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マーケット情報・チャート

2022/03/01

ビットコインは、ターニングポイントへ近づけているのか?

先週の暗号資産市場では、ロシアがウクライナに侵攻した24日(木)に流動性の低下とボラティリティが急上昇したこともあり、アジア時間の午後に、ビットコインは34,000ドル、イーサリアムは2,300ドルまで下落した。その後、ニューヨーク時間朝方にかけて、それぞれ15%、19%と反発するショートスクイーズが起こった。終わってみれば、この日の取引量はビットコイン先物市場において2021年12月4日のフラッシュクラッシュ以来の取引量を記録し、これはビットコインが株式と同様にリスク資産であるという事実に変わりがないということが示されたと言えるだろう。暗号資産エコシステム内において、ビットコインが他の暗号資産よりもアウトパフォームするリスク回避の動きは続いている。 一方、特筆すべきはLUNA(ルナ)の動きだろう。LUNA(ルナ)は、50ドルから80ドル超えの大幅な上昇を見せ、今週には90ドル台まで乗せてきている。これは、トレーダーがステーブルコイン(Terraテラ)に移行する時によく見られる現象であり、つまり同じ価値のLUNA(ルナ)をバーン(発行済み暗号資産を消滅させること)することにより、LUNA(ルナ)の供給が減少したことが原因である。

売買動向を見ると、引き続きイーサリアムよりビットコインに買いが集まっており、他のコインにおいては、LUNA(ルナ)、AVAX(アバランチ)、ADA( カルダノ)とSOL(ソラナ)などに強い買いが見られた。地域別に見ると、アジア圏において強い買い傾向が見られ、顧客カテゴリー別では、富裕層と海外取引所・銀行が買い越しになっていた。

OTCレンディング市場においては、かなり静かな動きであり、ベーシスは長い期間においてやや低下している。1ヶ月物のベーシスは0~1%の間で推移しているが、3ヶ月物のベーシスは、主要取引所において2%程度低下し、1%程度となった。

オプション市場において、インポライドボラティリティにとっては、かなりアクティブな週であったと言えるだろう。先週の週前半は、市場の不安定さもあり、3月物のATMが70%弱まで上昇した後に、60%台前半まで下落。その後、ロシアのウクライナ侵攻があった木曜日には、70%台後半まで再上昇した。今週に入ると、一時的に60%台前半のサポートレベルまで下落したが、ロシアに対して追加金融制裁(SWIFT制裁・中銀制裁)が決定されたことにより、3月物ATMは、再び70%台まで上昇した。しかし、地政学リスクによる不確実性が高いにも関わらず、プットサイドの需要が低下していることは、かなり興味深い出来事であると言える。これはビットコインのターニングポイントが近い可能性を示しているかもしれない。ビットコインが地政学的リスクから切り離され、インフレとイールドカーブのフラット化が起こっている中で、供給上限のある信用リスクなしの資産として期待され始めたことかもしれない。

今週の注目指標は、米中のPMI、米ISM製造業景況指数と米雇用統計である。また、パウエル議長は、3/2に下院金融サービス委員会、翌3日に上院銀行委員会で2日間にかけて、半期に1度の金融政策報告について議会証言が行われ、市場の注目を集めている。しかし、ウクライナで戦闘が続いており、ロシアに対しても厳しい制裁が課されているため、引き続き不安定な展開が予想される。

ここで我々は、再度木曜日の暗号資産市場の動きに注目したい。木曜日のプライスアクションは、ロシアのウクライナ侵攻により下落後、反発した。これには、市場が既にある程度ショートだった事と言えるかもしれない。そして、最近のリスクオフの環境下の割に、プットが高値圏で取引されていないということである。これは、市場がビットコインへの投資不足を示し始めているのかもしれない。そうであるとすれば、ビットコインは、再上昇へのターニングポイントへ近づいているのかもしれない。




(提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。)
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