォーマンスの差が発生しづらいと言われています。そのため、この手数料は大きな競争優位性になると考えられます。今後、業界全体で手数料の引き下げが進めば、投資環境のさらなる整備に繋がることが期待されます。
また、同社ウェルスマネジメント部門では約6兆ドルの顧客資産を管理していると言われ、その顧客に対してビットコインへの投資配分を0~4%に設定することを推奨しているとされています。現在のビットコイン現物ETF市場は847億ドルであり、これはビットコイン総供給量の約7%になります。ここに一部でも流入してくるようであればビットコイン価格の上昇に寄与する可能性があります。
ブルームバーグのETFアナリスト、ジェームズ・セイファートは、「これは大きな動きであり、規制当局の承認を前提に4月初旬のローンチされる可能性が高い」と予想しており、伝統的金融の巨人の参入によりどのような変化がもたらされるか注目されます。
(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
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