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【2025年9月最新】ソラナ(SOL)の供給構造と価格変動のメカニズムを徹底解説

【2025年9月最新】ソラナ(SOL)の供給構造と価格変動のメカニズムを徹底解説

公開日: 2025年10月9日

最終更新日: -

▼目次


    2025年9月現在、暗号資産(仮想通貨)ソラナ(SOL)は200ドルを超えて取引され、暗号資産市場のリスク志向を映し出す存在となっています。
    一方で、ソラナ(SOL)価格の裏側には「誰がどれだけソラナ(SOL)を握っているか」という資金構造があり、これを理解しなければ値動きの背景を正しく捉えることはできません。
    本コラムでは、ソラナ(SOL)の供給状況と潜在的なリスクを整理し、価格の動きを支えるメカニズムを短時間で把握できるようにまとめました。

    全体像:暗号資産(仮想通貨)ソラナ(SOL)の供給とステーキング

    2025年9月時点でのソラナ(SOL)の総供給量は約6.1億SOL。
    そのうち約67%がステーキングされています。
    これは、同じスマートコントラクトプラットフォームであるイーサリアム(ETH)の約30%と比較して高い水準であると言えます。

    • 価格面のメリット:売却可能な流通量が限られるため、需給バランス上、下値が支えられやすい
    • 価格面のデメリット:流動性が薄くなるため、大口売買が価格に直結しやすく、急変動を招きやすい

    この「高ステーキング率」は、ソラナ(SOL)市場を特徴づける基本的要素のひとつです。

    主要プレイヤーの動向

    1. バリデータと集中度


    図1.ソラナ(SOL)総供給量に占めるステーキング比率(出典:Solscanをもとに筆者作成)

    ソラナ(SOL)のステーキングは数千のバリデータに分散されていますが、上位 10 バリデータ(Binance、Helius、Jupiter、Figment、Galaxy など)が総供給の約 15% を担っています。 
    過度な独占構造ではないものの、ネットワークの安定性やガバナンスに一定の集中リスクが残ることは留意すべき点です。

    2. DeFi(ディーファイ)とLST(リキッドステーキングトークン)


    図2.Solana DeFi上に存在するソラナ(SOL)の割合(出典:DeFillamaを参考に筆者作成)

    Solana DeFiのTVLは約5,300万SOL。
    ただしその多くは JitoSOL、mSOLなどのLST(ステーキングの証券化トークン)であり、新たにロックされた資金というより既存ステークの派生表現です。
    TVLの数値をそのまま「資金流入」とみなすのは誤解を招きやすく、実態を読み解くには分解が必要です。
    本コラムではホルダー構造に焦点を置くため、この内訳の詳細分析は割愛します。

    3. 上場企業のソラナ(SOL)保有量・ETF/ETP


    図3.ソラナ(SOL)総供給量のうち、企業が保有するSOLの割合(出典:Strategic Solana Reserveを参考に筆者作成)

    2025年時点で、Forward Industries(フォワードインダストリーズ)、Sharps Technology(シャープス・テクノロジー)、Galaxy Digital(ギャラクシー・デジタル)などの上場企業が合計約1,700万SOL(総供給の2.8%)を保有しています。
    このうち約940万SOLはすでにステーキング済み であり、実際に市場へ流通しうる分はさらに限定されます。


    図4.上場企業のトレジャリーへの組み入れ推移(出典:The Block)

    また、The Block(ザ・ブロック)のデータによれば、企業のバランスシートに組み込まれるソラナ(SOL)は2025年半ば以降に明確な増加傾向を見せており、暗号資産市場に与える影響も無視できないほど大きくなりつつあります。



    図5.ソラナ(SOL)総供給量のうち、ETF/ETPの保有割合※Bitwise除外(出典:各種資料を参考に筆者作成)

    21Shares(トゥエンティワン・シェアーズ)やCoinShares(コインシェアーズ)など複数のETPは、公開情報を基にすると合計でおよそ1,000万SOL(総供給量の約1.6%)を保有していると推定されます。
    なかでも ASOL、SLNC、VSOL といった銘柄はステーキング報酬を組み込む仕組みを採用しており、ETP市場の中心的な存在となっています。
    そのため、これらの保有分は既に示した高いステーキング比率にほぼ織り込まれていると見なせます。
     
    一方、米国初のソラナ(SOL)現物+ステーキングETF(SSK)はREX-Ospreyによって2025年7月に承認・上場されたばかりで、歴史が浅く、またVanEckや21Sharesなど他の運用会社は米国でのETF承認にはまだ至っていません。
    執筆現在のSSKは運用規模も限定的であることから本稿の集計対象からは除外しています。
    なお、ETPに組み込まれる資金は短期的な売却圧力が小さく、中長期的には価格安定を支える「長期マネー」として機能すると考えられます。

    4. 特殊要因:FTX/Alameda


    図6.左=総供給の内訳(FTX/Alamedaを個別表示)/右=企業+ETP内訳(ステーク/非ステーク)(出典:各種資料をもとに筆者作成)

    ソラナ(SOL)の供給構造において、依然として無視できない存在がFTXとAlamedaの保有資産です。
    2020〜2022年の初期エコシステム形成期に両者は主要な支援者として多額のソラナ(SOL)を取得しましたが、2022年11月の破綻後、それらは管財人の管理下に置かれ、清算資産として扱われています。
    今後のロック解除や債権者分配、さらにはオークション・OTC取引を通じた売却は、ソラナ(SOL)の需給バランスに直接影響を及ぼします。
     
    実際、オンチェーンデータ(EmberCN)によれば、2023年11月以降にFTX/Alameda関連アドレスから累計898万SOLが償還・移動されました。
    直近では 2025年9月に19.2万SOL(約4,500万ドル)がステーキングから引き出されています。
     
    それでも依然として418万SOL(全供給量の約0.7%)がステーキング状態で残っており、2028年まで段階的に解放される予定です。
    市場ではこの残存分を「長期的な潜在的売り圧」として強く意識しており、価格変動要因の一つと見なしています。

    5.クジラや取引所アドレス


    SOLリッチリスト[出典:https://www.coincarp.com/currencies/solana/richlist/]

    ソラナ(SOL)の保有構造を見ると、FTX/Alamedaの残存分に加えて、クジラや取引所アドレスの存在も無視できません。
    最大の単一アドレスは500万SOL超を保有しており、上位100アドレスの合計は総供給量の19.1%を占めています 。
    なお、この「上位 100」には取引所のコールドウォレット、早期 VC、休眠アドレスなどが含まれており、必ずしも個人投資家のみではありません。
     
    また、これら大口保有分の多くはすでにステーキングに回されており、潜在的な売り圧力であると同時に、ネットワーク安定性を支える要素にもなっています。
    残りの大部分は個人投資家やステーキングプールに分散しており、「一部大口集中+広範な分散」という混合的な構造が特徴です。
     
    大口が短期的に売却に動けば、市場に瞬間的な下押し圧力を与えるリスクは残る一方、平時にはステークによってネットワークを支える存在となっています。

    結論と投資家への示唆

    暗号資産(仮想通貨)ソラナ(SOL)は現在、売却圧力の源泉が限定的である一方で、機関投資家による資金流入が拡大しており、市場再評価の局面に入っていると考えられます。
    ただし、FTXの清算プロセスやステーキング集中といったリスクは引き続き注視が必要です。
    さらに、大口保有者が短期的にまとまった売却を行えば、市場に瞬間的な下押し圧力を与える可能性も残されています。
     
    その一方で、ETF/ETPや上場企業のトレジャリーへの組み入れが進んでおり、長期マネーが「売られにくいストック」として積み上がっていることは価格の下支え要因となります。
    また、BitwiseのMatt Hougan(マット・ホーガン氏)やRaoul Pal(ラウル・パル氏)をはじめとする著名投資家やインフルエンサーの強気な発言も続いており、需給構造だけでなく「市場を動かすナラティブ」もソラナ(SOL)価格の追い風となっています。
     
    結果として、ソラナ(SOL)は「清算リスクとクジラの動きが下方圧力、一方で ETF/ETP・企業保有分や強気ナラティブが上方圧力」という二面性を持つ市場局面にあると言えるでしょう。
    投資家が注視すべき主要なポイントは以下の三点です。

    1. ETF・ETPへの資金流入ペース:新規需要の強さを測る指標
    2. FTX関連ウォレットの動向:潜在的な売却圧力の所在
    3. バリデータ集中度の変化:ネットワークの安定性に関わる要素 

    これらの動向を的確に把握することで、今後の暗号資産(仮想通貨)ソラナ(SOL)の価格推移が「持続的な上昇」へとつながるのか、それとも「一時的な反落」にとどまるのかを判断する手がかりとなるでしょう。

    参考文献

    ●Solscan ― Validator一覧・ステーキング状況
     https://solscan.io/validator?page_size=20
    ●DeFiLlama ― Solanaチェーンデータ(TVL等)
     https://defillama.com/chain/solana?currency=SOL
    ●Strategic Solana Reserve ― 企業・機関保有データ
     https://www.strategicsolanareserve.org/
    ●上場企業のトレジャリーへのSOL組み入れ推移
    https://www.theblock.co/data/treasuries/solana-treasuries/stacked-sol-holdings-by-public-companies
    ●21Shares Staked Solana ETP(ASOL)
     https://www.21shares.com/en-ae/product/asol
    ●21Shares Solana ETP(CSOL)
     https://www.21shares.com/en-ae/product/csol
    ●Solana Foundation ― FTX破綻関連の公式情報
     https://solana.com/news/solana-facts-ftx-bankruptcy
    ●The Block ― FTX資産清算・SOL償還報道
     https://www.theblock.co/post/370399/ftx-redeems-45-million-solana
    ●CoinCarp ― Solana Rich List(大口保有状況)
     https://www.coincarp.com/currencies/solana/richlist/
    ●CoinDesk ― Bitwise CIO Matt Houganの強気見解
    https://www.coindesk.com/markets/2025/09/10/the-ingredients-are-all-there-why-solana-may-be-set-to-soar
    ●Binance Square ― Raoul Palの発言
     https://www.binance.com/en/square/post/18493597744593
     

    【ご注意事項】
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    提供:HashHub Research
    執筆者:HashHub Research