Market Report

マーケット情報

2023/01/17

ショートポジションの強制決済により急騰

先週のハイライト
  • 売り手が乏しい中、ショートポジションの強制決済により急騰
  • BTC主導で上昇し、1時間で1,200ドル上昇する場面も
  • SOLは50%近い上昇に
  • ドル流動性の一時的な低下を懸念し、先物ベーシスも上昇
  • オプションボラティリティは、ショートガンマの買戻しにより短期物が長期物を上回る


  • 先週の動き
    BTCは月曜日から水曜日にかけて17,000ドル近辺から17,500台まで上昇、その後木曜日のアジア時間に17,600台から18,300台へ上昇し、同日NY時間に19,100ドル近辺まで再び上昇した。その24時間後となる土曜日の朝には、20,000ドルを突破したのちわずか1時間で21,300ドル台まで上昇した。17,000ドルから21,000ドル台までの一連の上昇は、FTX関連で下落した分を取り戻す動きとなっており、次の目安は21,500ドルとなっている。

    ETCは週の初めはBTCを上回る動きとなっていたが、その後BTCの勢いが勝ることとなり、週全体でみるとETH/BTCの割合はほぼ変わらずであった。最もパフォーマンスがよかったのはSOLで16ドル台から25ドル台まで50%超上昇し、DOTは20%の上昇となった。

    ショートポジションの強制決済が今回の値動きの最も大きな理由となっており、2021年7月に30,000ドル台から上昇した以来の大きな動きであった。1/11~1/14にかけて生産されたポジションは3億ドル相当、うち14日単独では1.25億ドル相当、また暗号資産市場全体では7.75億ドル相当になったとみられている。

    フローデータを見ると、BTCでは52.6%が買い手となっており、ETHはほぼ拮抗していた。他のコインをみるとDOGE、LINK、DOT、BNBなどが売り越し、XRP、SOL、ADA、XTZ、EOSが買い越しとなっている。投資家別でみると取引所からの買いが最も多く。地域別でみるとアジア・オセアニアおよび欧州・中東地域が買い手、北米地域が売り手となっていた。

    暗号資産先物市場では大量のショートが強制決済されたことで、先物の対ドルベーシスは上昇している。Binanceの無期限契約の維持コストは大きく動いていないが、3月限月の対ドルベーシスはBTCで年率+1.0%、ETHで+0.5%、Deribitの3月限月はBTCが+2.0%、ETHで+1.0%となっている一方、CMEは大きく乖離しており1月限月のBTCは年率+11.0%、ETHは+7%となっている。

    暗号資産オプション市場のボラティリティは先週と打って変わって大幅に上昇している。BTCの過去5日間のヒストリカルボラティリティは20%から70%に急騰し、その結果、短期的な動きに対して感応度の高い短期物のボラティリティが大きく上昇。一方、より長期的な見通しによって動く6月限月のボラティリティは52%から60%まで上昇しているが、水準自体はそこまで高いものではない。一方でETHのボラティリティはBTCのボラティリティに対して5%~10%程度高い水準に留まっている。これはホリデーシーズンに供給されたオプションの買いポジションが売り圧力を高めていること、また、ETHのスポットの値動きがBTCに対して小さいことがあげられる。リスクリバーサルはBTCのカーブ全体とETHの2月限月までが上高・下安となっており、下のオプションが買いやすくなっていることから現物やCFDでロングを持っている参加者には良いヘッジ機会だろう。また上昇を見込む市場参加者は上のオプションの単体買いよりも、コールスプレッドのように売り買いを同時に行うストラテジーの方がエントリーしやすいと思われる。

    今週の展望
    注目されているマクロイベントは、日銀金融政策決定会合、英CPI、欧州HICP、米小売売上高、米ベージュブックなどがあげられる。

    一方で、先週は暗号資産市場独自の材料による動きであったことから、市場ではテクニカルやモメンタムにより注目が集まっている。BTCは昨年6月から11月にかけてのレンジである18,200ドル~25,200ドルで推移するとみられ、21,500~21,700ドルを上抜けるかが焦点となっている。いずれの方向にしても、流動性が回復していないことに加え、ショートガンマも引き続き残っており、また今回上昇が本格的なものであるかの確信は低いことから、引き続きポジションは軽めにしてボラティリティのある動きに備えることが望ましいと考える。








    (提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。)
    -----
    お客様は、本レポートに表示されている情報をお客様自身のためにのみご利用するものとし、第三者への提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。情報の内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。 また、これらの情報によって生じたいかなる損害についても、当社および本情報提供者は一切の責任を負いません。本レポートに表示されている事項は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、勧誘を目的としたものではありません。投資にあたっての最終判断はお客様ご自身でお願いします。
    マーケット情報一覧へ戻る