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マーケット情報・チャート

2022/02/15

米CPIやウクライナ情勢の悪化を受けてビットコインは反落、急落の警戒感が高まる!

先週木曜日に発表された1月の米CPI(消費者物価指数)は前年同月比7.5%上昇し、40年ぶりの上昇率を見せ、米金融当局に利上げ開始を一段と促す格好となった。こうした結果を受けて、株や暗号資産などのリスクアセットは激しく売られ、米短期利回りは大幅に上昇。米2年債と米10年債の利回りスプレッドは0.57%から0.47%へフラットニング(短期金利と長期金利の金利差が小さくなり、イールド・カーブの傾きが緩やかになること。より短期間での利上げを織り込む動き。)した。更に先週金曜日にウクライナ情勢の悪化を受けて、マーケット全体が急激にリスクオフに傾いた煽りを受けて暗号資産市場にも売りのプレッシャーが掛かっている。

上記の通り暗号資産は米CPIやウクライナ情勢の悪化を受けて軟調に推移したが、暗号資産市場の中ではビットコインは他のアルトコインに比べ相対的にアウトパフォームしている。しかし、この様な状況下において、ビットコインが39,000ドル~41,000ドル付近のサポートラインを維持するかが重要となってきており、今週も引き続き軟調に推移しサポートラインを割り込んでしまうと、2月に入ってからの上昇が単なる弱気相場の一時的な調整と判断されてしまう可能性が高い。

顧客カテゴリー毎に売買動向を見ると、先週も海外取引所と銀行が最大の買い手であり、また富裕層が再び売り手に回った。地域別に見ると、アジア圏と欧州・中東圏が買い手に偏っており、米国圏が売り手に回るという最近の傾向が続いている。コイン別に見ると、SOL(ソラナ)、MATIC(ポリゴン)、AVAX(アバランチ)、LUNA(ルナ/テラ)の売りが優勢で、ボルカドット、チェーンリンク、BNB(バイナンスコイン)、UNI(ユニスワップ)の買いが優勢であった。

海外取引所の先物市場のビットコイン対米ドルのベーシスは、1ヶ月物が0.5%~1.0%、長期物も1.0~2.0%と主要の取引所において低下している。また、OTCレンディング市場においては、引き続き米ドルやステーブルコインの借り入れ需要は見られておらず、総じて金利市場では弱気相場からの変化の兆しは見られていないと言ってよいだろう。

オプション市場では、ATM(アット・ザ・マネー、スポット価格と権利行使価格が等しいオプション)のボラティリティは比較的安定しており、一部のDefi(非集権型金融)から発生するオプション売り需要が、米CPI後のリスクアセットへの警戒感から発生するオプション買い需要とマッチした状況となっている。そうは言っても、これらの2つの需給は完全に相殺されるわけではなく、Defiから発生するフローはネットでコール(上方向のストライク)売り、一方でインフレ高進やウクライナ情勢を懸念する向きは、プット(下方向のストライク)買いの需要があるため、ATMボラティリティに変化がないなかでも、プットの価格が相対的に高くなってきている。3月物の10デルタリスクリバーサル(上方向のストライクのボラティリティと下方向のストライクのボラティリティの差分。下方向と上方向のどちらのストライクの需要が強いか示す指標)は、ビットコインのプットが15%高、イーサリアムでは23%のプット高となっており、1週間前の両者とも7%のプット高から大幅に上昇しており、1月下旬のスポット急落時の水準に迫ってきている。

今後の見通しとして、市場の最大の注目は3月のFOMCであることに間違いない。今週の米国の経済指標は、水曜日に小売売上高と、木曜日に住宅着工件数と新規失業保険申請件数を控えており、市場の3月の利上げ織り込みが0.25%から0.50%へと高まるなか、指標の結果には注目したいところだ。また、先週金曜日からウクライナ関連のヘッドラインを受けてマーケット全体が動きやすくなっているため、オプション市場のリスクリバーサルが示唆するように、特に急落に繋がるようなヘッドラインには気を配らなければならないだろう。





(提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。)
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