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【2025年最新】エックスアールピー(XRP)マーケット総括:2024年8月~2025年7月の動向分析

【2025年最新】エックスアールピー(XRP)マーケット総括:2024年8月~2025年7月の動向分析

公開日: 2025年9月4日

最終更新日: -

▼目次


    本レポートは、2025年7月までの暗号資産(仮想通貨)エックスアールピー(XRP)市場の状況解説と、過去1年間におけるエックスアールピー(XRP)の主な市場動向まとめに焦点を当てています。
    なお、より包括的かつ技術的なXRPレジャー(XRPL)の情報や、エックスアールピー(XRP)関連のマーケット動向については、関連記事をご参照ください。

    1. エックスアールピー(XRP)とXRPレジャー(XRPL)の基本概要

    1.1 暗号資産(仮想通貨)エックスアールピー(XRP)の市場現況と価格動向


    図表1|出所:Coingecko

    2025年7月28日現在、エックスアールピー(XRP)は暗号資産(仮想通貨)市場において、ビットコイン(BTC)およびイーサリアム(ETH)に次ぐ時価総額第3位に位置しています。
    これは前年同月の第7位から大きく順位を上げたものであり、過去1年間でエックスアールピー(XRP)の時価総額が市場全体に対して相対的に拡大したことを示しています。
     
    この上昇は、複数の要因が重なった結果と見られます。
    まず、2024年11月の米大統領選において暗号資産(仮想通貨)に寛容な姿勢を示すドナルド・トランプ氏が再選したことが、グローバルな市場拡大や規制環境の変化を促し、暗号資産セクター全体の投資家心理に好影響を与えました。
     
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    加えて、XRPレジャー(XRPL)上での新機能導入といったファンダメンタルズの改善も、投資家の注目を集める要因となりました。
    特に、XRP現物ETFへの期待や、リップル社によるステーブルコイン「RLUSD」のローンチが注目され、XRPLエコシステム全体の成長見通しが強まったことも、エックスアールピー(XRP)の需要拡大と市場評価の押し上げ要因となっていると考えられます。
     
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    1.2. XRPレジャー(XRPL)の技術的特徴と主要機能

    暗号資産(仮想通貨)エックスアールピー(XRP)をネイティブトークンとするXRPレジャー(XRPL)は、10年以上の稼働実績を持つパブリックブロックチェーンです。
    高い手数料や決済の遅延といった従来の金融インフラが抱える課題に対処することを目的に設計されており、国際送金や資産のトークン化など、幅広い金融ユースケースに対応する基盤として機能しています。
     
    近年、XRPレジャーは単なる決済基盤を超えて、その機能を大きく拡張しています。
    チェーン内にはネイティブの分散型取引所(DEX)が組み込まれており、2024年には自動マーケットメイカー(AMM)機能も導入されました。
    これにより、流動性プールを活用した効率的かつ非中央集権的なトークン交換が可能となっています。
     
    さらに、軽量なスクリプト実行を可能にするWASMベースの「Hooks」機能が導入され、条件付き取引や自動実行といった柔軟なトランザクション制御にも対応。
    加えて、2025年6月には、Solidity対応のスマートコントラクトをサポートする「XRPL EVMサイドチェーン」がメインネットで稼働を開始しました。
    このサイドチェーンでは、MetaMask(メタマスク)との連携やエックスアールピー(XRP)をネイティブガスとする高速・低コストな環境が提供されており、開発者にとっても親和性の高い構造となっています。
     
    こうした技術的進化を通じて、XRPレジャーは決済インフラにとどまらず、DeFi、NFT、実世界資産(RWA)のトークン化といった多様なユースケースに対応可能なプラットフォームへと進化を遂げています。
    これにより、開発者やユーザーを含む広範なエコシステムの拡大が期待され、エックスアールピー(XRP)の需要増にも寄与しています。
     
    また、XRPLエコシステム内では、米ドルに裏付けられたステーブルコイン「RLUSD(Ripple USD)」の導入も進行中です。
    RLUSDは、国際送金や資産担保などへの活用が見込まれており、XRPレジャーのユースケース拡大およびエコシステム全体の安定性強化に貢献すると期待されています。

    2. 暗号資産(仮想通貨)エックスアールピー(XRP)のトークノミクス:供給と需要のメカニズム

    エックスアールピー(XRP)はXRPレジャー(XRPL)のネイティブトークンとして、そのエコシステム内で複数の役割を果たします。
    具体的には、XRPレジャー上での取引手数料の支払い、ウォレットの準備金(ベースリザーブ)としての機能、そしてトラストラインの作成やDEXへのOffer、Escrow/Checkなどの特定のオンレジャー操作に必要な準備金(オーナーリザーブ)として利用されます。

    2.1. エックスアールピー(XRP)の供給構造とトークノミクス

    エックスアールピー(XRP)は2012年のローンチ時に、最大供給量である1,000億XRPが一括発行されました。
    このうち20%が創設チームに、残る80%がリップル社に寄贈される形で初期分配が行われました。
    エックスアールピー(XRP)の供給管理において特筆すべきは、リップル社が2017年に導入したエスクロー制度です。
    リップル社が保有していた800億XRPのうち、550億XRPがXRPレジャー上のエスクローに預け入れられ、この仕組みに基づき、毎月初めに最大10億XRPがリップル社にアンロックされます。
    ただし、使用されなかった分は再びエスクローに戻され、将来の供給に回されます。
    この段階的かつ自動化された供給管理により、市場への急激な供給過多を抑え、価格の安定性と予測可能性の向上が図られています。

    図表2|出所:Coingecko(チャート:筆者作成)

    現在のエックスアールピー(XRP)の総供給量は、ローンチ時の1,000億XRPから、トランザクション手数料として焼却(バーン)された約1,410万XRPを差し引いた約999.9億XRPとなっています。
    エックスアールピー(XRP)の総供給量に影響を与える唯一の要因は、この「取引コストに伴うバーン」であり、その影響は小さいながらも、継続的なデフレ圧力として機能しています。
     
    一方、現在の循環供給量は約592億XRPで、残りの約407億XRP(エスクローやリップル社の保有分)から将来的に流通する分が控えています。
    循環供給量には、取引に伴うバーンによるデフレ要因と、エスクローからの段階的な排出によるインフレ要因が同時に作用しています。
     
    このように、エックスアールピー(XRP)の供給は「総量に対する軽度なデフレ圧力」と「流通量に対する管理されたインフレ圧力」の両面を持ち合わせており、この複合的なメカニズムは、価格の急変動リスクを抑え、長期的な安定性を提供する設計となっています。
    こうした予測可能な供給体制は、機関投資家にとっても重要な判断材料の一つと見なされています。

    2.2 取引費用とバーン(焼却)メカニズム

    XRPレジャーでは、ネットワークをスパムやDoS攻撃から保護するために、すべてのトランザクションに少額の手数料が課されています。取引費用はトランザクションの種類によって異なりますが、一般的な送金にかかる最低手数料は0.00001 XRP(10 drops)です。また、ネットワークの負荷状況に応じてこの手数料は自動調整される設計となっており、ネットワーク全体の健全性を保つセキュリティ機能としても機能しています。
     
    XRPレジャーの大きな特徴のひとつは、これらの取引手数料として支払われたエックスアールピー(XRP)がすべてネットワーク上で焼却(バーン)される点です。この仕組みにより、エックスアールピー(XRP)の総供給量には継続的にわずかながらデフレ圧力がかかり続けます。

    図表3|出所:XRPScan(チャート:筆者作成)

    2024年8月から2025年7月27日までの約1年間の動向を見ると、特に2024年11月から2025年3月にかけてネットワーク上のトランザクション数が増加し、それに伴いバーンされるエックスアールピー(XRP)量も拡大しました。
    これは、ネットワーク利用の活発化を反映したものであり、取引数が増えるほどバーン量も増加する設計が、結果として総供給量に対する穏やかなデフレ圧力を生む構造になっていることを示しています。
     
    一方、2025年3月以降は取引活動がやや落ち着き、日次のバーン量も安定的に推移しています。
    それにもかかわらず暗号資産(仮想通貨)エックスアールピー(XRP)の価格は同期間に上昇傾向を見せており、こうした動きは、オンチェーンの取引活動よりも、企業によるトレジャリー活用の増加や、ETF・ステーブルコイン発行といった将来期待をめぐる「物語」によって市場評価が押し上げられていた可能性を示唆しています。

    3. 過去1年間の暗号資産(仮想通貨)エックスアールピー(XRP)価格変動要因の考察

    過去1年間、エックスアールピー(XRP)は市場環境、規制、機関投資家の動向、さらにはマクロ経済や政治的なニュースなど、複数の要因が複雑に絡み合いながら価格変動を示してきました。
    本節では、これらの具体的な事例を交えながら、XRPの価格上昇・調整局面の要因について考察します。

    3.1.規制環境の転換と訴訟結果

    長らく暗号資産(仮想通貨)エックスアールピー(XRP)の価格変動に影響を与えてきたのが、規制環境とリップル社を巡る法廷闘争の進展でした。
    2020年に米国証券取引委員会(SEC)がリップル社をエックスアールピー(XRP)の販売に関して訴えたことにより、エックスアールピー(XRP)は「未登録証券」という不透明な状態に置かれ、主要取引所から一時的に上場停止されるなど、投資家心理に影響を与えていました。
     
    しかし、2023年7月13日、米国の裁判所は「エックスアールピー(XRP)自体はHoweyテストの要件を満たさない」と判断し、エックスアールピー(XRP)がデジタルトークンとして証券性を有さないとの判決を下しました(Page 15・25参照)。
    この部分勝訴は、エックスアールピー(XRP)にとって重要な転換点となり、主要取引所(Coinbase、Binanceなど)がエックスアールピー(XRP)の取引を再開しました。
    これにより価格は上昇し、長年の訴訟による不確実性が解消され、市場の期待が高まりました。
    この規制リスクの軽減は、エックスアールピー(XRP)に対する投資家の信頼を回復させ、潜在的な需要を喚起しました。
     
    さらに、2025年1月のゲーリー・ゲンスラーSEC委員長の辞任は、これまで暗号資産(仮想通貨)に対して強硬な姿勢を示していたSECのアプローチに変化の兆しをもたらしました。
    この動きは、エックスアールピー(XRP)を含むデジタル資産に対する市場の見方に影響を与え、米国内外での規制柔軟化への期待を高めました。
    結果として、エックスアールピー(XRP)の価格上昇や取引量の増加といったポジティブな市場反応を引き起こす一因となったと言えるでしょう。
    規制の明確化、あるいはその期待が、暗号資産(仮想通貨)の評価にどれほど大きな影響を与えるかを示す一例です。

    3.2 政治的・マクロ経済的要因

    2024年の米国大統領選挙において、ドナルド・トランプ氏が「暗号資産に友好的な政策」を掲げたことは、市場にポジティブなシグナルとして受け止められました。
    トランプ氏の当選が確定した2024年11月以降、ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産全体が上昇し、エックスアールピー(XRP)もその一環として反発しました。
     
    特に2025年1月には、トランプ新政権による規制方針の転換が進み、SEC委員長の交代などを含む政策変更の動きが伝えられたことで、エックスアールピー(XRP)に対する投資家の期待が高まりました。
    さらに注目すべきは、3月初旬にトランプ大統領が「国家戦略的デジタル資産備蓄」の構想を正式に打ち出し、エックスアールピー(XRP)やソラナ(SOL)といった米国発の暗号資産(仮想通貨)をビットコイン(BTC)とともにその対象に含める方針を明らかにしたことです。
    この政策発表は市場に好感され、エックスアールピー(XRP)価格の上昇につながりました。
    国家元首によるこのような直接的な言及は、エックスアールピー(XRP)が国家戦略上の位置づけを持つ可能性を示唆し、市場での正当性と魅力に影響を与えました。
     
    マクロ経済の変動もエックスアールピー(XRP)の価格を後押ししています。
    米国連邦準備制度(FRB)の金融政策や、世界的なインフレ懸念の緩和により、リスク資産への資金流入が進んでいます。
    ただし、トランプ政権による関税引き上げがもたらす市場混乱の影響も受ける可能性があり、執筆時点での見通しは依然として不透明な状況です。

    3.3 機関投資家の参入とETF・投資商品の拡大

    機関投資家向けの暗号資産投資商品(BTC現物ETF、ETH現物ETFなど)の整備が進む中、エックスアールピー(XRP)に対するETFや信託商品の申請が相次いでいることも、暗号資産(仮想通貨)エックスアールピー(XRP)価格の重要な要因の一つです。
     
    具体的には、暗号資産ファンド大手GrayscaleがXRPトラストをETFに転換する申請をSECへ提出したほか、米国初のXRPスポットETFの申請がBitwiseから行われ、市場の注目を集めました。
    さらに、Canary Capitalや21Shares、WisdomTreeなど、複数の機関がXRP ETFに向けた動きを強めていることも、エックスアールピー(XRP)への機関投資家の関心を示唆しています。
     
    伝統的な企業が暗号資産(仮想通貨)をトレジャリー資産(手元資金)として組み入れる動きが広がっていることも、エックスアールピー(XRP)の需要増加要因です。
    これは、エックスアールピー(XRP)が投機対象から企業の財務戦略の一部として認識され始めていることを示唆します。
     
    具体例としては、2024年12月5日に米国上場企業Worksportが、余剰資金の10%を暗号資産(ビットコインとXRP)に投資する計画を発表しました。
    2025年1月9日には、カナダのBC Bud Co.もキャッシュリザーブの一部をXRPに投資する動きを示し、さらに2025年6月にはTrident Digitalが2025年後半に向けて約5億ドルを調達し、XRPを中心とした「XRPトレジャリー」を構築する構想を公表。
    そして2025年7月23日には、Nature's Miracle Holding Inc.が最大2,000万ドル分のXRPをトレジャリーに組み込むプログラムを開始しました。
    これらの動きは、エックスアールピー(XRP)が従来の投機対象から、より安定した機関投資家や企業のポートフォリオの一部へと移行していることを示しており、長期的な価格安定性と主流金融への統合に寄与する要素です。

    3.4 技術的・エコシステムの進展

    暗号資産(仮想通貨)エックスアールピー(XRP)の価値は、XRPレジャー上でのDeFi(分散型金融)やリアルワールド資産(RWA)のトークン化プロジェクトなど、新たなユースケースの拡大によっても高まっています。
    具体的な事例として、Societe Generaleの暗号資産子会社であるSG-FORGEによるMiCA準拠のユーロ建ステーブルコイン(EURCV)のXRPレジャーへの展開(2024年11月)や、デジタル証券取引所・カストディアンビジネスを展開する英Archaxとの提携によるトークン化されたマネーマーケットファンドの立ち上げ(2024年11月)が挙げられます。
    さらに、Elysiaによる米国債トークン化(2024年12月)、Ondo FinanceによるXRPL上のRWAトークン計画なども進んでいます。
    これらの取り組みは、XRPレジャーの利用価値と取引量を押し上げ、エコシステムの多様化と成長を示しています。
    また、リップル社自身も「RLUSD」というステーブルコインの開発を進めており、これが国際送金の効率性向上や、グローバルな金融システムへの統合に寄与すると期待されます。

    4. 総括

    過去1年間、暗号資産(仮想通貨)エックスアールピー(XRP)はSECとの訴訟結果の好転、政治的期待感、機関投資家の参入、そしてXRPLエコシステムの進展など、さまざまな好材料に支えられて大幅な価格変動を見せました。
    たとえば、リップル社の部分勝訴により市場の不透明感が払拭され、GrayscaleやBitwiseなどによるETF申請、企業がトレジャリー戦略にエックスアールピー(XRP)を組み入れる動きが、エックスアールピー(XRP)に対する信頼回復に寄与しました。
     
    今後、規制環境のさらなる明確化や技術・エコシステムの進展が進めば、エックスアールピー(XRP)は長期的な成長軌道に乗る可能性もあると期待されますが、依然として規制リスクや市場のボラティリティといった短期的なリスクも存在するため、投資家は市場の感情的な動向に惑わされず、基本的なファンダメンタルズや長期的な展望に基づいて、慎重かつ冷静な判断を下す必要はあるでしょう。
     

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    提供:HashHub Research
    執筆者:HashHub Research