Learn about crypto assets

【2026年最新】ビットコイン(BTC)がアセットクラスとして次の段階へ行くための必要条件を考察

【2026年最新】ビットコイン(BTC)がアセットクラスとして次の段階へ行くための必要条件を考察

公開日: 2026年2月4日

最終更新日: -

▼目次

    前提

    今回は、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)がアセットクラスとしての次の段階に行くために何が必要かを筆者の視点で論じます。

    ビットコイン(BTC)は2024年にETFが承認され、また暗号資産全般に好意的な米国政権が2025年に誕生し、アセットクラスとして過去と比較して随分と地位を高めてきました。
    年金基金/自治体・州系機関/大学基金等などのペンションファンドでもビットコイン(BTC)をポートフォリオに組み入れていることが相当数確認できるようになりました。

    下記の機関投資家は、ビットコイン(BTC)の保有が13FなどのSEC提出資料で確認され、実際に投資が実行されています。

    • State of Michigan Retirement System(ミシガン州退職年金制度)
    • State of Wisconsin Investment Board(SWIB:ウィスコンシン州投資委員会/州年金運用主体)
    • Employees’ Retirement System of Jersey City(米ニュージャージー州ジャージーシティ職員年金)
    • Houston Firefighters’ Relief and Retirement Fund(米テキサス州ヒューストン消防士年金)
    • Santa Clara Valley Transportation Authority(VTA:米カリフォルニア州の交通当局関連年金)
    • Harvard Management Company(ハーバード大学基金の運用会社)
    • Emory University(エモリー大学)

    このようにアセットクラスとして地位を高めた一方で2025年の実際のパフォーマンスは、同じ無国籍アセットであるゴールド(金)が60%以上プラスになる中で、ビットコイン(BTC)のパフォーマンスは年間でマイナスになりました。
    年が明けてもこのストーリーは継続しており、貴金属市場全般は順調で、ビットコイン(BTC)は足踏みしています。

    筆者は暗号資産(仮想通貨)を投資の中心にするのではなく、様々な国の株式を評価し、コモディティや不動産など多くのアセットを投資対象にしてロングショートしています。
    それらの背景・視点から、今ビットコイン(BTC)に何が足りないか、ビットコイン(BTC)がアセットクラスとしての次の段階に行くために何が必要かを綴りたいです。

    ビットコイン(BTC)がアセットクラスとしての次の段階に行くために何が必要か

    1.非西側、特に中国のビットコイン(BTC)の態度が変容すること

    2024年のETF承認以降で、ビットコイン(BTC)の需要サイドがあまりにアメリカに偏りすぎていることを筆者は気にしています。
    さらに言えば、保有分布でみても米国個人投資家を背後にしたトレジャリー企業の割合が大きくなりすぎていることはあまり良い傾向だと考えていません。

    ゴールド(金)がなぜ息の長い強気サイクルにいるかは、色々な要素がありますが、ビットコイン(BTC)と明確に異なるのは、中央銀行が購入し、さらに全世界の投資家から需要があることです。
    中国の中央銀行が買っている・非西側諸国が買っている・だからアメリカや日本の投資家も買う、このように全世界参加型です。
    これに対してビットコイン(BTC)は直近2年間米国の存在感が強まるばかりです。
    むしろ米国の色が強すぎて、中国は意図的にビットコイン(BTC)との距離を更に取るのではないかという憶測もしてしまうくらいです。

    結局、ビットコイン(BTC)は誰にも止められず供給が限定された無国籍なグローバルアセットであること、それ自体が価値なので、全世界からアセットとして認められることが非常に重要です。

    非西側諸国でのビットコイン(BTC)の取り扱いは限定的ながらも進んではいます。
    2026年1月、イラン国防省輸出センターは、同国が直面している国際制裁を回避する手段として、高度な兵器システムの決済方法としてビットコイン(BTC)を受け入れることを新しく発表しました。
    制裁対象国が関与する取引の支払いに暗号通貨を使用する手段はすでに十分に確立されています。
    例えばロシアは貿易に使える資産として暗号資産(仮想通貨)を認めています。

    ただしこれらの動きは限定的で、ビットコイン(BTC)全体のマーケットや需給動向に影響を与えるほどのものではありません。
    今後重要になるのは、非西側の国家やペンションファンドなど機関投資家が使える先物取引所やカストディです。
    ビットコイン(BTC)の長期的繁栄に必要なインフラですが、今は欠けている要素です。
    西側企業経由しないと流動性にアクセスできないのであれば、非西側諸国視点にたてば、それは無国籍資産としての価値がないのです。

    そしてやはりそのためには中国がビットコイン(BTC)への態度を軟化させることが必要になると思われます。
    中国はゴールド(金)をはじめとした貴金属市場の流動性では、ロンドンに代替する市場を作ろうとする野心があり、非西側諸国はその流動性をあてにできます。
    同様の状況がもしビットコイン(BTC)に訪れれば、ビットコイン(BTC)の潜在需要が一気に顕在化する新しい局面が訪れるでしょう。

    2.量子対応をしたアップデートをどのようにするかコミュニティの議論の進展

    量子コンピューターが暗号資産(仮想通貨)のセキュリティを脅かす可能性については多くの人が一度は耳にしたことがあるでしょう。
    下記のレポートでは内容がやや専門的になりますが、このリスクについて説明しています。
    関連レポート:なぜ量子計算が暗号を突破するのか

    上記レポートで説明しているのは、ブロックチェーンの取引の真正性(ブロックの内容が改竄されていないこと)はSHA-256やSHA-3などといったハッシュ関数(hash function)で守られており、ハッシュ関数に対する攻撃手段は、ブルートフォース攻撃(総当たり攻撃、すなわち可能な入力を全て試すやり方)しかないため、量子コンピューターに対しても比較的強い耐性を持ちます。
    他方で、量子コンピューターが実用化された場合、現存の公開鍵暗号はほとんど破られるため、悪意ある攻撃者によって、なりすましや不正な取引が横行する可能性があると指摘しています。
     
    現状のブロックチェーンの仕組みでは、ユーザーが取引を行う際、基本的に自分の公開鍵を開示する必要があるため、攻撃者はShorのアルゴリズムを使って秘密鍵を計算し、不正な取引を行うことが出来る可能性があります。
    したがって、量子コンピューターが実用化された場合、ブロックチェーンのセキュリティは大きな脅威にさらされることになります。
    いずれにしても資産クラスとしてのビットコインにとってはそれなりに深刻なリスクであり、それは10年後や15年後には健在化する可能性があります。
     
    今日明日のリスクではないですが、少なくとも、ゴールド(金)が新しい鉱山が発掘され供給量が増えたりコスト効果が見合う錬金術が大発明されるリスクより、ビットコイン(BTC)が抱える量子リスクのほうが、それぞれの無国籍アセットが抱えるテールリスクとしては深刻です。
    一方で技術的にはビットコイン(BTC)をハードフォークを伴うアップデートをすることで、量子コンピューターが実用しても攻撃耐性がある鍵方式に対応することは可能とされています。
    このアップデートをどのようにするかコミュニティの議論の進展は、ビットコイン(BTC)のアセットクラスとしての信頼性に関わるでしょう。

    もっとも産業としてのビットコイン(BTC)のステークホルダーは昨今大きく変化をしました。
    Blackrock(ブラックロック)などはわずか3-4年前は業界に存在しなかったのですが、今は最も影響力のあるETFを組成しています。
    そのように広いステークホルダーと開発コミュニティが意思疎通して、このアップデートを行えるかは量子コンピューターというテールリスク対応として重要になります。

    少なくともそれが見えなければ、世界の中央銀行がビットコイン(BTC)を準備金として採用することは先延ばしになるのではないかと予想します。

    3.アメリカ連邦政府の中立的備蓄案(Bitcoin for America Act)はビットコイン(BTC)の新しい需要の扉を開く

    H.R. 6180(Bitcoin for America Act)が2025年11月20日に下院へ提出されています。

    この法案の中に、BTCで税を支払う際の Nonrecognition(非課税扱い) が明記されており、税負担を満たす範囲のBTC移転では「譲渡益・損失を認識しない」=キャピタルゲイン課税を発生させない、という設計です。
    上記H.R.6180は、納税で受け取ったビットコイン(BTC)をStrategic Bitcoin Reserveへ入れる設計です。

    さらに、準備金構想そのものを立法で整備する BITCOIN Act of 2025(S.954 / H.R.2032) も提出されています。
    これはアメリカが追加支出することなくビットコイン(BTC)を戦略備蓄する現状で最も新しいアイデアです。
    納税時のキャピタルゲイン非認識まで含めた成立は、税制・公平性・財源で揉めやすいため、一定の時間もかかり、成立確度は不明瞭です。
    しかしこの法案が実際に可決したら、ビットコイン(BTC)の新しい需要の扉が開かれる重要なイベントになるはずだと筆者は考えています。

    これは来年や再来年、あるいは5年後の納税に使用して、その間の値上がり分のキャピタルゲイン税がゼロならば、投資家はビットコイン(BTC)を積極的に保有するようになるはずです。
    いわば世界最大の経済大国で納税資金としてビットコイン(BTC)を貯めるというユースケースが新しい需要ドライバーになります。

    2025年全ての貴金属が上昇しました。
    シルバーやプラチナなどが顕著ですが、それらは産業需要があって、供給制約もあり、それが投資・投機需要を呼び起こし価格高騰がおきました。
    全てがミックスでスクイーズが発生したのです。
    対して、ビットコイン(BTC)は供給制約はありますが、需要は投資需要しかないのです。
    ここにアメリカ国民の将来の納税準備としての需要ドライバーが加わると、価格形成に新しい局面が訪れると筆者は予想します。

    総括

    今回は、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)がアセットクラスとしての次の段階に行くために何が必要かを筆者の視点で論じました。
    引き続き他のコモディティに注目が集まる金融マーケットですが、何かがきっかけで局面が変わる可能性はいつでもありえるので、そのトリガーを想像することは決して無駄ではないでしょう。

     

    【ご注意事項】
    本記事は執筆者の見解です。本記事の内容に関するお問い合わせは、株式会社HashHub(https://hashhub.tokyo/)までお願いいたします。また、HashHub Researchの各種レポート(https://hashhub-research.com/)もご参照ください。

    提供:HashHub Research
    執筆者:HashHub Research