▼目次
はじめに
第1回目では「暗号資産取引による所得は雑所得に区分され、一定以上の所得がある場合は確定申告が必要になる」とお伝えしました。
ただ、これまで給与しかもらう機会がなかった会社員の場合は、確定申告のやり方をよく知らないかもしれません。
そこで第2回目となる今回は、暗号資産における損益計算と確定申告の流れについて分かりやすくレクチャーしていきます。特に損益計算は複雑化しやすいので、最後までご確認ください。
税率や確定申告が必要になる条件そのものについては、第1回の記事をあわせてご確認ください。
第1回:暗号資産(仮想通貨)投資をするなら知っておきたい税金の基本
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暗号資産って聞いたことはあるけど、よく分からない・・・。
暗号資産の基本から種類まで、分かりやすく解説しています。
暗号資産(仮想通貨)とは?
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確定申告完了までの3ステップ
それではさっそくですが、暗号資産における確定申告の大まかな流れは以下の3ステップです。
- 年間で得られた損益金額の計算
- 確定申告書の作成と提出
- 納税
これらの手順をあらかじめ決められた期限までに行わなければいけません。
所得税の確定申告は、原則として翌年の2月16日〜3月15日の期間に行います※。期限日からさかのぼり余裕を持って完了できるように動きましょう。
※ 開始日・終了日が土日と重なる場合は、それぞれ次の平日にずれることがあります。
※ 振替納税の場合、支払い期限が1ヶ月ほど延長されます。
① 損益計算で「自分にいくら損益があるか」を把握する
まずは、自分は本当に確定申告が必要であるかどうかを判断するために、暗号資産の取引で得た年間の利益額(プラスの金額)または損失額(マイナスの金額)を計算しましょう。
この作業をできるだけ早めに済ませておくと、その後に行う確定申告の手続きをスムーズに進められます。
取引履歴の収集
暗号資産の損益計算を行うためにはまず、暗号資産取引を初めて行った時から現在までの取引履歴が必要です。
この履歴は利用している取引所から取得できますが、1件でも履歴が不足していると正確な計算ができません。必ず抜け漏れがないように履歴を集めてください。
ここで2023年から暗号資産のトレードをスタートして、2026年に初めて利益を得たAさんの例を見ていきましょう。
例:暗号資産投資家Aさんのケース
2026年に利益が出たので2026年1月1日(木)〜12月31日(木)の所得を計算する
このケースで必要な履歴は?
× 2026年分のみの取引履歴
○ 2023年〜2026年までのすべての履歴
利益が出た年だけでなく、取引をスタートした日からの履歴が必要になります!
また、暗号資産での商品の支払いや友人への送金、相対取引などは取引所の履歴に残らないため収集漏れが起こりやすいので普段からきちんと管理しておきましょう。
計算ソフトを使って損益計算
履歴が集まったら、年間の損益金額を計算します。
計算のやり方は大きく3種類あります。
表計算ソフトを使い自分で計算する、損益計算ツールを使う、税理士に依頼する、の3つです。
Excelなどの表計算ソフトを使い自分で計算するのは難易度が高く、計算ミスのリスクもあります。
そこで「クリプタクト」といった損益計算サービスを利用する方法があります。
「クリプタクト」では、多くの暗号資産取引所や様々な種類の取引に対応しています。
取引履歴をアップロードするだけでクリプタクトが自動で損益額を算出するため、利用者は計算に関する知識がなくても損益額を確認できます。
暗号資産の損益計算サービス「クリプタクト」の詳細はこちら。
損益計算を行った結果、会社員など給与所得者の場合、利益金額から経費を引いて残った金額が20万円を超えているなら、次のステップに進んで確定申告を行いましょう。
なお、20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は別途必要になることがあります。
計算結果が損失(マイナス)だった場合、その損失を給与など他の所得と相殺したり、翌年に繰り越したりすることはできません。
損益計算を行う前に「移動平均法」「総平均法」のいずれかを選択しよう
暗号資産の取引を行って損益計算と確定申告をするときに「移動平均法」もしくは「総平均法」のどちらかを選ばなければいけません。
移動平均法と総平均法は、暗号資産を1枚あたりいくらで購入したかという平均取得単価(≒原価)を計算するときの方法です。
【移動平均法の特徴】
- 暗号資産を購入するたびに取得価額を計算する
- その時点で正確な取得価額を把握できる
- 取引が多ければ多いほど計算する回数も増える
【総平均法の特徴】
- 年間購入金額の合計を購入数量の合計で割って計算する
- 計算が1回だけなので簡単に済ませられる
- 計算結果が実際に行った取引ベースの利益と異なる可能性もある
それぞれ計算方法が異なるため、その年だけで見ると計算結果に違いが見られます。
すべて売却した時の通算の損益はどちらの方法でも同じになりますが、年ごとの所得金額と税額は変わります。
【計算例】
1月に1BTCを500万円で購入し、6月にその1BTCを800万円で売却、9月に改めて1BTCを700万円で購入した場合
- 移動平均法:売却時点の取得単価は500万円なので、その年の利益は800万円-500万円=300万円
- 総平均法:年間の購入合計1,200万円÷購入数量2BTC=取得単価600万円なので、その年の利益は800万円-600万円=200万円
同じ取引でも、その年に計上する利益が100万円変わります。
9月に買った1BTCの取得単価も方法によって変わるため、最終的にすべて売却した場合、保有期間全体を通じた通算損益は同じになります。
どちらの計算方法を選択したかは、確定申告の期限までに税務署へ届け出ます。
届出をしなかった場合は、法定評価方法である「総平均法」によって評価します。
評価方法を変更するには税務署長の承認が必要で、原則として現在の評価方法を採用してから3年を経過していることが求められます。
② 確定申告書を作成・提出する
損益計算が完了したら確定申告書を作成して税務署へ提出します。
先ほど紹介した損益計算サービスを用いるなどして割り出した損益金額を「確定申告書にある雑所得の欄」に記入しましょう。
なおe-Taxを利用すれば、パソコンもしくはスマートフォンからでも確定申告書の作成と提出ができます。
記入する場所は、確定申告書第一表の「雑所得(その他)」の欄と、第二表の「所得の内訳」欄です。
第二表の『所得の内訳』欄には、所得の種目として『暗号資産』などと記載します。
具体的な記載内容は取引形態等によって異なるため、国税庁の記載例や確定申告書等作成コーナーに従って入力します。
参考:国税庁「暗号資産の取引に係る収入がある場合」
確定申告書を作るにあたっては、経費と添付書類の2点に注意してください。
ポイント①:暗号資産取引の経費について
確定申告書には経費の入力欄があります。経費を計上すると所得金額をおさえられるため、もし認められるものがあるなら入力しましょう。
経費として認められる可能性があるものの例
- 取引に使用するパソコン
- セミナー参加費(勉強のため)
- 暗号資産の所得計算ソフトの月額料金など
ただし、経費として認められる範囲は暗号資産取引との直接の関連性や使用割合などによって判断されます。
パソコンなどは金額等によって減価償却が必要になる場合があります。
ポイント②:添付書類について
暗号資産の取引についての書類は、必ずしも提出しなければいけないものではありません。
ただし、利益の計算に使用した取引履歴や年間取引報告書は、取引内容を示す根拠書類となりますので大切に保管してください。
③ 確定申告を済ませたら納税する
確定申告書は期限の3月15日までに提出しましょう※。
確定申告書を提出すると納税する金額が確定するので決められた金額を納税します。
所得税の納付期限も原則3月15日です。
期限を過ぎて申告・納税をすると、無申告加算税や延滞税が上乗せされることがあります。
※ 3月15日が土日と重なる場合は、次の平日にずれることがあります。
給与所得のみの会社員であれば、給与にかかる税金は振り込みのときに天引きされるので、自分で納める必要はありませんでした。
しかし暗号資産の所得にかかる税金は、自分で納める必要があります。
税金を納める主な方法
- 税務署で直接納付
- e-Taxで納付
- 銀行口座の振替
- クレジットカードでの決済
- スマホアプリ納付(Pay払い・納付税額30万円以下)
- コンビニでの納付
※ 振替納税の場合は期限が1ヶ月ほど延長されます。
また、暗号資産の価格は上下動が激しいため、突然暴落したときに備えて納税資金は日本円で早めに確保しておくと安心でしょう。
補足:申告分離課税の導入(2028年からの適用を想定)と、いま準備しておきたいこと
ここまで説明した「雑所得として総合課税で申告する」という流れは、2026年分・2027年分の確定申告にも引き続き当てはまります。
一方で、2026年3月に成立した税制改正により、金融商品取引法等の改正法の施行日の属する年の翌年1月1日以後、一定の特定暗号資産の譲渡等による所得について、20.315%の申告分離課税が適用されることとなっています。
現時点では2028年からの適用が想定されていますが、実際の適用開始日は金融商品取引法等改正法の施行時期に連動するため、正確な日程は今後の公表をご確認ください。
制度が変わっても、取引履歴をそろえて損益を計算し、自分で申告するという3ステップは変わりません。
むしろ改正後は、分離課税の対象になる取引と対象外の取引(ステーキング報酬など)を分けて集計する必要が出てきます。
いまのうちから取引履歴を漏れなく保存し、損益計算の手段を決めておくことが、将来の申告をスムーズにする準備になります。
なお、法人で暗号資産取引を行っている場合は、法人税の税率や期末時点の含み益に対する課税など、個人とは取り扱いが異なります。
法人の税務については、別記事「暗号資産(仮想通貨)の法人税、期末評価の含み益にかかる税金の節税方法について解説」をご覧ください。
まとめ
暗号資産の取引で得た所得が一定以上ある場合は、きちんと確定申告を行う必要があります。
第2回ではその流れについて分かりやすくお伝えしてきましたが、再度おさらいしておきましょう。
- 年間で得られた損益金額の計算
- 確定申告書の作成と提出
- 納税
会社員など確定申告が初めての方なら不安に感じるかもしれませんが、損益計算ツールである「クリプタクト」のようなサービスもありますので、手間を大幅にカットしながら確定申告をすることが可能です。
取引内容によっては計算に時間がかかったり難しい判断に迫られたりする可能性もあるので、税理士または税務署にすぐ相談できるようにゆとりを持って準備を進めていきましょう。
第1回:暗号資産(仮想通貨)投資をするなら知っておきたい税金の基本
第3回:暗号資産(仮想通貨)の確定申告で解消させておきたいQ&A
【ご注意事項】
本記事は執筆者の見解です。
本記事の内容に関するお問い合わせは、暗号資産の損益計算サービス「クリプタクト」を提供する株式会社pafinまでお願いいたします。
執筆者:株式会社pafin(クリプタクト)
株式会社pafinは暗号資産の損益計算サービス「クリプタクト」を運営するFintechスタートアップです。クリプタクトは多くの取引所・ブロックチェーンに対応し、暗号資産のポートフォリオ管理から確定申告の準備までをサポートしており、税理士をはじめとする専門家にも利用されています。
監修者:税理士 坂本 新(さかもと しん)
たまらん坂税理士法人 代表社員/一般社団法人 暗号資産ビジネス協会 準会員
平成4年、東京国税局に入局。平成29年7月、暗号資産を得意とする税理士になるため東京国税局を離職。同年から暗号資産ホルダーに対し税金説明会を開くなど活動する一方、東京都国立市に「たまらん坂税理士法人」を設立し代表社員に就任。税理士向けの研修講師、個人・法人のクライアントサービス、暗号資産の税務調査等幅広く活動している。
