Market Report

マーケット情報

2022/08/23

ポジション調整と各種懸念に伴う下落

先週のハイライト
  • スポットは週半ばから弱気基調が続いたが、金曜日に急落
  • BTCは20,750ドル、ETHは1,525ドル近辺まで下落
  • BTCの先物ベーシスは下落、一方でETHは若干上昇
  • オプション動向は、ETHトレーダーの上目線を示唆
  • 金曜日の米個人消費支出およびジャクソンホールでのパウエル議長のコメントに注目

  • 先週の動き
    暗号資産スポット市場は、更なる暗号資産業界での信用不安や、ロングポジション解消のうわさもあり、BTCとETHは月中最安値を更新し、BTCは20,750ドル、ETHは1,525ドル近辺まで下落した。先週発表されたFOMC議事録要旨では、FRBが引き続きインフレを注視しており、近い将来利上げペースを抑える見通しは低いことが示唆された。

    もともとBTCとETHには、25,000ドルと2,000ドル近辺にそれぞれ強い抵抗線があったことに加え、ETH/BTCが0.08を上抜けられなかったことから、これらのレベルは、テクニカル的に重要な上値抵抗線となったことが確認された。ロングポジションの解消をきっかけとした先週金曜日の急落局面では、ETHは1,850ドル台から1,600ドル台まで下落し、BTCは23,000ドル台から21,000ドル台まで下落した。また流動性が薄くなった週末にはさらに下落し、ETHは1,525ドル近辺、BTCは20,750ドル近辺の安値を付けた。

    フローデータによると、各地域で強い買い意欲が見られたなか、アジア圏がこれまでの欧州・中東圏を抜いて、最も買い越しが多い地域となった。ETHはここ最近の大型アップデートに関するニュースを受け、全体的には若干の買い越しながらも売買高で再びBTCを抜いてトップの座に返り咲いた。他のコインをみると、BTCでは押し目買いの動きの影響から強い買い越しとなっており、SOL、XRPなどは売り買いが均衡していた。注目すべきはDOGEが売買高で全体の3番目になったことであり、個人投資家のミームコインやその関連株への投資意欲が反映されている。投資家別でみると、個人投資家が強い買い手となっており、ファンド系やファミリーオフィスが売り手となっていた。

    暗号資産先物市場では、ETHの大型アップデートを前にして、ETHの9月限月はスポットに対して、17~18ドル割安で取引されており、年率換算9~10%とやや拡大している。一方、BTC先物の対ドルベーシスは、スポットの下落に合わせて縮小し、3カ月物は1.0~1.5%低下して1.0%程度となっている。

    暗号資産オプション市場では、ETHのボラティリティとリスクリバーサルの値動きが限定的だったということが特筆すべき点だった。ETHスポットは約15%下落しているものの、ショートデートのボラティリティは80%から95%までの約15%程度の上昇。また、9月と10月のボラティリティは、約10%上昇し105%程度となっている。また、9月限月のリスクリバーサルは4%程度の下高となっている。一方で、BTCは10%のスポットの下落に対して、8月限月のボラティリティは60%から75%に上昇、リスクリバーサルは4%の下高から12%の下高になっている。これは第2四半期末に見られた下落の時のリアクションと同じような動きとなっている。

    今後の展望
    マクロトレーダーは、今週金曜日に予定されている米個人消費支出と、ジャクソンホールでのパウエル議長の発言に注目している。マーケットは、ポジション調整あるいは更なる利上げ懸念を受けた動きとなっており、今週の注目材料は、インフレのピークを示すものとなるか見極めたい。その場合、ロング構築のチャンスと捉えた資金の移動がみられるかにも期待したい。
    データ以外では、直近の押し目買いが今後も定着していくかのシグナルを探していくことになるが、見極めには時間がかかる見通し。短期的に買い意欲が薄れてしまっているため、週末まではレンジでの動きが想定される。








    (提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。)
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