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暗号資産(仮想通貨)をウォレットへ送金したり、NFTを購入したり、DeFiを利用したりする際に発生するのが、ネットワーク手数料(「ガス代」とも呼ばれるもの)です。
これは暗号資産取引所に支払う売買手数料とは異なり、ブロックチェーン上で取引や処理を実行するために必要なコストです。
ネットワークの維持や検証作業に対する報酬として支払われ、その金額は混雑状況や処理内容によって変動します。
暗号資産を「保有する」だけでなく「使う」段階に進むと、このネットワーク手数料の理解は欠かせません。
この記事では、ネットワーク手数料(ガス代)が発生する仕組みや役割、変動する理由、基本的な計算方法を解説します。
ネットワーク手数料とは
ネットワーク手数料はブロックチェーンを動かすためのコスト

ブロックチェーンは、中央管理者を置かない分散型ネットワークです。
取引データの検証やブロック生成は、ブロックチェーンの参加者によって行われています。
これらの検証/生成作業には計算資源や電力などのコストがかかるため、その対価として支払われるのがネットワーク手数料です。
ネットワーク手数料は、
- 取引の検証
- ブロックへの記録
- ネットワークの安全性維持
といったブロックチェーン取引を支える重要な仕組みです。
▶関連記事:ブロックチェーンとは|暗号資産(仮想通貨)の基盤技術を知る
スパム防止の役割も
ネットワーク手数料には他にも重要な役割があります。
もしブロックチェーン上の各処理が無料で実行できたとすると、大量の不要データを送りつけるスパム攻撃や詐欺などが発生する恐れがあります。
ネットワーク手数料を設定することで、こうした悪用を防ぎつつ安定的な処理を維持できるのです。
ネットワーク手数料を受け取るのは誰?
ネットワーク手数料を受け取る人は、ブロックチェーンの仕組み(コンセンサスアルゴリズム)によって異なります。
代表的な暗号資産を例にすると、ビットコイン(BTC)ではPoW(プルーフ・オブ・ワーク)、イーサリアム(ETH)ではPoS(プルーフ・オブ・ステーク)という仕組みが採用されています。
PoWでは、マイナーと呼ばれる参加者が計算処理をして新しいブロックを生成するので、マイナーに対する報酬として「トランザクション手数料」と呼ばれるネットワーク手数料とブロック報酬(新規発行分)が支払われます。
一方PoSでは、取引を検証するバリデータへの報酬として「ガス代」やステーキング報酬(新規発行分)が支払われます。
PoWにおける「トランザクション手数料」、PoSにおける「ガス代」の総称がネットワーク手数料です。
ネットワーク手数料が発生するのはどんなとき?
重要なのは、「ブロックチェーン上に記録される処理かどうか」です。
ここではネットワーク手数料が発生する取引、発生しない取引を具体的に紹介します。
ネットワーク手数料が発生しない取引(=オフチェーン取引)
暗号資産販売所・取引所内での売買は、事業者の内部データベース更新で完結するため、通常はオンチェーン処理が発生しません(オフチェーン取引といいます)。
そのため、ネットワーク手数料は発生しません(※取引所の売買手数料は別途発生する場合があります)。
ネットワーク手数料が発生する取引(=オンチェーン取引)
以下のように、ブロックチェーン上に記録される取引では、ネットワーク手数料が発生します。
- 暗号資産取引所からウォレットへの出庫
- ウォレット間の送金
- NFTの購入・発行
- DeFiでのトークン交換(スワップ)
- スマートコントラクトの実行 など
つまり、暗号資産を「活用する」場面では、ほぼ必ずネットワーク手数料が発生します。
ネットワーク手数料が変動する仕組み
ネットワークの混雑具合による変動
暗号資産のネットワーク手数料は固定制ではなく変動制を採用しており、ネットワーク手数料が変動する主な要因は大きく分けて二つあります。
まず一つめは、ネットワーク上での処理の優先順位に関わる変動です。
暗号資産のブロック生成は、それぞれに決められた一定の時間ごとに実行されます。
そのため処理量が多くなりネットワークが混雑すると、処理に遅延が生じる場合があります。
このようなケースでは、ユーザーは入札制度や優先手数料(チップ)を利用して、処理の優先順位を高めることが可能です。
イーサリアム(ETH)のように、ネットワークの混雑度によって自動的にネットワーク手数料が決められる仕組みもあります。
処理の複雑さによる変動
もう一つの変動要因は処理の複雑さです。
ネットワーク手数料は単純な送金処理などよりも、スマートコントラクトのように処理が複雑になるほど高くなります。
ブロックチェーン処理が複雑になると、ネットワークの計算負荷が増加し、コストも増大します。
その分、マイナー(PoW)やバリデータ(PoS)への報酬も上がるため、ガス代も高額になるのです 。
ネットワーク手数料はどのように計算されるのか?
一般的なネットワーク手数料の計算方法
ここからは、イーサリアム(ETH)を例に、ネットワーク手数料(ガス代)の計算方法を説明します。
イーサリアム(ETH)のガス代は、家庭でガスを使用する場合と同じように、ガス価格と使用量によって決まります。
算出基準は以下に示す二つのパラメータです。
- ガス使用量(ガスリミット):事前に設定するガスの総使用量
- ガス価格:基本手数料と優先手数料を合わせたもの
これら二つの基準をもとに、ガス代は以下の計算式で算出されます。
「ガス代 =(基本手数料 + 優先手数料)× ガス使用量」
基本手数料は一つの処理に必要な最低限のガス価格であり、現在イーサリアム(ETH)ではネットワークの混雑状況によって自動的に調整されます。
優先手数料は、ユーザーが処理の優先順位を上げるために追加する任意のコストです。
もう一つのガス使用量は事前に設定可能で、処理に使用するガスの上限を決めることにより、ガス代の払い過ぎを防止できます。
ネットワークが混雑している中で処理を急ぐ場合には、優先手数料を上乗せすることで優先順位を上げることが可能です。
ただし多くのユーザーが同じ対応をすれば、優先手数料が上昇してガス代全体が高くなります。
【具体的なコストの計算例 】
実際にイーサリアム(ETH)で取引を実行すると、どのくらいのガス代がかかるのでしょうか。
ここで単純な送金処理の場合と、より複雑なNFTの発行処理の場合を例に、おおよそのガス代を計算してみましょう。
イーサリアム(ETH)の手数料は、「Gwei(グウェイ)」という単位で表されます。
これはイーサリアムの価格単位である「ETH」を、扱いやすい基準にしたもので、以下のように換算できます。
- 1Gwei=0.000000001ETH
- 1ETH=1,000,000,000Gwei
イーサリアム(ETH)での送金処理では、通常ガス使用量は20,000程度です。
基本料金が20Gweiで、優先手数料を5Gweiと仮定した場合のガス代は以下のとおりです。
「ガス代:(20+5)× 20,000 = 500,000Gwei = 0.0005ETH」
一方でNFT発行の場合では、通常ガス使用量は100,000程度です。
同じく基本料金が20Gweiで、優先手数料を5Gweiと仮定した場合のガス代は以下のとおりです。
「ガス代:(20+5)× 100,000 = 2,500,000Gwei = 0.0025ETH」
ただしこの計算では数値を簡略化しているため、実際のガス使用量や手数料とは異なります。
手数料やGweiについては、リアルタイムで公開しているプラットフォームなどで確認してください。
まとめ
暗号資産を活用する場面(ウォレットへの出庫やNFT購入)では、ネットワーク手数料(ガス代)がかかります。
ネットワーク手数料(ガス代)は、
- ブロックチェーンの維持を支える報酬
- スパム防止の役割
- オンチェーン取引で発生
- 混雑度と処理内容で変動する価格体系
という特徴を持ちます。
暗号資産を「保有」から「活用」へ進める際には、ネットワーク手数料まで含めて理解しておくことが重要です。
この仕組みを正しく理解することで、ネットワーク手数料を意識しながら暗号資産が使えるようになります。
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※本コンテンツは暗号資産(仮想通貨)及び電子決済手段等の情報提供のみを目的としたものであり、投資や取引を推奨するものではありません。また、記載内容は執筆時点の一般情報に基づいており、将来の価格動向を示唆するものではありません。
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