▼目次
暗号資産(仮想通貨)市場が常に変動し続ける中、エックスアールピー(XRP)はビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)、テザー(USDT)に次ぐ存在感を示し、特に2025年2月時点ではその動向に大きな注目が集まっています。
本コラムでは、最新の市場状況や技術的な仕組み、直近のニュースと市場分析に基づく価格予想、そして投資タイミングや将来展望について詳しく解説します。
短期的な感情の振れ幅だけではなく、長期的なファンダメンタルズに基づく判断の重要性についても考察を加えています。
【2025年2月最新】エックスアールピー(XRP)|現状の価格動向
図1|XRPのリターン推移(出所:yahoo.financeの情報を基に当社作成)
2025年2月初頭、エックスアールピー(XRP)は暗号資産市場で時価総額第4位(ステーブルコインを除くと3位)に躍進し、2024年夏頃の7位から大幅に順位を上げました。
これは、2023年に米国裁判所でのRipple対SEC訴訟における部分勝訴を受け、エックスアールピーへの期待感が高まったことが背景にあります。
その影響で、2023年夏には主要取引所での再上場が実現し、投資家心理にも明るい兆しが見え始めました。
特に、2024年11月の米国選挙と2025年1月の米国CPI発表後の急騰は、他の主要暗号資産を大きく上回るパフォーマンスを示し、2024年1月以降、執筆時点までに269.3%という驚異的なリターンを達成(図1参照)しています。
選挙後の政策期待や市場のリスク選好の高まりにより、機関投資家からの資金流入も確認されました。
さらに、エックスアールピーETFの承認期待やステーブルコイン(RLUSD)の導入、そしてXRPレジャー(XRPL)の利用拡大が、直近の価格上昇を支える要因となっています。
また、米国大手取引所では、上昇局面で3~13%のプレミアムが発生するケースも見受けられ(図4参照)、大口投資家の影響が強まっている可能性が示唆されます。短期的なボラティリティの高まりには留意が必要ですが、長期的にはエックスアールピーエコシステムの成長が市場のさらなる注目を集める展開が期待されます。
エックスアールピー(XRP)の特徴・仕組み
図2|エックスアールピー(XRP)の供給状況(出所:Coingeckoの情報を基に当社作成)
エックスアールピー(XRP)は2012年に発行された最大供給量1,000億XRPのうち、20%が創設チームに、残り80%がリップル(Ripple)社に寄贈される形で始まりました。
その後、リップル社は供給量の予測可能性を高めるため、800億XRPのうち約550億XRPをエスクローに預け、毎月10億XRPがアンロックされる仕組みを採用しており、これがインフレ圧力として機能しています。
この仕組みにより、現在の循環供給量は約577億XRPとされ、残りはエスクローやリップル社保有分として管理されています。(図2)
図3|XRPLのTxおよびTxコストの推移(出所:XRPscanの情報を基に当社作成)
また、XRPレジャー(XRPL)では各トランザクションに対して少額の取引手数料が課され、徴収された手数料はすべてバーン(焼却)されるため、発行済みのエックスアールピー総数は徐々に減少し、デフレ圧力がかかる設計になっています。
実際、累計の取引手数料によるバーンは、ネットワーク上での活発なオンチェーン活動を反映しており、特に2024年11月以降の手数料増加は、利用者数や取引量の拡大を示唆しています。
このような仕組みが、エックスアールピーの供給調整と長期的な価値維持に寄与していると考えられます。(図3)
「エックスアールピー」と「リップル」の違い・正しい名称は?
暗号資産(仮想通貨)「XRP」は、現在は「エックスアールピー」と読むのが正式とされています。
しかし、発行当初から数年間は、社名と同様に「リップル」と呼ばれていました。
そのため、報道の際などに企業としての米リップル社のことなのか、暗号資産としてのリップル(XRP)のことなのか判断がつきづらく、多くの誤解や投資判断に迷うなどの問題が発生する原因となっていました。
こうした混乱を解消するため、2018年7月9日(現地時間)、米リップル社は公式サイトで「The Difference Between Ripple and XRP(リップルとエックスアールピーの違い)」というリリースを発表。企業名である「リップル」と、暗号資産である「エックスアールピー」の違いについて、下記のQ&Aを公開しました。
---
【定義は?】
リップル:効率的な国際送金を実現する技術を提供するテクノロジー企業
エックスアールピー:XRPレジャーを基盤とする、独立したデジタル資産
【関連性は?】
リップル:暗号資産エックスアールピー(XRP)とxRapidでXRPレジャーを使用するソフトウェア企業であり、エックスアールピーとその技術を制御することはない。米リップル社は600億XRPを所有している(約550億XRPは第三者預託口座に凍結されている)
エックスアールピー:XRPレジャーは公開されたブロックチェーン技術であり、独占所有できるものではない(米リップル社からも独立している)
【コントロール者は?】
リップル:米リップル社の取締役会・創業者・従業員
エックスアールピー:エックスアールピーを技術的に用いる人、エックスアールピーやXRPレジャーに貢献するコミュニティ
【利用者は?】
リップル:主に金融機関
エックスアールピー:誰でも利用できる
【所有者は?】
リップル:リップル社の株式を保有する創業者・投資家・従業員
エックスアールピー:誰もが所有できる
---
以上が、米リップル社の公式サイトで発表された内容です。
現在、日本では未だに暗号資産(仮想通貨)「XRP」がリップルと呼ばれることがありますが、正しい名称は「エックスアールピー」であるということを覚えておきましょう。
【最新ニュースや市場分析から考察】エックスアールピー(XRP)の今後の価格予想
直近1年間、エックスアールピー(XRP)の価格は多くの要因によって大きく揺れ動いています。
まず、2023年7月のRipple対SEC訴訟の部分勝訴が市場に安心感をもたらし、その後の米国選挙戦、25年1月の米国のCPI発表を経てエックスアールピーは約7年ぶりに1XRPあたり3ドル台を記録。
さらに、暗号資産に敵対的な姿勢を示してきた米国SEC委員長(ゲーリー・ゲンスラー氏)の交代や、トランプ政権による暗号資産に友好的な政策が示唆されたことで、規制環境が柔軟化するとの期待が高まり、市場全体にプラスの影響を与えています。
加えて、機関投資家向けのETFや信託商品の動きが活発化し、GrayscaleやBitwiseといった大手企業がエックスアールピーのETF申請を行うなど、投資家層の拡大が価格の底堅さを裏付けています。
企業がトレジャリー戦略にエックスアールピーを組み入れる動き(例:米国上場企業Worksportの計画発表)も見受けられ、これらのニュースは中長期的にエックスアールピーの価値向上に寄与する要因として評価されます。
図4|米国大手暗号資産取引所Coinbaseと韓国大手取引所UpbitにおけるXRP価格のプレミアムの可視化(出所:https://x.com/ki_young_ju/status/1863524268753277039)
ただし、短期的には市場参加者の感情による急騰や急落が発生する可能性も否定できません。
図4に見られるように2024年11月以降のエックスアールピーのいくつかの価格上昇フェーズで特定の取引所にプレミアム価格が発生している現状は、少数の大口投資家が市場をリードしている証拠とも捉えられ、今後も慎重な観察が求められます。
図5|XRP市場価格の推移(出所:coingeckoの情報を基に当社作成)
さらに、2025年2月3日、ドナルド・トランプ大統領の新関税措置発表を受け、暗号資産市場全体が大きく下落。
ビットコインは92,000ドル台、イーサリアムは約20%下落の2,500ドル台、エックスアールピーは17%下落して2.3ドル台となり、全体で20億ドル以上の清算が発生しました。
加えて、2月5日にはXRPレジャー(XRPL)が約1時間にわたってトランザクション検証を停止する事態が発生し、その後再稼働したものの、市場の不安材料となり、執筆現在(2月12日)の価格は横ばい状態です。(図5)
総じて、規制の明確化と技術面での進展が進むならば、エックスアールピーはさらなる成長軌道に乗ると予想されますが、市場のボラティリティには引き続き注意が必要です。
エックスアールピー(XRP)購入・買い時のタイミングは?
投資家にとって、暗号資産の買い時を見極めるのは容易ではありません。
エックスアールピー(XRP)の場合、過去の価格変動を振り返ると、規制関連のニュースや機関投資家の動向、さらにはオンチェーン活動の活発化といったファンダメンタルズ要因に反応して急激な値動きが見られます。
直近の好材料にもかかわらず、短期的な感情の振れ幅によるリスクは依然として存在するため、投資タイミングを判断する際には以下の点が重要です。
- 市場のニュースとイベントの確認:重要な法的判決や規制の動向、ETF申請の進展などをリアルタイムで把握することが鍵です。これらの情報は、急激な値上がりや下落の前触れとなる可能性があります。
- オンチェーン活動の状況:アクティブウォレット数や取引量の増加は、実需の拡大を示す指標です。これらのデータが持続的に増加している場合、長期的な成長基調が期待できるため、買いのチャンスと言えるかもしれません。
- 長期的なファンダメンタルズの評価:エックスアールピーの仕組みや供給調整の仕組み、技術的進展を総合的に判断し、短期の感情的な動向に左右されない投資判断が求められます。
これらを踏まえ、短期的なリスクを抑えながらも、長期的な成長ポテンシャルに着目した戦略が有効でしょう。
エックスアールピー(XRP)今後の展望・将来性を予測
エックスアールピー(XRP)は今後、さまざまな要因によってその位置づけが変化すると予測されます。
以下、主な観点から今後の展望を整理します。
エックスアールピー(XRP)の今後のポジション、普及率や利用シーン、規制の動き
エックスアールピー(XRP)は単なる送金手段に留まらず、XRPL上でのDeFi、リアルワールド資産のトークン化、国際決済の効率化など多様な用途が広がっています。
技術面では、Societe GeneraleやArchaxなどの提携によるプロジェクトが次々と展開され、オンチェーン取引やアクティブウォレット数の増加がその実需拡大を裏付けています。
さらに、リップル社が進めるステーブルコイン(RLUSD)の開発は、クロスボーダー決済の効率化や金融システムへの統合を促進する動きとして注目されています。
一方、規制環境の変動は今後も大きな影響を及ぼす要因です。
米国SECの姿勢変化や各国政府の暗号資産に対する政策調整が進む中、規制が明確化すれば、より多くの機関投資家や伝統的な企業がエックスアールピーに参入する可能性が高まります。
実際、企業が自社のトレジャリー戦略にエックスアールピーを組み入れる動きも始まっており、これがエックスアールピーの普及率向上や利用シーンの拡大に寄与するでしょう。
長期的には、技術革新と規制の調和が図られることで、エックスアールピーは安定した成長軌道に乗るのではないかと期待されます。
まとめ/統括
2025年2月現在、エックスアールピー(XRP)は市場の注目度をさらに高めつつ、法的・技術的な進展を背景に堅調な動きを見せています。
エスクローによる供給管理や手数料バーンの仕組みが、長期的なエックスアールピーの循環供給量の調整弁として働く一方、規制明確化や機関投資家の参入、さらには多角的なユースケースの拡大が今後の成長を支える要因となっています。
とはいえ、短期的な価格変動は依然として市場参加者の感情に左右されるため、投資家は最新ニュースやオンチェーンデータに注意を払いながら、長期的なファンダメンタルズに基づいた冷静な判断を下すことが求められます。
今後、規制環境の変化と技術革新の進展がどのように相互作用するかが、エックスアールピーの未来を左右する鍵となるでしょう。