▼目次
暗号資産は、インターネットを通じて国境を超え、24時間365日、自由に送金できるのが大きな魅力です。
しかし、そのスピードや匿名性はマネーローンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与といった犯罪に悪用されるリスクと表裏一体でもあります。
こうしたリスクに対処し、安全な取引環境を作るために導入された国際的なルールが「トラベルルール」です。
2023年6月から日本でも法的義務となり、暗号資産の送金手続きにも大きく関わっています。
この記事では、トラベルルールの仕組みと、利用者が確認すべきポイントをわかりやすく解説します。
トラベルルールとは
ひと言で言うと「暗号資産を送るときに、誰が・どこへ送るのかという情報を、暗号資産交換業者同士で通知し合うルール」です。
これまで暗号資産の送金は匿名性が高いものでしたが、このルールにより、暗号資産交換業者が送金依頼を受けた際、以下の情報を受取側の暗号資産交換業者に通知することが義務付けられました。
- 送付人名(個人・法人)
- 受取人名(個人・法人)
- 住居又は顧客識別番号など
- ブロックチェーンアドレスなど
これにより、不正な資金移動の追跡が可能になり、犯罪抑止につながります。
海外旅行でパスポート情報が必要になるのと似たイメージです。
トラベルルールが導入された背景
背景には、国際的なマネーローンダリング対策の基準を作る「FATF(金融活動作業部会)」の強い要請があります。
その目的は、テロリストや犯罪者が送金システムを自由に悪用するのを防ぎ、もし不正があった場合でも、その「お金の流れ」を追跡できるようにすることでした。
日本でも、2023年6月1日施行の改正「犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)」および関連する政令・施行規則等の整備により、国内の暗号資産交換業者に対してトラベルルールの遵守が法的に義務化されました。
トラベルルールの対象となる取引
1. 全銘柄、いかなる金額でも対象
日本国内のルールでは金額の大小や銘柄に関わらず、原則すべての送金が対象となります。
2. 対象となる送金ルート
- 国内の暗号資産交換業者から、別の国内の暗号資産交換業者への送金
- 国内の暗号資産交換業者から海外の暗号資産交換業者への送金
- 海外の暗号資産交換業者から国内の暗号資産交換業者への送金
金額やコイン種類を問わず、すべての送金が対象になるのが基本です。
3. 対象外となるケース(例外)
以下の場合は、暗号資産交換業者による通知義務の対象外となることが一般的です。
- プライベートウォレット(Unhosted Wallet)とのやり取り
- 規制対象外の国・地域への送金
トラベルルールの対象範囲については、各暗号資産交換業者から発表されている情報をご確認ください。
トラベルルールで確認すべきこと
トラベルルールを遵守するために、各暗号資産交換業者はトラベルルール対応ソリューションを導入しています。
日本国内では主に以下の2つのシステムが採用されていますが、これらは技術基盤が異なるため、異なるシステム同士では直接送金ができない(または制限がかかる)ケースがあります。
- Sygna(シグナ)
- TRUST(トラスト)
そのため、別の暗号資産交換業者へ送金する際は、事前に以下の点を確認しておくと安心です。
・各暗号資産交換業者の「送付可能先」リストを確認する
多くの暗号資産交換業者では、公式サイトのお知らせやFAQで「トラベルルール対応に伴う送付可能な暗号資産交換業者一覧」を公開しています。
ご自身が利用している暗号資産交換業者が、送金先の暗号資産交換業者に対応しているかを事前にチェックしておきましょう。
※SBI VCトレードのトラベルルール対応についてはこちらをご確認ください。
・最新の情報を参照する
対応するシステムや送付可能な宛先は、技術のアップデートや規制の変更によって更新されることがあります。
過去に送金できた先であっても、念のため最新のお知らせに目を通すことをおすすめします。
最後に
トラベルルールは、国際的な犯罪抑止と市場の健全化を目的とした法的なルールです。
ルールを正しく理解し、送金前には「送金先の暗号資産交換業者は対応しているか?」を確認する習慣をつけることで、トラブルを防ぎ、スムーズな取引を続けることができます。
---
※本コンテンツは暗号資産(仮想通貨)及び電子決済手段等の情報提供のみを目的としたものであり、投資や取引を推奨するものではありません。また、記載内容は執筆時点の一般情報に基づいており、将来の価格動向を示唆するものではありません。
---
