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第5回 暗号資産のWeb3活用|FTとNFTとは?各トークンの違いや特徴を解説

第5回 暗号資産のWeb3活用|FTとNFTとは?各トークンの違いや特徴を解説

公開日: 2025年8月21日

最終更新日: -

▼目次

    「暗号資産のWeb3活用」シリーズでは、SBI VCトレードをご利用の皆さまや、暗号資産(仮想通貨)の活用に関心のある皆さまに向けて、暗号資産を「保有」するだけでなく、積極的に「活用」するための視点をご紹介しています。

    暗号資産を取引所口座からウォレットに出庫(送金)してWeb3サービスを使い始めると、「トークン」という言葉を目にする機会が増えるかもしれません。
    特に「NFT(非代替性トークン)」はWeb3サービスで頻繁に登場する言葉ですが、具体的な活用イメージが湧きにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。これは、「非代替性」も「トークン」も身近な言葉ではないため、直感的に理解しにくいことが原因です。

    そこで本記事は、身近な例からブロックチェーン上の「トークン」の全体像を掴んでいただくことを目指します。代替可能と代替不可能の概念を整理し、FT(代替性トークン)とNFT(非代替性トークン)の違いや特徴、さらに代表的なトークンの種類について解説します。


    1. 代替可能(Fungible)と代替不可能(Non-Fungible)とは?

    まずは一般的な概念である「代替可能」と「代替不可能」を理解するために、身近な例で解説します。

    代替可能(Fungible)なものは、同じ種類や単位であれば、互いに交換しても価値が変わらないものです。
    例えば、千円札は、誰の持つ千円札と交換しても同じ価値で使えます。


    代替不可能(Non-Fungible)なものとは、一つ一つが唯一無二の特性を持ち、同種のものと交換しても同じ価値にはならないものです。
    例えば、一般的にすべての家はそれぞれ異なり、全く同じ猫も存在しません。

    この概念はブロックチェーン上の「トークン」にも適用されます。
    例えば、代替可能なトークンはFT、代替不可能なトークンはNFTと呼ばれます。

    2. トークン、FT、NFTとは?

    本章ではトークンの代替可能、代替不可能についての説明をします。
    暗号資産の世界においては、トークンはブロックチェーン技術を基にしたデジタル資産のことを指します(※1)。技術的には、ブロックチェーン上の台帳に記録された現在の状態データ(残高や所有者情報など)がトークンの本体です。このうち、お金のように互いに代替できるトークンがFT、家や猫のように代替できないトークンがNFTです。

    なお、トークンの性質は、主にトークン規格(Token Standard)や発行時の設計、供給数などで決まります。また、同じ技術的性質のトークンでも、利用形態によっては法的区分が異なる場合もあるため注意が必要です。

    FT(Fungible Token/代替性トークン)とは、同じ種類であれば、同じ価値で交換できるトークンです。
    例として、ビットコイン(BTC)のような暗号資産はFTの性質を持ちます。1BTCはどこの1BTCも価値的に等価であり、相互に交換可能です。


    暗号資産取引所(※2)で売買される暗号資産や、特定のサービス内で利用できるユーティリティトークン、投票権として使われるガバナンストークンなどは、主にFTの規格(例:ERC-20)に基づいて発行されます。

    NFT(Non-Fungible Token/非代替性トークン)とは、世界で一つだけの識別情報(ID)を持つトークンで、「ERC-721」や「ERC-1155」などの規格に基づいて発行されます。

    NFTの識別情報は、メタデータやコンテンツデータの参照先(URLなど)と紐付けられ、さらに所有者のウォレットアドレスとも結びつけられます。この情報はブロックチェーン上に保存され、誰でも閲覧できます(※3)。
    なお、NFTのトークン本体は下図の赤枠部分(オンチェーンのインデックスデータ)にあたります。

    NFTが付与されたデジタルアートは、たとえ複製画像が存在しても、インデックスデータやメタデータを参照することで正規発行元を確認できます。つまりNFTとは、デジタルデータの真贋証明が可能な技術といえます。

    NFTについては、SBI VCトレードの下記のコラムでも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
    新たな「資産」としても注目が集まるNFT その魅力とは
    新たな「資産」としても注目が集まるNFT その魅力とは《その2》
    【初心者向け】10分でわかるNFT(Non-fungible token)の基礎知識

    3. トークンの種類

    ここまで、トークンの代替性について説明してきました。
    トークンは、トークン規格(※4)や設計によって様々な種類があり、代表的なものは以下の通りです。

    なお、イーサリアム(ETH)のように複数の性質(ペイメント・ユーティリティ)を併せ持つトークンもあり、明確に区分できない場合があります。
     
    トークンの種類については、SBI VCトレードの下記のコラムでも詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。
    トークンとは?暗号資産(仮想通貨)との違いやトークンの種類について解説
    【2025年最新】ステーブルコインとは?種類や仕組み、メリット・デメリット、将来性
    【2025年最新】ステーブルコイン市場の動向・二極化する市場と、米国・日本の規制アプローチ

    4. まとめ

    本記事では、代替可能と代替不可能の概念をもとに、FT(代替性トークン)とNFT(非代替性トークン)の違いや特徴、さらにトークンの種類を解説しました。
    ・FTは相互に交換可能で、価値保存や支払い手段、コミュニティ維持などに利用されるトークンです。
    ・NFTは固有の識別情報を持ち、デジタルデータの唯一性を証明するトークンです。
    ・トークンには多様な種類があり、トークン規格や設計によって活用方法が異なります。
     
    Web3の世界は専門用語が多く、最初は難しく感じるかもしれませんが、基本的な概念を理解することで、暗号資産の活用の幅が広がります。本記事が皆さまの学びと実践の一助になれば幸いです。


    (※1)出所:SBI VCトレード「トークンとは?暗号資産(仮想通貨)との違いやトークンの種類について解説
    (※2)正式には「暗号資産交換業者が提供する販売所・取引所及び各種サービス」ですが、文中では一般的な理解のしやすさを優先し、「暗号資産取引所」と記載しています。
    (※3)パブリックブロックチェーンにおける一般的な仕様の場合。
    (※4)イーサリアムの有名な規格には、FTの標規格「ERC-20」、NFTの標準規格「ERC-721」、そして複数のトークンタイプを管理できる「ERC-1155」があります。なお、ブロックチェーンによっては独自のトークン規格を採用している場合もあるため、詳しくはGitHubリポジトリなどの公式ドキュメントをご確認ください。

    参考
    ・金融庁「事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)16. 暗号資産交換業者関係
    ・金融庁「コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方
    ・SBI証券「ST(セキュリティ・トークン)