2026/04/06
暗号資産週間レポート(2026.3.29~2026.4.4)
中東情勢の緩和期待と再緊張の交錯――原油先物のバックワーデションが示唆する「4月停戦」の織り込みとリスク資産の動向
【3/29~4/4週のサマリー】
・情勢緩和期待と再緊張が交錯する不透明な局面となった
・WTI原油先物はバックワーデションが進んでおり、市場は4月中の停戦を織り込む
・パウエルFRB議長、インフレ期待は安定・金融政策は様子見と慎重姿勢示す
【暗号資産市場概況】
3/29~4/4週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+0.59%の10,754,950円、ETH/JPYの週足終値は同+2.49%の330,275円であった(※終値は4/4の当社現物EOD[4/5 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、中東情勢を巡る地政学リスクを背景に、イランのペゼシュキアン大統領が条件付きで戦争終結の用意を示す一方、トランプ米大統領が国民向け演説で戦略目標の達成に言及しつつも攻撃継続の可能性を示唆したことで、情勢緩和期待と再緊張が交錯する不透明な局面となった。
週初、米国がイランに対する大規模な地上作戦の準備を進め、これに対しイランも米国およびイスラエルへの報復攻撃を警告するなど、中東情勢は緊張を一気に強めた。さらに、イランが支援し、反米・反イスラエルの「抵抗の枢軸」の一角をなすイエメンのシーア派武装組織フーシ派が米国・イスラエルとイランを軸とする中東地域の軍事衝突へ正式参戦を表明したことで、地域の不安定化が一段と進んだ。
こうした情勢を受けて週中にかけて原油価格は急騰し、リスク資産からの資金流出が進む中、ビットコインは3月1日以来となる一時65,000ドル割れまで下落した。ただし原油価格については、バックワーデションが進んでおり、WTI原油先物の価格は5月限の価格が最も高く6月限以降は下がっている。このことから4月中の停戦は一定程度織り込まれており、株があまり動揺していない背景を読み取ることができる。
週末、米雇用統計は市場予想を上回る内容となり、非農業部門雇用者数は2024年末以来の大幅増を記録した。イランとの紛争が継続する中でも米労働市場の底堅さを示す結果となったが、この日は米国市場が休場であったため、市場への影響は限定的にとどまった。先週はパウエルFRB議長がハーバード大学での講演において、「インフレ期待は安定しており、金融政策は当面様子見が適切」との慎重な姿勢を示していることもあり、金融政策に関しては様子見のスタンスであるということは認識しておきたい。
今週は、米国市場の休場明けとなる週明けの値動きに注意が必要だ。米3月雇用統計は年内利下げ観測を大きく後退させており、当日は流動性不足から反応が限定的だったものの、週明け以降は米金利の高止まりリスクが再評価される可能性がある。このため、ビットコインは上値の重さが意識されやすく、米国株式市場や金利動向に連動した調整的な動きへの警戒が必要と考えられる。
[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[米BTC現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、BTC価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がBTC価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[米ETH現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、ETH価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がETH価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[米XRP現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(日足)、XRP価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がXRP価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[ビットコインの月間収益率(%)]

(coinglass提供のデータより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
【3/29~4/4週の主な出来事】

【4/5~4/11週の主な予定】

【今週のひとこと】Driftで巨額のハッキングが発生
4月1日、Solana基盤の大手分散型デリバティブ取引所Driftにおいて、約2.85億ドル相当の資金が不正流出する事件が発生しました。Driftの預かり資産は、発生前の約5.5億ドルから2.5億ドル未満へ急減しており、2026年における最大のDeFiハックとみられています。 今回の事件が特に大きく受け止められている背景は、損失額の大きさだけではありません。複数の報道やDriftの公開説明によれば、今回の攻撃は単純なスマートコントラクトのバグを突いたものというより、関係者への長期的な接触や端末侵害を通じて管理権限に到達し、承認体制の弱点やSolanaのdurable nonce機能(Solanaでトランザクションの有効期限を延ばすための仕組み)を悪用した可能性が高いとみられています。 これは、プロトコルの安全性を測るためには、スマートコントラクト監査だけでは十分とは言えず、管理者鍵、マルチシグ承認手続、関係者端末の保全を含む運営面のセキュリティが脆弱な場合、大規模な分散型プロトコルでも短期間で甚大な被害が生じ得ることを示しています。 4月2日には、ブロックチェーン分析会社Ellipticが、北朝鮮関連アクターとのつながりを示唆する複数の状況証拠があると指摘しました。一方Drift側は、「調査継続中であり、最終的な正式帰属は完了していない」と説明しています。 暗号資産市場の規模拡大に伴い、求められるセキュリティ対策も一段と高度化しています。とりわけ、伝統的金融資産のトークン化が進展する中で、スマートコントラクト監査のみならず、権限管理、承認フロー、端末管理、対外的な関係構築を含む運営管理体制全般の再点検が、今後ますます重要になると考えられます。
(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
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