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【2025年最新】暗号資産(仮想通貨)カルダノ(ADA)の今後~直近の価格動向と将来予測

【2025年最新】暗号資産(仮想通貨)カルダノ(ADA)の今後~直近の価格動向と将来予測

公開日: 2025年10月31日

最終更新日: -

▼目次


    カルダノ(ADA)は2015年に開発が始まり、約2年の研究期間を経て2017年9月にメインネットを立ち上げたプロジェクトによる暗号資産(仮想通貨)です。
    ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)の「次」を目指し、研究者主導の設計や形式手法(プログラムを数理的に検証する方法)を取り入れたことでも知られています。
    カルダノ(ADA)創設者はイーサリアム(ETH)の共同創業者でもあるチャールズ・ホスキンソン氏。長期的には「安全で持続可能な分散型社会インフラ」を目標に掲げています。
    本コラムでは、カルダノ(ADA)の技術的特徴や仕組み、直近の価格動向や将来予測を整理し、今後の投資判断や注目ポイントを解説します。

    暗号資産(仮想通貨)カルダノ(ADA)の特徴・仕組み ― 学術主導の「第三世代」ブロックチェーン

    カルダノ(ADA)は、PoS(Proof of Stake)を採用するレイヤー1チェーンで、環境負荷の大きいPoW型に比べ省エネ性と効率性を強調しています。
    合意アルゴリズム「Ouroboros」シリーズはClassic、Praos、Genesisと改良を重ね、いずれも国際学会で論文として発表されてきました。
    現在は次世代案「Ouroboros Leios」が提案されており、並列処理型ブロック構造によるスループット向上が研究段階にあります。
    こうした査読研究に基づく開発姿勢は、カルダノ(ADA)の大きな特徴の一つといえます。

    ユースケースは幅広く、DeFi(ディーファイ)やNFTに加えて、分散型ID(Veridian)、企業ERPと会計をつなぐミドルウェア(Reeve)といったエンタープライズ寄りの応用も進展しています。
    さらに、プライバシー特化のサイドチェーン「Midnight」や、ビットコイン(BTC)上でCardano系スマートコントラクトを動かす実験(BitVMX+UPLC→RISC-V)など、研究色の強い試みも目立ちます。

    図1.カルダノ(ADA)の主要指標およびTVL推移(出典:DeFiLlama

    ただし、DeFiLlamaのデータ(図1)によれば、2025年10月時点でカルダノ(ADA)のTVL(預け入れ資産)は約3億ドルにとどまり、イーサリアム(ETH)の約920億ドルやソラナ(SOL)の約124億ドルに比べると大きく見劣りします。
    アプリ利用も他チェーンほど活発とは言い難く、現状では存在感が限定的なのは否めません。

    とはいえ、カルダノ(ADA)はすでにロードマップの最終段階である「Voltaire(ボルテール)」期に入り、CIP-1694に基づく新たなガバナンス制度──DRep(委任された代表者)や憲法委員会など──の導入が進んでいます。
    制度面での展開が加速している今、オンチェーンの仕組みを通じてコミュニティ主導の資金配分や意思決定が実際に機能するかどうかが、大きな試金石となります。
    もしこれがうまく機能すれば、カルダノ(ADA)は「持続性を軸にした分散型エコシステム」として他チェーンとの差別化を強めていく可能性があります。

    カルダノ(ADA)はいかに配られたか ― 総供給と初期分配


    図2. カルダノ(ADA)の総供給量と初期配分の内訳(出典:cardano.org掲載データを基に筆者作成)

    供給面では最大450億ADAに制限されています。
    初期配分の内訳(図2)は、まずパブリックセールが約259億ADA(総供給の57.5%)を占め、続いてその2割にあたる約51.8億ADAがCardano Foundation、EMURGO、IOHKといったエコシステム団体に割り当てられました。
    これらが初期の流通量を構成しています。

    残りの約140億ADAは準備金(Reserves)に回され、ここからステーキング報酬や財源が少しずつ取り崩される仕組みです(※参照:Cardano Docs – Monetary Policy)。
    2025年10月時点では総供給の約6割(およそ217億ADA)がすでにステークに回っており、その分、市場で実際に動くカルダノ(ADA)は相対的に限られています。(※参照:​​https://adastat.net/
    ※なお、ここでいうパブリックセールは2015〜2017年に日本を中心に行われた「バウチャー販売」で、投資家はカルダノ(ADA)そのものではなく引換券を購入し、2017年のメインネット稼働後に実際の配布が行われました。(※参照:cardano.org

    【2025年10月最新市場分析】暗号資産(仮想通貨)カルダノ(ADA)の価格動向と将来予測

    2025年第3四半期(Q3)、カルダノ(ADA)の価格は比較的落ち着いた動きを見せました。

    ●2025年10月8日時点の市場価格は約$0.8、時価総額は29.5B。2024年末にかけて高値を付けた後は軟調に推移し、7月にかけて持ち直したものの、その後は横ばい圏での推移となっています。

    図3. 暗号資産(仮想通貨)カルダノ(ADA)価格、時価総額の推移(出典:DeFiLlama

    ●ネットワーク利用状況を見ると、同日アクティブアドレス数は22,560件にとどまりました。2024年末に一時的な増加は見られたものの、その後は横ばいから減少傾向に転じており、DeFiのTVLも同様に縮小気味で、アプリ利用の規模はなお限定的です。

    図4. DeFi TVL、アクティブアドレス数の推移(出典:DeFiLlama

    ●一方で、ステーブルコインの供給は増加基調にあり、積極的な取引に使われるというよりも「資金が待機している」姿が浮かび上がります。

    図5. ステーブルコイン供給量の推移(出典:DeFiLlama)

    このような背景には、市場全体が持ち直すなかでカルダノ(ADA)は利用者を伸ばしきれなかった点があり、競合L1に比べて存在感がやや後退しています。

    もっとも制度面では動きが活発化しており、2025年7月にはCIP-1694に基づく初の憲法委員会選挙がオンチェーンで行われ、7名の委員が選出されました。
    また、カルダノ財団は試験的に「Cardano Venture Hub」を立ち上げ、資金支援やアドバイザリーを通じてエコシステム内プロジェクトを後押しする取り組みを開始しています。
    さらに財団は最新のロードマップで、DeFi流動性への直接支援やWeb3採用の加速、RWA分野への拡張といった方針を示しており、従来の企業連携に加えて新領域への展開を強調しました。
    これらの施策は、コミュニティ主導のガバナンスと組み合わさることで、カルダノ(ADA)が「持続性を武器としたエコシステム」を形作る基盤となりつつあります。

    これらを鑑みて将来シナリオを整理すると、以下のように考えられます。

    • 強気シナリオ:規制が明確化し、ステーブルコイン流通や企業連携が拡大する
    • 中立シナリオ:カルダノ(ADA)の価格は横ばいながら、ガバナンス体制が定着する
    • 弱気シナリオ:規制強化や競合L1の優位拡大によりシェアを失う

    暗号資産(仮想通貨)カルダノ(ADA)は今が買い時か?


    図6.2021年のATH(史上最高値)以降の長期保有者は依然として売却を控えてる状態
    (出典:https://x.com/Alphractal/status/1955151319548956813

    Alphractal(アルフラクタル)による2025年8月時点のオンチェーン分析を参考にすると、2021年のATH(史上最高値)局面では長期保有者の利確が進み、保有構造が入れ替わった様子を確認できます。
    その後は新たな投資家層による積み立てが進み、再び長期保有者の比率が高まっていることも読み取れます。
    さらに、短期投資家による売り圧力は過去サイクルと比べて小さく、「次のATHまで保有し続ける可能性のある層」が厚みを増している点が特徴的です。

    一方で、カルダノ(ADA)はイーサリアム(ETH)やソラナ(SOL)と比べてTVLやアプリ利用の規模が依然として小さく、資金流入の中心にはなっていません。
    したがって、オンチェーン上では長期保有の積み上げが進む一方で、実需面での成長は限定的という二面性が現状を示していると考えられます。
    買い時か否かはこれらを鑑みて慎重に判断する必要があるでしょう。

    暗号資産(仮想通貨)カルダノ(ADA)の今後の展望と将来性

    カルダノ(ADA)は現在「Voltaire時代」と呼ばれるガバナンス強化フェーズに入っています。
    各国規制がPoSをどう扱うかが成長に直結する一方、企業会計やID管理との接続は「現実世界でのユースケース」を作り得る試みです。

    課題は、利用者数やTVLの規模で依然としてイーサリアム(ETH)やソラナ(SOL)に劣後していることです。
    特に、開発者コミュニティの裾野が狭く、Haskell(ハスケル)に強い技術者以外が参入しにくいことは長らくボトルネックとされてきました。
    もしステーブルコインやDeFi利用が広がらなければ、「研究的に優れたが市場では小さめの存在」に留まるリスクもあります。

    こうした状況に対し、2025年に公開された「Cardano Blueprint」は、プロトコル仕様を体系的にまとめ、非Haskell系の開発者でも理解しやすくした取り組みです。
    これにより、学習コストの軽減と参入障壁の低下が期待され、開発者人口の増加や新規アプリケーション創出につながる可能性があります。

    加えて、オンチェーン予算制度やガバナンス選挙が動き出した今、コミュニティ主導の資金配分が成果を生むかどうかは大きな試金石です。
    もし資金配分とBlueprint活用が噛み合えば、カルダノ(ADA)は「持続的な発展モデル」として他チェーンとの差別化要素を強めていけるかもしれません。

    統括

    暗号資産(仮想通貨)カルダノ(ADA)は、学術主導の「堅牢な設計」と「ガバナンス重視」を旗印に、長期的な進化を続けています。
    2025年Q3は価格・利用者数ともに軟調でしたが、ガバナンス制度の前進やステーブルコイン拡充といったポジティブ要素も見られました。

    投資判断は、各自の目的・リスク許容度・期間に強く依存します。
    参考にすべき指標は、

    • オンチェーン利用指標(Tx数、TVL、ステーブルコイン流通)
    • ガバナンスの成果(Builders DAOやCatalystの進展)
    • 規制イベント(PoS資産の扱い)
    • 開発進展(Leios実装やBlueprint活用)

    冷静な情報収集を続けながら、カルダノ(ADA)の「研究主導型チェーン」が本当に市場で花開くのか、引き続き観察していく価値はあるでしょう。
      
    [参考文献]
    ●Cardano.org「Hard Forks」
     https://cardano.org/hardforks/
    ●Cardano Docs「Ouroboros Overview」
     https://docs.cardano.org/about-cardano/learn/ouroboros-overview
    ●IOHK Blog「Leios takes the stage at Crypto 2025」(2025年6月27日)
     https://iohk.io/en/blog/posts/2025/06/27/leios-takes-the-stage-at-crypto-2025-1/
    ●Essential Cardano「Accelerating Cardano’s scalability: How Leios development follows the sun」
    https://www.essentialcardano.io/article/accelerating-cardanos-scalability-how-leios-development-follows-the-sun
    ●Cardano.org「Reeve Enterprise Financial Reporting」(2025年7月8日)
     https://cardano.org/news/2025-07-08-reeve-enterprise-financial-reporting/
    ●Cardano Foundation「Veridian」
     https://cardanofoundation.org/veridian
    ●IOHK Blog「Smart Contracts on Bitcoin」(2025年7月19日)
     https://iohk.io/en/blog/posts/2025/07/19/smart-contracts-on-bitcoin/
    ●Midnight Network(公式サイト)
     https://midnight.network/
    ●Cardano Docs「Monetary Policy」
     https://docs.cardano.org/about-cardano/explore-more/monetary-policy
    ●Cardano.org「Genesis」
     https://cardano.org/genesis/
    ●AdaStat(オンチェーンデータポータル)
     https://adastat.net/
    ●DeFiLlama「Cardano Chain Metrics」
     https://defillama.com/chain/cardano?currency=USD
    ●Cardano Roadmap「Voltaire」
     https://roadmap.cardano.org/ja/voltaire/
    ●Project 1694(公式サイト)
     https://www.1694.io/en
    ●Cardano Foundation「Constitutional Committee Vote」
     https://cardanofoundation.org/blog/constitutional-committee-vote
    ●Constitutional Committee Elections(投票サイト)
     https://elections.constitution.gov.tools/
    ●Cardano Foundation「Foundation Roadmap」
     https://cardanofoundation.org/blog/cardano-foundation-roadmap
    ●Intersect「Constitutional Committee Elections 2025: What happened, who was selected, how it worked, and why it matters」
    https://www.intersectmbo.org/news/constitutional-committee-elections-2025what-happened-who-was-selected-how-it-worked-and-why-it-matter
    ●Medium(TapTools)「Introducing Cardano Builder DAO」
    https://medium.com/tap-in-with-taptools/introducing-cardano-builder-dao-82bc445fc941
    ●Cardano Foundation「Quarterly Report Q2 2025」
     https://cardanofoundation.org/blog/quarterly-q2-2025
    ●IOHK Blog「Understanding Cardano: Introducing the Cardano Blueprint」(2025年6月20日)
    https://iohk.io/en/blog/posts/2025/06/20/understanding-cardano-introducing-the-cardano-blueprint/
    ●X (Alphractal公式アカウント)
     https://x.com/Alphractal/status/1955151319548956813

     

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    提供:HashHub Research
    執筆者:HashHub Research