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2025/07/22

暗号資産週間レポート(2025.7.13-2025.7.19)
BTCに続きXRPも史上最高値を更新! 米国の暗号資産法案による更なる追い風にも期待

【7/13~7/19週のサマリー】
・BTC/JPYが一時1,800万円を突破し、史上最高値を更新
・米下院で暗号資産関連3法案の審議が可決、「GENIUS法案」は正式に法律化
・トランプ大統領による401(k)への暗号資産追加の動きが報じられ、アルトコイン市場も活況を呈しエックスアールピー(XRP)は史上最高値を更新

【暗号資産市場概況】
7/13~7/19週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+1.32%の17,532,400円、ETH/JPYの週足終値は同+22.90%の531,965円であった(※終値は7/19の当社現物EOD[7/20 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、米下院が「Crypto Week」と称して暗号資産関連法案の審議を集中的に行うとの事前報道により規制明確化への期待感が先行して高まり、ビットコイン(BTC)は先々週に引き続き、円建て・ドル建ての両方で史上最高値を更新。また、トランプ大統領による9兆ドル規模の401(k)退職年金制度の投資対象に暗号資産を含める検討が報じられ、アルトコインにも資金が流入し、イーサリアム(ETH)やドージコイン(DOGE)などがアウトパフォームする中、特にエックスアールピー(XRP)は史上最高値を更新した。
週初、機関投資家からの継続的な需要と、米国における暗号資産に対する前向きな法整備の進展への思惑がビットコイン価格を押し上げ、一時1BTCあたり1,800万円(123,000ドル)を超えて史上最高値を更新。その後は、2011年から保有を続けている長期保有者など大口投資家による利益確定売りが売り圧力となり116,000ドル割れまで押し下げる場面も見られた。
週央、トランプ大統領がパウエルFRB議長を近く解任する可能性が高いと、ホワイトハウスの匿名当局者が発言したことを受けて、一時米国株やドルが下落し米国債利回りが急上昇したが、ビットコインに対する反応は比較的限定的であった。なおトランプ大統領は後に同議長の解任の可能性に言及しつつもその報道については否定している。こうした動きの中、米下院にて暗号資産関連3法案(GENIUS法案、CLARITY法案、および反CBDC法案)の審議手続きが215対211で可決されたことでビットコインは120,000ドルまで再度上昇し、同法案の成立に対する市場の期待感がうかがえる展開となった。前日には共和党内の保守派議員13名が反対に回り196対223で否決されていた。
18日未明(日本時間)、暗号資産関連3法案が下院にて正式に可決したが、事前の期待感が高まっていたためかビットコインは118,000ドル台へと一時的にやや下振れ、事実売りが先行した。しかし程なくしてFinancial Times紙により、トランプ大統領が米国の確定拠出年金401(k)退職年金制度に9兆ドル規模の暗号資産を組み込むことを認める大統領令に署名する意向の報道が伝わると、暗号資産は全面的に買われ、ビットコインは121,000ドル付近まで再度上昇、またアルトコインも市場心理を押し上げる要因となりイーサリアムやドージコインなど幅広い銘柄が値上がりし、中でもエックスアールピーは2025年1月16日以来史上最高値を更新した。その後もアルトコインが活況となりビットコインドミナンスが急落し始めていることから、ビットコインからアルトコインへ資金が移動しアルトコインの物色買いの状況となった。一方ビットコインは先述したアルトコインへの資金移動や利益確定の調整などもあり、一時117,000ドルを割り込み、118,000ドル台付近まで戻した価格帯で週末を迎えた。
なお「GENIUS法案」については19日未明(日本時間)にトランプ大統領が署名したことで正式に法律化したが、その他の2法案(CLARITY法案、反CBDC法案)は米上院に送付済みとなり、今後、上院の審議と投票が行われる予定である。特に暗号資産市場にとって、より直接的かつ強い追い風となる可能性がある「CLARITY法案」は、8月初旬の夏季休会入り前に上院で可決される可能性があるため、今後の進展に注目していきたい。


[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



[ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がビットコイン価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)


[イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がイーサリアム価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)



【7/13~7/19週の主な出来事】



【7/20~7/26週の主な予定】


【今週のひとこと】USDTの急成長と米規制強化がもたらすステーブルコイン市場への影響

2025年7月16日、テザー社が発行する米ドル連動型ステーブルコイン「USDT」の時価総額が初めて1,600億ドルを突破しました。これを受け、同社のパオロ・アルドイノCEOはX(旧Twitter)にて「発展途上国に住む数十億人にとって、USDtがデジタルドルとしての比類なき有用性を示す声明だ」と投稿し、新興国でのUSDTの役割を強調しました。
その2日後の7月18日には、米国でステーブルコイン規制を明確化する「GENIUS法」が成立。ドナルド・トランプ大統領の署名によって施行されたこの法案は、すべてのステーブルコイン発行企業に対して100%の準備金保持、監査報告、マネーロンダリング対策などを義務づけます。
これを受けて、アルドイノCEOはテザー社としてGENIUS法に準拠する姿勢を示し、米国基準に対応した新たなステーブルコインを導入する計画を発表しました。ただし、既存のUSDTと新しいステーブルコインを並行して米国で運用・管理するには、最大で3年かかる見通しであることも明らかにしています。
一方、テザー社に次ぐシェアを持つCircle社は、以前から規制の強化を支持しており、すでに監査済み準備金やAML対策を含む高水準のコンプライアンス体制を整えています。同社はGENIUS法の成立を歓迎し、こうしたルールが市場の信頼性と健全な成長を後押しすると主張しています。
ステーブルコイン市場は急速に成長を続ける中で、規制の整備が進んでおり、こうした動きに対する各社の対応が今後の市場に大きな変革を及ぼしていくことが予想されます。



(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)


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